あまりにも繊細で、儚くて、純粋なものに触れてしまった
久々に、推しの音楽にひどく心を揺さぶられた。
高校生の頃から聴いていた4人組ロックバンド、フジファブリック。
初めて彼らをYouTubeで見た時、吸い込まれるような、澄んだ大きな瞳をしたフロントマン 志村正彦 の姿が印象的だった。
こぶしを回したような、どこか独特な歌声。
叙情的な歌詞。浮かぶ風景。
噛めば噛むほど味が出るスルメのような彼らの音楽に、どんどん引き込まれていった。
しかし、私がフジファブリックと出会った頃には、彼はもうこの世にいなかった。
2009年12月24日。
29歳という若さで、彼は突然空に誘われてしまったらしい。
その後、フジファブリックは、ギターリスト 山内総一郎がボーカル&ギターを担う形で活動を続けていた。
13年の時を経た、2022年2月10日。
山内総一郎が初めて個人名義で出した歌のMVが配信された。
それは、「志村正彦に向けた歌」と公言されていた。
Twitterに溢れる感想の数々に思いが急かされ、夜中、その歌を聴いた。
まず最初に、ギターリストの彼がピアノを弾きながら歌う姿に心を奪われた。
しかしそれ以上に、歌詞の言葉一つ一つにひどく心を奪われてしまった。
歌詞に出てくる二人称のみならず、あらゆる単語が亡き彼を指しており、また、彼に向けたものであった。
そして、
I MISS YOU と歌い、生き続けて と歌っていた。
そこには、あまりにも繊細で、儚くて、純粋な感情が吐露されていた。
山内総一郎という人がこの13年間、何を想い、何を考え、フロントマンという立場を担ってきたのか。
とてつもないその想い、
あるいは志村正彦への深い愛、
またあるいは、彼が心の中にずっと隠していたかもしれない途方もない悲しみや寂しさ。
そうしたものが、あまりにもストレートに伝わってきて、気づけば頬を涙がつたっていた。
あまりにも繊細で、純粋なまでに綺麗なものに触れてしまった。
そんな感情を抱いた。
しかし、それらを受け取ることができる自分でいられて、それらを受け取ることができる感性や価値観を持つことができていて、良かった、とも思った。
これからも、少年のように純粋で、繊細で、時にちょっと変態チックな彼らの音楽に、思考に、生き様に、触れていきたい。
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