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第7回 土木作業員から建設会社のコンサルタントになった話 〜土木作業員編②〜

皆様、ご覧頂きありがとうございます!
建設会社のコンサルタントをしている鈴木戒です。建設業界を志す学生さんや転職希望の方にお贈りする「土木作業員から建設コンサルタントになった話」第7話です。
わたくしの生業である食品工場建設のネタ集めで、滋賀県のラコリーナを見学してきました。
製造の衛生管理とエンタメが融合する素晴らしい建物でした。(ここで長々と記事化すると本編にたどり着かなくなるので、別noteにします)

前回は、土木作業員として初出勤から現場作業で私が分からないかったこと作業内容や工具の紹介を織り交ぜましたが、今回は年の近い先輩が現れます。
因みに、「家内から「均す」は素人の私でも分かる」と言われ、世間知らずな20代前半であったと再認識しました。

初出勤から2週間

土木作業員の初日を終え、体力的には余裕があるものの、精神的な疲労でクタクタになりながら帰宅です。夕飯を食べすぐに、明日に備えて就寝します。

翌朝、5時に目覚まし時計が鳴り、起床しますが違和感を覚えます。
「身体が痛い」
体力的には余裕があると思っていたものの、慣れない土木作業で全身が筋肉痛になっていたのです。均しの作業で腰を曲げ、鋤簾で腕と足の筋肉が使われていましたが、初日の緊張からか作業中は全く疲れを感じていなかっただけの様です。
筋肉痛の身体で
「イテ、アイタ」と蒼天の拳の黄西飛さながら青いツナギに着替え出勤します。

2日目も現場代理人のジンタン(某アニメのキャラではなく、仁丹の匂いから著者命名)の朝礼から始まります。
※ 「現場代理人」とは、工事現場における一切の責任を負う者のことです。
ジンタンに指示を仰ぎ、初日に引き続きHさんのバックホーオペの手元です。

これがバックホー

作業内容はバックホーで側溝を運ぶ作業です。
クランプという器具を側溝の内側設置して、運搬し、据え付けるという内容で、簡単にいうと、側溝を並べていく作業です。
排水が流れる様に、地面を砂を調整し、勾配を測りつつ、U字側溝を並べる繊細な作業です。
程よく、U字側溝の間を空け、道路形状に合わせて可変させて設置します。
U字側溝の間には排水が漏れないように、モルタルを詰めます。

出典 (株)清水金物店様HP

側溝の設置が終わると、次の区間の道路の路床と路盤の砕石の均し作業。
この様な作業を2週間行い、道路作りの一端を垣間見る機会となりました。

地震発生

実はこの2週間の間に、少し大き目の地震があり、設置したU字側溝がズレてしまいました。
現場代理人のジンタンからは
「鈴木君が設置した区間がズレたが、きちんとモルタル詰めたか?」と責任転嫁的なお言葉を頂戴しました。
手元をしていたHさんも素知らぬ顔、他の同僚が私がキチンと作業をしていたこと証言してくれ、地震の影響というでその場は治りました。

しかし、わたくし心の中は、「いや、お前、U字側溝設置時に、施工写真撮影の為、現地確認してるじゃないか。現場代理人だから責任はお前だろ」と治りません。
Hさんは親子ほど、ジンタンとも10歳以上離れており、責任を若い人間に取らせるような人間だけにはならないと、反面教師的な存在となりました。

この一件依頼、わたくしも若さ故不貞腐れた態度で作業する様になりました。

木村フィリップミノル現る

地震発生から、一週間が過ぎた頃、同じ工業高校卒の三つ上の先輩が現れます。
この方の存在により土木の仕事が途端に魅力を帯びてきます。
見た目はK-1の木村フィリップミノルを日本人に寄せた顔つきのなかなかのイケメンです。

会社から将来を嘱望された人物で、ジンタンの現場進行が遅れたため、助っ人で参戦。
特徴は兎に角優しい!
そして、なかなかのプレイボーイ。
ここでは木村先輩と呼びます。

歳も近いこともあり、意気投合し、Hさんの手元から木村先輩の手元に格上げとなりました。
木村先輩の業務は、現場代理人の補佐的な立ち位置であり、主に測量や現場管理となります。

わたくしの作業は、測量のトランシットを用いての丁張を掛けの手元であり、ここでは測量機器の据付方や、野帳の付け方を教わります。
高校、大学と授業で学んだ建築の知識が活かせ、土木の楽しさ、現場管理の奥深さを体験します。
一番良かったのは、作業の目的を教えて頂ける事です。「測量においては、道路の可変位置を確認する目的」「丁張は道路脇の法面の勾配がわかる様するために設置」など工事全体を通して、作業の意味が分かり、次の作業がイメージしやすくなりました。
ジンタン、Hさんとも作業内容は簡単に説明はするものの、目的は教えてくれませんでした。

Hさん、ジンタンと木村先輩の違いは、
わたくしを「単純作業の労働力」とするのか
「現場全体を円滑に進める資源」として捉えるかの違いで、作業の説明は大きく変わります。
受け手側のわたくしも、仕事の意義、意識に変革します。当然モチベーションも上がります。
JR東日本の「7分間の奇跡」と同じですね。

更に時間を見つけては、バックホー操作や玉掛けの方法もご指導頂きました。非常に充実した日々を過ごしておりましたが、わたくし、ただの現場作業員であり、忙しい現場に回される存在。
木村先輩の手元を二週間ほどで別な現場への配属決定。
「テトラポット」作り現場へ向かうことに。

木村先輩とは別な現場でもご一緒します。

トランシット
丁張

田舎の出会いって?(話は逸れて)

木村先輩との休憩時間には、年相応の「彼女いる?いない?」の話題で盛り上がります。

繰り返しですがわたくしの地元は、岩手県大船渡市。田舎の港町。
街でナンパなどは皆無。
男女の出会いは、知り合いの伝手での紹介や学生時代に知り合いがパートナーの定石です。

時代は2000年代。i mode全盛期。
当時流行っていたのが「スタービーチ」。

懐かしいロゴ

スタービーチとは、現在のタップルやティンダーをもう少しアナログしたイメージで、ウェブ上の掲示板で男女が出会いを求め、メル友を、探す素敵なサイトです。

木村先輩と共に、スタービーチでの成果を共有するが、狭い町であるが故、相手の素性が判明もしばしば。
携帯のカメラ機能が現代の様に発達しておらず、実際に会うまでのドキドキ感も味わえたことも懐かしい思い出です。


閑話休題
とても良い先輩との出会いにより、土木作業が楽しくなりました。
次回は、テトラポットの作り方を古い記憶を辿りながら、noteにします。
最後までご覧いただきありがとうございます。

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