日本経済は新陳代謝が悪い②
「赤字」はいけない事だろうか?
赤字はダメ!の文化が日本企業の新陳代謝を妨げてきた。
誰がダメ!と言ってたか?
銀行の融資担当者である。
新しい事業を始めるには資金と時間が必要である。
結果はすぐに出る訳ではない。
その資金は銀行から融資したり、粗利を使って、投資、研究への費用に回す。
研究費が大きくなると、PL上は「販売費及び一般管理費」が大きくなり、粗利を潰し、赤字になる事もある。
まさに「生みの苦しみである」である。
しかし、どんなビジネスモデルであろうと、上場企業は会計を四半期毎に出さなければならない。
つまりは四半期毎に結果が出ているか?売上を出せているか?をPLでチェックされる。
赤字が続くと、銀行の融資担当者は、その会社の経営者を呼んで、早く結果を出す事を迫る、又は研究、投資の継続自体に疑問を投げかける。
(まさに下町ロケット。)
お金を貸す側にとってみれば、当然の行為であろう。
ここで銀行をうまく説得できなければ、新規融資はされず、研究、投資を諦める事になる。
銀行は新しい分野のチャレンジ、リスクの高いチャレンジにいい顔はしない。
何故なら、銀行はその事業が大成功しても、金利以上の見返りはないからである。
ハイリスク・ローリターンだ。
銀行にとってみれば、リスクの高いチャレンジは債務不履行のリスクでしかない。融資先企業が既存路線のほうが安心して見れる。
一方、投資家は大成功した場合、株価が倍になったり、配当金が高くなったりするので、リスクを取ってでも、投資を行う。
ハイリスク・ハイリターンだ。
株式発行による資金調達は投資家を説得できれば、リスクの高いチャレンジができる。
しかし、日本企業の資金調達は銀行融資が多く、それは新分野への挑戦への足枷となってしまっている。
よって、企業のビジネスモデルは既定路線の延長になる事が多くなり、事業の新陳代謝が悪くなるのだ。
実は昭和は既定路線の延長のビジネスモデルでも良かった。
高度成長期は人口増加もあいまって、市場の枠自体が成長しており、既定路線の延長でモノ・サービスがどんどん売れた。
日本の経営者は自信をもった。
しかし、モノがあふれて、市場飽和になってきた時、今度はより、100点に近づける戦略で、他社と競争するようになった。
日本製品の過剰なサービス、機能が多い背景はここにある。
日本製品・サービスはきめ細かく、すごく親切と世界から評価されるが、実際のところはそこまでのニーズはない。機能・サービスを削ってでも、安いほうが売れる。
本来ならば、モノ・サービスがコモディティ化し、市場自体の縮小に入る前に新規事業への転換をしなければならなかった。
しかし、日本の場合は既存事業を見切り、新規事業に方針展開するのは難しいのである。
※参考までに事業転換に成功した企業を紹介。
①富士フィルム
フィルム事業→→→化粧品(asterlift)、薬品事業
※デジタルカメラ、スマホの登場により、フィルム事業が縮小。
しかし、新規事業に転換。一方、同業のKODAKは倒産。
②NETFLIX
昔は宅配DVDの事業者(TSUTAYA DISCASと同じ)
→→→今はストリーミング配信の世界企業!
※電子書籍、動画配信により、書店やTSUTAYAが苦戦する一方、2007年頃から、当時、宅配DVDの事業がまだ好調にも関わらず、ストリーミングへ事業転換したのである。
そして、赤字を出してまで、オリジナルコンテンツに投資をしている。
③紳士服アオキ
→→→快活クラブ。
労働人口減、オフィスカジュアル増加、テレワーク増加により、紳士服事業は苦境。
そういう状況もあり、漫画喫茶の副業を始め、絶好調!
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