好きは人を強くする
一見同じような日々の中で、ささやかな楽しみを見つけて過ごすのが大好きなのだけど、最近はその「楽しみ」すらもぼやけて見えなくなってしまっていたなあと青い空を見て気づいた。気づいていないことすらわからなくなっていた自分に動揺した。
そんな折に、とあるパン屋さんに取材に行った。パン職人の彼は、1年間、京都のベーカリーに勤めていたもののパンを焼けない日々が続いた。そこで単身ノルウェーに赴いたところ、ひょんなきっかけからパンを焼き始めることになったそうだ。
彼は、ノルウェーの人々がいかに楽しそうに働いていたか、自分が今後やっていきたいことなどを微笑みながら語っていた。
その姿に、ふと気になって、取材とはまったく関係ない悩み相談をしてしまった。
毎日毎日、同じことを続けていて、ふと何も見えなくなってしまうときはありませんか。
彼は、ありました、と答えた。
お金を稼ぐためにただただ業務量を増やすだけでは忙しくなって、まるで流れ作業のような接客になってしまう。ギスギスして、仲間との関係も悪くなる。そういうお店にはしたくないんです。
好きなことは絶対に人を強くすると信じているから、突き詰めていきたい。まだまだ悩むこともたくさんあるけれど。
前にここで勤めていた人が、お客様全員にタメ語で接客していたんです。でも、不思議と嫌な顔をして帰る人はひとりもいない。聞いてみたところ、意図的にそうしているのだ、という話でした。敬語を使うと本来の自分が失われて、知らず知らずのうちに自分にブレーキをかけてしまうから、と。その姿に、僕は救われていたんです。
それらの話を聞いて、はっとした。今の自分は「目先のことにとらわれるあまり、ブレーキがかかっている」状態だな、と思った。
同時に、晴れた空を見て、コーヒーを飲みながらほっとしたり、あの人に贈りものをしたいと考えたり、少し散歩をしたり。そんな毎日が何より大切で、失いたくないものだったはずなのに、それすらも消し去ろうとしていたことに気づいた。
今後の生き方を、もう少し考えよう。いまいちど、自分を見直そう。そんな木曜日の昼下がりです。
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