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ゲームと子育て

そういえば昨年、子ども達のフリースクールでクリスマス会があった。保護者会もPTAもない、子どもがともかく主体なうちの子の通うフリースクール。他のお母さんたちとは送迎で顔を合わす程度で簡単な挨拶以外ほとんど話したことがなかった。

私と同じようにイレギュラーな道を子に選択させてる強者、、いえ変態?なお母さんたちはどんな方達かしら、、とワクワクドキドキしながら参加させてもらった。


そこでボーダー柄の服にジーンズの綺麗に日に焼けされておそらく化粧はされていない素敵な笑顔のお母さんと話をした。(優しそうな方だったので私が話しかけた)
話をすると、どうやらうちの子たちがフリースクールに通い出したばかりの頃、私もすこし話したことがある自然大好き虫大好きな男子生徒のお母さんだった。

その小学4年生だという男の子は、フリースクールに通い出したばかりの少し緊張気味のうちの子や保護者の私に、日本の虫から世界にいるありとあらゆる虫について、詳しく話してくれた。そして隙あらば街路樹や草陰にいる蟻やらバッタやらを目をキラキラさせて探していた。
ああ、こういう自然が大好きな子に育てたかったんだよな。。と私はその時思った。

自然のなかで自然と戯れる幼稚園に入れたのに、今は蟻ですらキャーキャー嫌がる娘と息子が少し情けなく感じる。

そして、『ああうちはゲームやタブレットをさせたからな』と思った。
いつもの思考の流れだ。
そしてこれもいつも思うのだけど『でもゲームから隔離するのは我が家では不可能だったんだから仕方ないな。ゲーム好きな夫と毎日大げんかや、子どもがやりたいというものを否定するよりはきっとよかったはず。。』と思った。
ちなみにこの思考の流れは、よく『第一子を育てるお母さんがゲームは絶対させない』ということを話している時に、自分を落ち着かせる為によく使われる思考の流れです。笑

この子のお母さんもきっと、ゲームやテレビからは上手に離して、野菜たっぷりの食事を作る(そして子どもも野菜をモリモリ食べる)良いお母さんなのだろうなと思った。

自分が以前なりたかったような。。

世間で素晴らしいと褒められるような。。

そして「私も本当はそういう風に育ってほしかったんですよね。自然がたくさんの幼稚園に通わせたのに、もう今やゲームばっかりでインドアです。」と笑いながら伝えた。
すると、そのお母さんは真顔で「でもゲームが悪くて自然がいいというわけじゃないと思いますよ。」と言った。その言葉には、よくある私に気を遣って言った感じがしなかった。
「私も、ファミコンとかのゲーム世代だったので、兄たちと一緒にたくさんゲームやりましたよ。でも今は全然やりませんしね〜。だから、大きくなってもやるとも限らないし、私は今は焚き火とか畑とか大好きになりましたし。自然の幼稚園に入ったからって、虫が好きになるかどうかはまた別の話ですし。そもそも、うちの子はたまたま、虫が好きだっただけと思います。入園から卒園まで、ずっと虫が大嫌いだった子もいますよ。その子がそういう趣味というだけですよね。」と言った。

私は驚いた。


話をうまく消化できず、ただとても大事なことを聴いた気がすると思いながら、「そうですよね。。」と言って頭がぼーっとした。

その後、しばらく考えたり、夫と話したあとで、ようやく腑に落ちた。私は生まれて初めて、心の底から「ゲームが悪ではない」と思った。

実を言えば、私自身もゲーム世代で、当時の女子にしては珍しく、ファミコンからプレステまでかなり長い間やり続けた。5才の幼稚園時代から、となりに住むファミコンをもつ男の子の家に入り浸った。小学校高学年には、ファミコン、スーパーファミコン、プレステ、全部買った。
それは自分だけでも長時間よくやったし、友達とももちろんしたし、姉や、母ともやった。そして、それらの冒険はとてもとてもいい思い出だ。ファンタジーの長編を見たり読んだりしたくらい、いい冒険の思い出だ。

時々、無性にむかしやっていたゲームの音楽が聴きたくなることがある。きっと同じような人もたくさんいるでしょう。

同じように、小学校の頃に読んだ本を読みたくなる時もあり、その頃にはまっていた、海外ドラマの主題歌を聴いて胸があつくなることもある。そして一様にそれらを聴くと、とても幸せな気持ちを思い出す。

プレステを12時間をやりつづけて吐いたことがあるけど、笑、小中と勉強は好きだったし、基本的に学ぶことが好きだし、大人になってからゲームがやりたくて仕事を休んだり、何かゲームが好きだったせいで生活に困難が生じたことはない。どちらかと言えば、わりと機械に強かったり、パソコンやネットにすぐに馴染めた方だと思う。(夜更かしして寝不足になったことはあるけど、読書でも同じくらいだる)なんなら、10代の頃にハリーポッターの発売日当日、どうしても続きが読みたくてアルバイトを休んだことがあるくらいだ。
でも、世間では子供にとって、本は、、読書はとてもとても良いものとされて、ゲームはとてもとてもよくないものとされている風潮がある。強くある。

このお母さんとはこの一回きりしか会って話していないけれど、
この話は心にずっとずっと残っている。

親が、友達が、世間が、本が、シュタイナーが、芸能人が、偉大なことを成し遂げた人が、敬愛する人が、言ったからといって、それが全て正解で必ず幸せになれるというわけではないのだから。
ゲームが人を必ず幸せにすると言うわけでももちろんない。

ただ経験を選択する自由があるよねと思うこと。あなたにとって有害だったものが、全員に子供にとって有害とは限らない。
そもそも有害と思い込んではいないのか。
勉強は学校は絶対に有害ではないのか。

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