【コラム】家族生活のテリトリー
家族は我々人間が生まれて初めて所属する集団です。
特に小さな子供にとって、家族は当たり前の存在であり、代替不可能の存在でしょう。
小さな子供がいる家族は、あまり空間を仕切ろうとしません。
親は小さな子供から目を離すわけにはいかないし、小さな子供は親と一緒にいたいからです。
しかし、子供は大きくなると、家族生活の中で自分のテリトリーを形成し始めます。
上図を見ると、
生まれたばかりの赤ちゃんは、母親のひざの上でごはんを食べさせてもらう。この時はまだ、自分用の皿すら用意されていない。
大きくなった子供は、食卓テーブルに自分用の椅子を持ち、自分の皿から自分で食べるようになる。
さらに大きくなると、自分の部屋を持つようになる。
大人になると、ときどき家族から遠ざかるようになる。
というように、子供が大きくなるにつれて、自分のテリトリーを持つようになり、それが拡大しています。
小さな子供は、家族という集団に従属するしかありませんでした。しかし、子供は大きくなると、家族から独立し、さまざまな社会的集団に所属するようになります。
そうするうちに、子供にとって家族はたった1つの集団から、単なる1つの集団となるのです。(もちろん、いくつになってもかけがえのない存在であることは変わりません。)
また、自意識が芽生えると、今まで何の疑いもなく受け入れていた家族生活のあり方が実はちょっとおかしくないか?と思い始めたりもします。
つまり、家族生活というのは、我々人間がさまざまな社会的集団に所属し、その中で自分の居場所(テリトリー)をつくるための予行演習なのです。
そして、我々人間のテリトリーは建築空間よりももっと複雑に仕切られています。LDKと子供部屋があれば上手くいくものでもありません。
我々人間のテリトリーに対して、一体建築空間はどのようにつくられるべきなのか。今はまだ、明確な答えが見つけられていません。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。今後もこのような記事を不定期で投稿する予定なので、どうぞよろしくお願いいたします。
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