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オンラインワークショップの可能性と未来を感じた話

2020年3月11日(水)、【オンライン】Ethical UX Workshop ~UXデザインと倫理、社会的な影響を考える~ に、自宅からリモートで参加した。

前回のnoteに書いた通り、Ethical UX Meetupはできる限り参加したいと思っていたところに、新型コロナの影響でどうしても集まって行うワークショップの開催が難しい状況になっていたのを、もともとファシリテーションをされる予定だったエイマエダカツタロウさんが中心になってオンラインでのワークショップが企画されたとのこと、一も二にもなく飛びついた形だ。

結論から言うと、本当にチャレンジングなワークショップだったが、ある一定以上のクオリティでアウトプットができていたように思うし、オンラインワークショップの可能性や、オンラインだからこそできる新たなワークショップの展開なども見えた本当に素晴らしいワークショップだった。

そう感じられた要素がいくつかあるので、ご紹介したい。もちろん改善すべき点やかゆいところに手が届かない感じもあり、もっとこうだったらいいのにという点も合わせて書いていきたいと思う。

オンラインワークショップの事前準備

ワークショップに限らず、オンラインでなにかを決めたり話を進めたりする場合、参加者の通信や環境、共有したり利用するツールの事前準備が肝要だと思う。運営側はもちろんのこと、忘れがちだが参加者もけっこう準備がいる。

運営側の成功要因としては、エイマエダさんがかなりきっちりとワークを準備されていたことだろう。

しかし、もう一つの事前準備である自分サイドの環境面では、私も含めほとんどの参加者は脇が甘かったのではと感じた。

特にスムーズな環境を左右したなと思うのは、PCのスペック、Wifiなのか有線なのか、マイク付きのヘッドホンまたはヘッドセットなのかなどなど。

今回は4時間近いワークショップだったので、AirPodsの参加者は最初のワークが終わる前に充電が切れてしまったはずだ。私自身の話で言うと、有線イヤホンの調子が悪く昔使っていたヘッドセットを出してきたものの、古すぎて耳あてのカバーが劣化しボロボロだったため、長時間利用すると圧迫で耳が痛くて最後の方はかなり辛かった。iPhone付属のイヤホンの優秀さを改めて噛み締めたりしていた。

そのほかのスペックとして、MacBook Pro、自宅Wifi(Google Wifi)にもかかわらず、同時にワークの作業している時にはタイムラグが発生していた。当日の私のグループのワークでは「電源がないと死ぬ」「インターネットがないと死ぬ」というアウトプットが出た。他のチームの方からも「わかりみが深い」とのコメントもいただいており、やはり電源と通信環境、ヘッドセットなどの出力入力が整ってないと大人数のワークショップでは死活問題だろう。

物理的な理由以外にも、どれだけ自分自身が先に情報をインプットできていたかも重要かもしれない。

運営からはPeatix経由で事前の準備お願いメール的なものがたくさん来ていたのだが、正直なところ開始事前に「参加のURLはどれだっけ?」という形ではじめて読んだレベルになってしまったからだ。

特に今回はZoomとMiroを利用してのワークショップということで申込直後にDLしたりアカウントは作ったものの、当日はZoomのURLが1つ、MiroのURLが2つでボードが分かれていたりと、どれから始めたらいいのかがわかりにくかった。

さらにMiroの特性上運営などから参加承認をもらわないと入れないなどオペレーションの問題も発生していたのだが、Zoomログイン後にほぼ全員がMiroの問題を音声で問い合わせしていた。Zoomのチャットがメインで、ここに主要なことを書いてくれてはいたものの、自分がジョインする前に流れたチャットを人はあまり読まないようだ。少なくとも私は全然気づけなかった。

これは、例えば”問い合わせはZoomのチャットのみ”とか”Miroの問い合わせは〇〇さん”いうのを明記してくれていたら解決したかもしれないと感じた。簡単に言うと困った時の導線が明確だったら嬉しいなということだ。

私はかなり最初の方でログインしていたけれども、あとから入ってくる人がほぼ同じ状況だったこともあったので、準備に時間がかけられるならログインテスト用のURLを用意するのもアリだろうなと思う。もしかしたらログイン方法のHowTo動画があるのもいいかもしれない。

想定外の問題がたくさん出たことが、こういった新しいワークショップの導入や運営方法を模索し発展させるのだろうなという可能性を感じた。

オンラインのワークショップは慣れるためのアイスブレイクが重要

そもそも面と向かいあうワークショップでも人見知りを壊すのが難しい。そのためにアイスブレイクがあるのだが、オンラインでは顔出しがなくトークだけの参加が可能なため、さらに難易度があがっていた印象だ。

運営からは事前に「ワークショップの性質上、顔出しでお願いします」とアナウンスがされていて、顔出しができない場合はSnap Cameraの利用が推奨されていたものの、やはり最後まで顔出ししない人もいたようだ。私もSnapCameraをDLしたのはZoomを開始した後である。

これも含めてツールに慣れる練習として、(できれば当日ではなく)最低限ニックネームでもいいから名前や個性、特性がわかるような参加登録カードみたいなものを入力させると良かったかなと思う。なぜならZoomでログインすると謎の英数字IDが自動で割り振られてしまうし、リネームが必要なことはログインしてからしかわからなかった。先に入力させないまでも、アイスブレイクまでのワーク内容ややってほしいことは先にスライドで共有してもらえれば回避できたのかなとも思う。

表情や雰囲気はもちろん、手振りが見えるだけでもコミュニケーションロス激減するので、やはり顔出しはキーポイントの1つだろう。

しかし、ここまでスムーズにできていたとしても、達成率はまだ3割といったところ。

どちらかというと始めてのツールの操作に慣れることが7割以上占める気がする。ここを解決するために、Zoomでグループごとに分かれるのワークが挟んであったのだが、Zoomのグループ分けでの所作がわからなすぎてかなり時間がかかったし、予定よりも大幅に延長した理由のように思う。

ツール操作に関して、もちろん運営側もチャットや口頭でかなりのフォローを入れてくれていたが、ワークが始まったあとは5〜6人がフルに動き回っていても足りていない印象だった。理想はグループごとにファシリテーターがいる状況だろうが、30名強の参加があり6〜7チームに分かれてしまうワークに運営を全員設置するのは現実的ではないだろう。実際ワークショップ後の意見交換のときの話では、1人はファシリテーションに専任、1人が機器にかかりっきりで他のことは全然できないぐらい忙しいという状況だったようだ。

ただ、今回のワークショップは有料(事前支払い¥1,000)だったことと、エシカルに課題を持っていたり、エシカルはわからなくてもオンラインのワークショップに興味があるから体験したい、みんなで一緒に良くしようという、そもそもリテラシーが高めのメンバーだったこともあり、最初のグループワークを乗り越えた頃には、ある程度グループ内やZoomのチャット内で声をかけあったりして、少なくともウチのグループ(グループ3)ではいい流れが出来上がった形だった。こういうアーリーアダプターが改善点などをどんどん共有していって、新しいカタチのオンラインワークショップが出来上がってくるんだろうなという期待も大きい。

そういう意味でも本当に面白いワークショップだったと思う。

実際のワークショップの中身などは引用ばかりで恐縮だが、エイマエダさんのふりかえりがかなり丁寧なので、上記のリンクを参照してほしい。

ZoomやMiroの使い方なども、リモートワークのnoteなどで多数紹介されている印象なので今回は詳細を省く。

当日のスライド

ちなみに運営サイドから即日スライドの共有などもあり、かなり手厚いワークショップだと思う。

オンラインならではの良さが楽しい

今回、オンラインでよかったなーという点がたくさんあった。

その中の一つが子供の乱入だ。たしかGitLabのHackに書いてあったと記憶しているが、ビデオチャット中に積極的に子供やペットが画面に映り込むようにしろというもの。ちょうどみんなが初めてのツールにピリピリし始めていた時間帯、お子様2人がパパの後ろでかわいいダンスを披露してくれた。本当にそれだけのことなのだが、ワークショップ全体が一気にほっこりなごんだ良い雰囲気になったし、グループワークならきっと会話のとっかかりになっただろう。リモートでは、カメラやPCのスペック、画面の色味などで、表情が分かりにくい状況になりがちだが、子供が闖入してきてダンスを踊ってくれるなんて絶対いいパパに決まっているとみんな確信を持つはずだ。

やはり人柄が即座にわかるような環境が生まれるのはオンラインならではの楽しさだろう。

もう一つは、Zoomグループだ。まず一斉に同じ箱に放り込まれるように画面が共有される。そして、主催側が設定した時間に一斉に全体に戻されるという仕様だ。時間が明確にきっちり分けられるし、1分前のカウントダウンがはじまったりすると「あと1分しかないです!」と誰かが仕切りだす。グループごとのチャットが全体やファシリテーターに共有されないのはZoom自体の課題だと思うが、人数が多いワークショップの場合、この機能を上手く利用した組み立てが主流になってくるのではないかと思う。一歩も動かずグループで内緒話のように密なコミュニケーションができるのはオンラインならではだと思う。

最後の一つはオンラインだからできるアクションだ。最後に残れる人たちだけでこの日のワークショップの良かった点、課題や改善点をディスカッションしたのだが「noteを書きたいが顔出しOKな人は手で丸を作ってください!」という呼びかけにこんな感じで応えてくれた。

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これはMacのスクショなのだが、このとおりすぐに写真が撮れるし、共有も簡単だ。この時点で22時半だったのだが、自宅だからこそあとは寝るだけとばかりに高いテンションで全員が走り切ることができていたように思う。

今回は頭をフル回転で使うワークが多かったこともありほとんどいなかったようだが、ビール片手にビアバッシュもできるだろう。自宅でなくても、プライバシーが確保でき、WifiとPCがあればどこかの温泉旅館でリモートワーク…なんてこともいい。

オンラインの可能性は無限大だ。

オンラインだからこその失敗もたくさんある

あえて私自身のことを書くが、今回の失敗はなぜかこの会に限って自宅のWifiが不安定で、Zoomが常に重いこととMiroを使っているときに頻繁に固まったり予期せぬ動作をしたこと。あとはヘッドセットを利用していたのだが、これも最後の最後に音声が乱れ「声が宇宙人みたいになってる!」と言われてしまったことだ。自分の聞こえには影響がなさすぎてどういう音質になっていたのかわからないが、通信状況では声だけ伝えられないことも発生する。

リスクヘッジとして

・大事な発言はチャットに書く。
・話す人の順番を番号をつけて決めておく。そして声がダメならチャットに「2番の方お願いします!」などと書く。
・グループワークなら「みんなでこうしていこう」と積極的に提案する
・Miroならコメント機能を使う
・あえて使うツールを多くしすぎない

などなど。これは今回のワークショップで出たみんなの意見だが、どんどん出てくるので書ききれないぐらいだった。意見では出なかったが、UDトークで自動字幕をつけるなどオンラインならではのツール利用で回避できることもあるかもしれない。

ちょっとの工夫が面白い視点や相乗効果生み出すので、今度はなにか自分でオンラインワークショップを設計できないかな?と思っている。

オンラインワークショップの可能性と未来を感じて、このワークショップが終わって1週間経ってもワクワクし続けている。




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