#33 ホルンを吹くとき、音が出る一拍前に吸うのでは遅すぎます

息を吸って、その息を吹いて音を出すのが管楽器です。

ホルンを習うときも、「予備拍1、2、3、4の4で息を吸って、次の1で音を出しましょう」と教わるはずです。
これはある意味では正しいのですが、正確には間違っているとわたくしは思っています。

まず、楽器習いたてのときは、楽器を吹く技量を磨くのと同時に、リズムやハーモニーといった音楽の基礎も学ぶ必要があります。

そういう意味で、4で吸って1で吹くというのは、リズムを身に付けるのに最適です。
さらに息を吸うことに特化すると、3で一旦息を吐いた上で、4で吸って1で吹く、なんて教え方もあるかもしれません。これは、深い腹式呼吸を覚えるのによいでしょう。

しかし、ホルンを吹くという観点で考えると?
4で吸うわけですが、次の1で吹くまでに、アンブシュアを整えないといけません。

しかし果たしてそんな時間があるでしょうか。答えはNoです。
演奏者には、息を吸ったあと、吹く準備をする時間が絶対に必要なのです。さらにこれは、ミスの無い、精度の高い演奏をしようと思えば思うほど、必要になってくるものです。

具体的には、半拍ほどの時間をアンブシュアを作る時間に充てるとしましょう。
そうすると、3拍目の途中で吸い始め、4拍目の途中で吸い終わって、半拍でアンブシュアを作って、次の1で吹きます。
これが、今わたくしがやっているブレスのタイミングです。(実際にはもっと早く吸い始めることも多いです)

演奏経験を重ねるとホント実感するのですが、アンブシュアを作るという作業は、かなりやることが多いです。
マウスピースに対してきちんと位置をセットして、下顎を張り、口角を固定し、上唇を張って所定の位置に当て、舌の位置を決め、口の中の圧力を掛けた上で、音を吹く。
これを一瞬のうちにやるわけです。しかも常に同じことをやるわけではなく、次に吹く音の違いによって、準備の内容も少しずつ変わるのです。

特に、ハイトーンを吹くときや、小さいpの音を吹くときには、吹く前に口の中の圧力をかなり上げないと綺麗な音で当たりません。
なので、これらの音を吹くときはさらに数瞬の余裕を持って準備をします。それだけシビアな準備をしないといけないのです。

ある程度ホルン演奏経験のある方で、出だしで音を外すとか、思い通りの音が出なかったという事象の大半は、この吹く前の事前準備がきちんとできていなかったことに原因があるとわたくしは思っています。

きちんと準備してから音を出す。
そういう当たり前のことがぜひ広まって欲しいと思っています。

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