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アレッシオ・シルヴェストリン作曲『百人一首のための注釈』分析(2)フェルマーの小定理による歌の配列の置換

『百人一首』における藤原定家による歌の選定は、連想やことば遊びに細心の注意が払われているようにみえつつも、他の詞華集では顕著な審美的一貫性を欠いていて、伝統的な解釈に囚われない再解釈を想定することもできるほどであり、その配列は、詠まれた年代順に基づきながらも、必ずしもそれに縛られず、平安王朝史としての趣も持つといわれます。そこで、『百人一首』は、単に歌を蒐集した詞華集であるばかりではなく、歌が歌を紡いでいき、連鎖しては、ひとつの長編文学を編んでいくような、文字通り「一首」であるという仮説も立てられるでしょう。それを文学的に解析することは、専門家の方々にお任せすることにします。代わりに『百人一首のための注釈』でとった再々解釈の方法は、次のようなものです。

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