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6th X Design Forumに参加してきた

1週間前のG.W最終日「6th X Design Forum」午後の部に参加してきました。午前中はワークショップが開催され、70-80名参加されたようです。

私が参加した午後の部のプログラムは以下のような内容でした。

第1部 フィンテックとデザイン 
・「フィンテックと変革」
 瀧俊雄(マネーフォワード 取締役執行役員、Fintech 研究所長)
・「もしも、あなたがフィンテック業界に今入ったら。」
 大塚敏章(ヤフー(株)コマースカンパニー 金融統括本部開発本部デザイン推進室/事業推進本部 事業推進部)
・「ユーザーエンゲージメントを高めるUI/ UX」
 田中健二(楽天カード(株)編成部 プロモーションデザイングループ マネージャー)
・ファシリテーター:浅野智(Xデザイン研究所・共同創業者)
第2部 経営とデザイン 
・「デザイン経営」
 菊地拓哉(経済産業省 クールジャパン政策課 デザイン政策室 課⻑補佐・室⻑補佐)
・「ビジネスをリードするデザイナ像」
 長谷川敦士((株)コンセント代表取締役)
・「日立における経営とデザイン」
 丸山幸伸((株)日立製作所・主管デザイナー)
・ファシリテーター:山﨑和彦(Xデザイン研究所・共同創業者)

第1部はフィンテックという業界を理解しやすいよう3名の方がそれぞれの立場からご説明してくださいました。


「フィンテックと変革」では
フィンテックとは?から始まり、GAFAM銀行ができたら、金融機関のユーザー体験、キャッシュレス化に向けて、キャッシュレス化の社会的意義、銀行を選ぶ要因、銀行とプラットフォームバリューなどのお話でした。
印象的なキーワードとして下記。

・フィンテックは未来の開けた分野をテックで埋めていくもの
・決済は支払う行動自体が透明化していくことが最善ではないか
・貯蓄や保険については、そもそも貯金できている人は少なく、日本では安全な貯金かハイリスク/ハイリターンな金融商品へ振られ安く、その中間へ中々割り振られない。「おかん」のように良しなに自動で貯金してくれるようなサービスや「大企業」というネーミングの保険商品など必要では
・融資は「借りる」から「買える」「使える」という流れ。例えばMaaS。
・認証は重要で、見せ方やユーザー体験にはデザインが影響する
・日本とドイツはキャッシュレスが進んでいない。日本特有として考えられるのは、治安の良さやプライバシー懸念など
・銀行のAPIを経由したアプリやサービスを通して預金者は銀行と繋がるようになる

「もしも、あなたがフィンテック業界に今入ったら。」では
銀行API、スマホ決済、eKYC、ミニプログラム、お金がネットで扱われる際の重要なポイント、個人の経済活動におけるメディアの転換、業種における規制の壁、言葉の壁、構造的な壁、セキュリティの壁、人の壁などのお話でした。
印象的なキーワードとして下記。

・銀行APIを利用して利用者によりきめ細やかでイノベーティブなサービスの提供が可能
・eKYCにより、認証プロセスが簡略化されユーザー体験が向上する
・WeChatやAlipayではミニプログラムとしてサービスを提供している
・お金がデータになるとどんどん繋がる
・ネットの良い点はアクセシブルで即時性がある、課題は安全で信頼できるようにすること(まだ不安に思っている人は多い)
・サービスを開発するには様々な壁があるが、それらを乗り越えた先にありたい未来がある

「ユーザーエンゲージメントを高めるUI/ UX」では
クレジットカード会社のユーザー接点、楽天のデザインシステム、ユーザーエンゲージメント向上のキーファクターなどのお話でした。
印象的なキーワードとして下記。

・楽天経済圏内での共通IDPWはユーザーメリット大
・ポイントを流通させる仕組みが大事
・ReXという楽天グループ全体のUI/UXに適用するデザインシステムがあり、ガイドライン作成、新技術導入、Goodな事例の吸い上げ共有など行なっている
・一貫性を向上させた
・使い続けてもらうサービスにし、接触回数を高める

第1部の最後のディスカションでは、スマホ決済、デザイン部門がサービス立ち上げにどこまで関わっているか、ブロックチェーンで貨幣をクリエイトするというテーマで展開されました。個人的には最近利用し始めたスマホ決済が興味深かったです。スマホ決済はプラスチックカードに比べて即時にデータを取得できるメリットはあるが、顧客データを取得する1つの手段でしかなく、そこで顧客データを取得しようとしている訳ではないということでした。また、ビッグデータは溜まってきているが活用には障壁があるそうです。外に目を向けると、数年前インドでは額面の大きいお札を廃止してキャッシュレスの流れが一旦できたが、キャッシュに戻ってきているという話もある。欧州はデビットカードが主流だったり、日本ではクレジットカードの発行がそこまでハードルが高くなく所有している人も多いなど、普及には国や地域の環境も影響するとのこと。利用者目線では、1つに集約されていくのか、それぞれのメリットを活かして使い分けていくのか、デザイン面も含めて注視して行きたいと考えています。

第2部は、「経営とデザイン」をテーマに経産省のプロジェクトに関連している方達による貴重なお話を聞くことができました。

「デザイン経営」では
デザイン政策、「デザイン経営」宣言、デザインと経営の温故知新、「デザイン経営」宣言後の展開、高度デザイン人材とは、抱負などのお話でした。
印象的なキーワードとして下記。

・日本では経営者がデザインを有効な経営手段と認識しておらず、グローバル競争環境での弱みとなっている
・デザイン経営の必要条件は、「経営チームにデザイン責任者がいること」、「事業戦略構築の最上流からデザインが関与すること」の2点
・デザイン経営は、ブランド力/イノベーション力を向上し、企業競争力を向上する効果がある
・1957年のとある日本企業では「アメリカの工業デザインが企画の初めから製品になるまで完全に近いほどデザイナーの力がおよんでいるのを知って、われわれの現場との渠が大きいのを痛感した。」という問題意識を抱えていた
特許庁自らデザイン経営を実践し、学びを得た
・「高度デザイン人材」とは「デザインを基軸にしてリーダシップを持ってビジネスの中核に立てる人材」
・「高度デザイン人材」の類型イメージは、「サービスデザイナー」、「ビジネスデザイナー」、「デザインマネージャー」、「デザインストラテジスト」、「ビジョンデザイナー」
・今後の抱負
 ・地方中小企業向けに「デザイン経営」のローカライズ、地域の人材やコミュニティの育成
 ・人材育成促進
 ・他省庁、省内他部署との連携強化

「ビジネスをリードするデザイナ像」では
課題意識、社会背景、「高度デザイン人材」検討の論点、「高度デザイン人材」の能力、「高度デザイン人材」の教育要件、これからの課題などのお話でした。
印象的なキーワードとして下記。

・ビジネスはサービス型(=UX重視)、生態系型に変化してきている
・デザインは、HCD/UX、デザイン思考、意味のイノベーションと変化
・「高度デザイン人材」の能力は、デザインスキル(UXデザイン、ビジュアライゼーションなど)、デザイン哲学(HCDなど)、アート(課題の発見・発想のための視点など)、リーダーシップ/アントレプレナーシップ(主体性ある関与など)、ビジネス(デザインプロジェクトの設計など)
・まずは、1つ軸になる分野があって、周辺知識を持つことが大事

「日立における経営とデザイン」では
デザインの対象、デザインの課題、体制/役割の変化、「経営とデザイン」に関する論点の私案、事例などでした。
印象的なキーワードとして下記。

・組織名から「デザイン」という屋号をとった
・役割としては、企画立案の前段での構想形成
・顧客の購買決定には、美しさ、使いやすさなどが強く影響する
・顧客は機能的価値ではなく経験価値を求めている
・企業は不確実な将来の事業環境と顧客に対して望ましい姿を創出する方法論を求めている
・企業は、顧客・コミュニティとの不断のコミュニケーションを行う組織運営の方法論を求めている

第2部のディスカッションの1つ目のテーマ「理想とするデザインと経営とは?それができない原因課題とは?」でした。以下のような理想に対する課題が提起されました。

・経営者とデザイナーの信頼関係が大事で、課題はデザインリテラシー
・経営の意思決定にデザインが関与していない企業の先は長くないのでは
・デザイナーが不足しているのではないか、育成や教育も足りない
・デザイナーの関与が足りないのでは
・外部要因で事業構想ができるが、それが会社として展開できるのか等の経営判断が難しい

二つ目のテーマ「日本の文化にふさわしいデザインのアプローチ」では

・日本はキャッチアップ型かもしれないが、コミュニティーに対して向き合っていくことが大事
・世界で見ると日本は極端なハイコンテクスト文化(=エクストリームユーザー)。言葉を発しないで発生するコミュニケーション。それを活かしたアプローチが可能
・日本は国民性としてボトムアップ型
・日本人はクリティカルシンキング、スペクラティブデザインなどの思考が不得意で、青空シナリオに向かってふんわりハイコンテクストで共有しながら達成・邁進するのが得意と感じる

と日本の文化や実体験などから考えうるアプローチの方法についてのディスカッションでした。

第2部はキャリアプランを考える上でも非常に興味深いお話でした。

G.W.開ける前の頭を仕事モードに切り替えるにも良い機会でした。毎回連休の最後の日に開催されているということなので、次回以降も参加しようと思いました。

ちなみに、午前の部のワークショップは弊社別の人間が参加してきて、早速課内でミニワークショップを開催しました。圧縮して実施したのでそのものを体感できたわけではないですが、課題解決手段として面白く役立ちそうな手法でした。

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