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日本で最初のグラフィックデザイナー・杉浦非水を知っていますか?

こんにちは、フェリシモミュージアム部のmitu.です。先日、展覧会「杉浦非水 時代をひらくデザイン」とのコラボについて、速報発表をしましたが、本日は「杉浦非水って誰?」という方に、その魅力を、ミュージアム部的視点で、5つのポイントに絞ってご紹介したいと思います。

(コラボグッズの詳細については、記事のいちばん最後をご覧ください!)

1.日本最初のグラフィックデザイナー

グラフィックデザイナーとは、パンフレットや広告のような印刷媒体やWebサイトに載せるグラフィックのデザインを行う職業。一般的には、広告代理店や広告制作会社、デザイン事務所、企業の広報部や制作部などが活躍の場。フェリシモでも、カタログやウェブサイトなどで、多くのグラフィックデザイナーのみなさまのお世話になっています。

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そんな、現代の商業広告では欠かせないグラフィックデザイナーという職業。しかし、明治から大正時代にかけて図案(グラフィックデザイン)は、画家が片手間にやるもの、もしくは印刷所の版下工の仕事としての認識が強い時代でした。

まさに日本におけるグラフィックデザインの創世記。そんな中で非水は、図案に魅せられ、図案を研究し、図案の表現を追求したデザイナーなのです。

3-4-7上野浅草間開通

《東洋唯一の地下鉄道 上野浅草間開通》昭和2年(1927) 愛媛県美術館蔵

2.三越のブランドイメージを作る

明治から大正時代にかけて、ハイカラで最先端な空間といえば百貨店。そんな中でも、三越呉服店(現・三越)は、欧米のデパートを参考に、和風から洋風へ舵を切り、食堂・写真室・イルミネーションなどを設置し、次々と新しいことを始める革新的な百貨店でした。

大正3年 三越室町図案部にて

大正3年 三越呉服店図案部にて

そんな三越に明治41年(1908)、非水は夜間勤務“嘱託”として入店。新設された図案部の初代主任となり、同店のポスターやPR誌の表紙など、様々なデザインを一手に担当。

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左:《三越呉服店 春の新柄陳列会》大正3年(1914)愛媛県美術館蔵 
右:《三越呉服店 新館落成》大正3年(1914)愛媛県美術館蔵

昭和9年(1934)8月末に退社するまで、27年にもわたって三越に在籍。いつの頃から「三越の非水か、非水の三越か」とささやかれるほどに! この非水の一連の仕事は、近代日本における“ブランディング”の最初の成功例とも言われています。

3.嘱託であり続けた働き方

三越での活動を中心に据えてはいるものの、あくまで三越の”正社員”ではなく“嘱託”であることを貫き続けた非水。三越以外にも、カルピス、ヤマサ醤油、日立電気、出版社など、数々の企業の仕事を請け、多くの代表作を残しています。

3-1-2爽快美味滋養飲料カルピス

《爽快美味滋強飲料 カルピス》大正15年(1926)愛媛県美術館蔵

3-4-2ヤマサ醤油

《ヤマサ醬油》1920年代 愛媛県美術館蔵

大蔵省専売局(現・JT=日本たばこ産業)でも嘱託として、たばこのパッケージ図案を担当し、多数のデザインを生み出しています(東京会場が「たばこと塩の博物館」なのも納得!)

日光

《NIKKO》1949年(商品発売年)たばこと塩の博物館蔵

多様な働き方がうたわれる現代。”嘱託”という方法で、デザインを磨き続けた非水の働き方は興味深いものがあります。

4.ブックデザイナーとしての理念を掲げる

非水の数々の作品の中で、ミュージアム部員が魅せられたものひとつ、それが本の装丁でした。アール・ヌーヴォー、セセッションなど時流に沿った様式を取り入れつつ、持ち味である写生の要素を巧みに取り入れ、そして何よりもキャッチー!

3-5-10現代日本文学全集 並装版01

『現代日本文学全集 十一編 正岡子規集』(並装版)昭和3年(1928)個人蔵

2-1-16  菊池幽芳著『百合子』上・中・下

菊池幽芳著『百合子』上・中・下 大正2年(1913)愛媛県美術館

夢の華

与謝野晶子著『夢の華』 明治39年(1906)愛媛県美術館蔵

「ブックデザイン=画家が片手間にするもの」という見方が主流であった当時、非水は芸術性を保持しながら、クライアントの要求を汲んで、内容(本文)に添った図案を作るべきだと説いています。いち早く「デザイナー」としての理念を掲げていたのが非水なのです。

装丁展覧会 会場風景

「書籍装丁雑誌表紙図案展覧会」会場写真(『非水アルバム帖』より)
撮影:明治45年(1912)愛媛県美術館蔵

5.デザインの普及者・教育者として

さらに非水は、企業からの制約を受けない図案集という形でも作品を発表。自らのスタイルを世に発信しました!

3-6-1創作図案集(猫)

『非水創作図案集』 大正15年(1926) 愛媛県美術館蔵

さらに、ヨーロッパへ遊学し、より実践的な図案研究についての重要性を感じた非水は、日本初の図案研究団体「七人社」を結成。創作図案展の開催や、機関誌『アフィッシュ』を刊行。

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『アフィッシュ』第一年第一号 昭和2年(1927)7月 愛媛県美術館蔵

また、帝国美術学校(現・武蔵野美術大学)教授をつとめた後、多摩帝国美術学校(現・多摩美術大学)の初代校長兼図案科主任教授に就任。普及者・教育者としての活動を積極的に行いました。

非水を知る入門編にして決定版の展覧会

いかがでしたでしょうか? フェリシモミュージアム部的5つのポイントでご紹介しましたが、非水の魅力はまだまだたくさん! 今回の展覧会では、初期から晩年にいたるまでの作品はもちろん、創作の背景を知ることができるスケッチ、写真、遺愛の品々も展示されます。杉浦非水をたっぷり堪能することができる展覧会ですので、ぜひ注目ください。

『杉浦非水 時代をひらくデザイン』
 第1会場
 会場:島根県立石見美術館(島根県益田市有明町)
 会期:2021年7月3日(土)〜8月30日(月)
 第2会場
 会場:たばこと塩の博物館(東京都墨田区横川)
 会期:2021年9月11日(土)~11月14日(日)
 第3会場
 会場:三重県立美術館(三重県津市大谷町)
 会期:2021年11月23日(火・祝)~ 2022年1月30日(日)
 第4会場
 会場:福岡県立美術館(福岡市中央区天神)
 会期:2022年4月15日(金)~ 6月12日(日)
 第5会場
 会場:静岡市美術館(静岡市葵区紺屋町)
 会期:2022年11月19日(土)~ 2023年1月29日(日)
 第6会場 
 会場:群馬県近代美術館(群馬県高崎市綿貫町) 
 会期:2023年4月22日(土)~ 2023年6月18日(日)

※本企画展は終了しました

6/28追記:コラボグッズ第一弾発表!

6/29追記:コラボグッズ第二弾発表!

6/30追記:コラボグッズ第三弾発表!

7/1追記:コラボグッズ第四弾発表!

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