ハートフルな研究者

・目力が強い友人(70代女性)と会ったので喋る。
聖書のエズラ記の面白さについて語る。彼女の熱量に影響されて私の方も目をかっぴらいて話した。
背が低い彼女のパワフルさに押し倒されないよう踏ん張る。
 
エズラはすごい。歴代誌を書き上げたエズラのその知識と洞察と研究は目を見張るものがある。
祖国への愛と信仰の塊。
何でもかんでも神に感謝する謙虚さもかわいい。ハートフル人間。

 
・話すことが全体的に抽象的な友人(60代女性)に会ったので喋る。
以前彼女のことは日記に書いた。

それ以来、話す度に少しずつ互いの欠損を補うような友情関係を築いている気がする。
彼女は話すことが抽象的なので、こういう意味として受け取って大丈夫?と確認をいちいちとる。その無駄ばかりの会話が、「なんだか愛だな」と漠然と思い、気に入っている。
彼女と交換日記をすることになった。
素敵なノートをあなたが選んでと言われたので、今度探しに行く。

 
・今日もゆっくりカミュの「異邦人」を読む。面白いのに、相変わらず沢山は読めない。
全体的に静かでゆっくりめな文章なのに、喧噪の中のシーンは頭がくらくらするほどうるさい。

この喧噪のなかでも、彼らは低く話し合って、しかも意思を通じ合うことができる。地面の方からはいあがってくる、アラビア人の鈍いつぶやきは、彼らの頭上で交差する話し声に対して、引きつづき、いわば一種の低音部をなしていた。こうしたすべてに、私はすぐさま気がついた。私はマリイの方へすすんだ。格子にはりついて、マリイは一生懸命に私に微笑んで見せた。私は大そう綺麗だと思ったが、それを彼女にいってやることはできなかった。
「いかが?」と高い声でマリイがいった。「この通りさ」――「丈夫なのね。ほしいものは別にないわね」――「ああ、別にない」
われわれは黙り込んだ。マリイは相変わらず微笑していた。大女は私の隣の男に向かって勢いていた。恐らくその夫なのだろうが、率直な眼をした金髪の大男だった。それは既に始まっている会話の続きだった。

異邦人 79P

主人公が牢獄の中で、自らの生活に規則性を見出し、それに順応し、満足していく過程が面白かった。
異邦人(主人公)の異邦人らしさが、絶妙で良い。

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