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スター・ウォーズ ゲーム研究本を出すために 第2回 スター・ウォーズ版オーバーウォッチ『スター・ウォーズ:銀河のハンター』

【執筆者:畑史進 (ハタフミノブ)】

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■『スター・ウォーズ:銀河のハンター』


『スター・ウォーズ:銀河のハンター』はこのコラムを執筆している時点で最も新しいスター・ウォーズゲームだろう(最近はしれっとiPhoneなんかで配信されるから把握できねー)。ところで英語では『STAR WARS HUNTERS』、カタカナにしても『スター・ウォーズ ハンターズ』で別にこのままでも良いのにわざわざ「銀河の」を付けたのは理由があるんだろうか・・・。


本作はジンガ(Zynga Inc.)が開発。日本では聞き慣れないメーカーだが、2007年に創業してからFacebookゲームアプリを手掛けてきたメーカーで、カジノ系オンラインゲームで成功を収めた著名な会社。日本で言うところの『モンスターストライク』や『パズル&ドラゴンズ』的な感じでスマフォゲーム、SNSゲームで一躍名乗りを上げた会社として認識すれば大丈夫。

映画系版権ゲームもいくつか手掛けていて『CSI:科学捜査班』『パイレーツ・オブ・カリビアン』がある。2018年にディズニー社と『スター・ウォーズ』ゲームの契約を結んで作られたのが本作。元々ハズブロと提携していたこともあってホビー関連でスター・ウォーズゲームの契約ができたと見ているアナリストもいるとか。


そんな本作はざっくりと紹介すると『オーバーウォッチ』系のゲーム。

4人一組のチームとなって戦うという至ってシンプルな内容。キャラクターもHPが高めでチームの壁となるタンク系、HPは抑えめなものの攻撃力に特化して適宜敵をなぎ倒していくダメージ系、自陣営の援護に徹するサポート系の3タイプに分かれていて、これらにストームトルーパー、ウーキーの戦士や賞金稼ぎ、マンダロリアン、ライトセーバーを持った“フォースの使い手”といったスター・ウォーズに出てくるアイコニックなエイリアンやジョブが割り振られている。


なんでこんな書き方をしたのかって?

ダース・ベイダーやルーク・スカイウォーカー、ハン・ソロみたいな固有の、ユニークキャラクターは一切登場してこないからだ!(執筆時点)。映画シリーズしか知らないとかなり戸惑うようないで立ちをしたキャラクターばかりだが、スピンオフを一通り見ている人からすると見慣れた光景のような“一般人”の集まりに見えるのが今の『スター・ウォーズ』。

もっと言い方を悪くすると、映像に映ることが許されなかった不遇のキャラクターの集合みたいな感じである種、見た目には面白さがある。とはいえ、『エピソード4 あらたる希望』に登場したジャワ族や、『エピソード5 帝国の逆襲』に現れた謎の爬虫類型エイリアンが先陣を切って闘うさまは今までのスター・ウォーズゲームではあまりなかったので、こういった銀河の何処かにいた一般人の戦いというのは新鮮。


スター・ウォーズって一種のカルチャーからライフ、生活の一部になっているような人、極めついた人って言い方のほうが良いかもしれないが、そういった人がファンミーティングやセレブレーションとかにコスプレ参加をすると自分で新しいスター・ウォーズキャラクターをメイキングして参加したりする。もうダース・ベイダーやルーク・スカイウォーカーではない、新しいキャラクターになって遥か彼方の銀河の住人になるんだっていう感覚なんだよ。


そういったことも狙っているのがここ近年のスピンオフの傾向。とにかく新しいキャラクターを生み出すことに躍起になっているルーカス・フィルムの現状はただ単に新しいキャラクターを作って、エキサイティングなストーリーで人気を作って、そこからグッズをバンバン売り出して儲けるとかそういう部分もある。だけど一方でファンとしては何気ない一般人、映画のメインシリーズではスポットが当たらなかった一般人たちというところに感情が寄っていってるのが今のスター・ウォーズのムーブメントだったりする。

これは『ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー』から顕著になっていった。


もう今の時代はヒロイック・ファンタジーは受け入れられなくなって、夢を見る時代は終わりを告げて超現実主義の時代になった。ヒーロー、ヒロインが必要とされない時代となってしまったというわけ。


本作に話を戻すと、まぁヒーロー、ヒロインを使うには肖像権含めて何かしらの追加料金がかかるという側面もあるから、サービス開始後は様子見という観点からユニークキャラクターは実装されず、ストームトルーパーを除いて全てオリジナルキャラクターで作りきったというゲーム。

とことんケチっているのか、音楽はジョン・ウィリアムズっぽいテイストで作られていて、帝国のマーチっぽいメロディが聞こえてテンションブチ上がるかと思えば肩透かしなことも多々ある・・・。


ルールはチームで特定のエリアを占拠することを目的にしたものと、敵チームよりも早く規定数のプレイヤーキルを狙う2種類で、一回のプレイ時間は3分ほどと非常に高サイクル。現時点ではプレイヤー層も非常にライトで、キャラクターのロール(役割)を気にしないで気ままに突撃するだけでも楽しめるカジュアルなゲームになっている。というのもこのゲームはiOS、アンドロイド、Nintendo Switchとパイの広いプラットフォームで展開しているので『オーバーウォッチ』ほどギスギスしない。自然回復もなく、特定のポイントでしかダメージの回復ができない、そのためあっという間に死んでしまうような設計。加えてリスポーンも早いのが良く積極的にゲームに参加できるのが好ポイント。


さて、スター・ウォーズゲームはストーリーも言及しなきゃならないんだが、このゲームはこんな乱戦ゲームなのでストーリーもなにもない。ただ、一応時期は設定されているようで『エピソード6 ジェダイの帰還』のあと、『エピソード7 フォースの覚醒』より遥か前ということらしい。これを聞いて「ん?」と思うのがステージの一つにデス・スターを題材にしたアリーナがある。これってどういうことなんじゃい?って思うが、恐らく初代『スター・ツアーズ』で運用された第3デス・スターのものなのだろう。だって初代も第2デス・スターどっちも爆散したんだから跡形も無くなっているのは映画を見ている人なら分かるはず!


疑問は尽きない。今作には重装備を備えたストームトルーパーも出てくるわけだが、こいつは帝国軍崩壊とともに無職になってしまい、食うためにこんな闘技場に参加しているということになる。

反乱同盟軍、新銀河共和国も無職のストームトルーパーを生み出しただけでなく、こんな悲しいモンスターを誕生させたのはとんでもない罪だと考えたら涙なしにこのゲームは遊べない。


悲しき無職の戦士たち

設定も細かいなぁと思ったのは、早速お布施としてダークサイドのフォースの使い手を購入したが“シス”とは明記されていない。シスはダース・ベイダー、ダース・シディアスの2名しか残っていないのでこのゲームに登場したダークサイドのフォースの使い手、つまりダーク・ジェダイはシスではないとはっきりさせている。

一方でジェダイはどうなっているのかと言うと、フォースが使えるドロイドがライトセーバーを持って参戦している。これは制作者のスター・ウォーズ愛、特にオリジナルトリロジーへのリスペクトが感じられる。どういうことかっていうと、オリジナルトリロジーでは残りのジェダイはオビ=ワン・ケノービ、ヨーダ、ルーク、レイア(候補)しかいないという設定だったので、ドロイドにライトセーバーを持たせて参戦というのはよく考えたもんだと思った。逆にこんな闘技場にジェダイがライトセーバー持って参戦したらジェダイの教義もへったくれもないってことになるからお笑い担当なキャラになってしまう!


あとこのゲームでロボットファンを歓喜させるのが『エピソード1』で初登場して、その機敏さと独特なデザイン、無敵のシールド防御でおなじみのデストロイヤー・ドロイド、ドロイデカまで参戦している。彼も『エピソード3』以降は全く登場しないので、この闘技場で再就職を果たしたのだと思うとなかなかに感慨深いものだ。


基本プレイ無料のゲームなので、サービス中にプレイしてほしい。キャラクターのアンロックとスキンビジネスで回収しているのでお布施のつもりでさっさとキャラクターアンロクをして楽しむのがオススメ。

キャラクタースキンも一昔前に和風の武者鎧と他のスター・ウォーズゲームには無いものばかりなので今後も末永くサービスを継続してほしいところ。


そうそう、キャラクター開放をするときには必ずスターターを買うこと。こっちのほうがアイテム換金より安いのでおすすめ。



Nintendo Switchの商品ページ


スター・ウォーズ 銀河のハンター


ジャンル:PVP アクションシューティングゲーム

対応機種:Nintendo Switch、Android、iOS

開発元:ジンガ、ナチュラルモーション

発売元:ジンガ

発売日 2024年6月4日

対象年齢 IARC:12+(12才以上対象)



次回以降も書いていくので支援をお願いします。


また、私も全てのスター・ウォーズゲームを持っているわけではないので、譲っていただける方募集します。
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