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吸い込まれたガキ心を沸騰させたい

3年ほど前からの生涯におけるテーマだが、「ガキ心」を取り戻したい、と常日頃思っている。

時間の変化を感傷に変えない子供の感性は美しい

人間が社会的円環の中で吸い込まれていった質感のあるもの。
それが人の奥底に潜む「ガキ心」であり、それを沸騰させることで世界は美しく見えるし、人間のいざこざも蒸発するだろうと本気で考えているからだ。

学生のある時期、人との会話や、太陽の日の出、時間、踊り、いろんなものに対していちいち感動的に想うような脳みその土台が出来上がっていた。時があった。
それが周りの人間も共時性によって同じくらいの感度になり、その状態での会話は面白く、グルーヴ感が滲み出ていた。

そこから社会的円環の中での会話や、旧友の変化などを通してグルーヴ感が薄まっていくのを感じた。
どうも思考の源泉にあるのがロジカルシンキングやら利己的、効率性らしく、幸せの定義も近代的な観念に引っ張られていて、
なんだか四角く角ばっている。
友人と話していても何だか面白くない。

四角く角ばっているのはなぜか

そんなこんなで、どうしたら人と楽しく話せるかについて考えることにした。
はじめは普段通らない道を通ったり、雨に濡れてみたり、電柱について考えてみたり。今見えているものをいかに面白く見てやるか、という戦いを自分に課して過ごした。
究極的には石ころを見て美しいと思えればいいのだ。
その中で、対モノに対しては自分の感度を上げることでいくらでも感動的に変えられることは分かった。

あとは対ヒトだ。どうも面白く無くなってしまった会話をどうやって面白くするか。話題が問題なのか、場所なのか、年齢なのか、自分の頭のせいなのか。
そんな中でも質感を感じられるのは人の感動の話だ。
最近聴いた音楽がかっこよくて、、、とか、この映画が感動したとか、これが好きでしょうがないとか。

自身の感動話をしているとき、人の目はキラキラしていて体勢は前のめりになっている。その状態の人間は私は好きだ。
自分が感動した体験を相手に伝えたくて必死こいている。

これがおそらく大人になりすぎると感動的な体験が時間的にも量的にも減るのだろう。それで会話がつまらなくなるのだと。よし、原因はわかった。

じゃあ「感動」について考えればいんだな。
感動とは何か、感動的な体験って何だろうか。いつしただろうか。

感動の正体はなんだろうか

感動について考えていると、子供時代に巻き戻っていく。
誰しも小さい頃は、楽しげな音を聞いたり、体験をすると謎のダンスを踊ったものだ。TVで楽しげな音楽が鳴ったら、美味しいものを食べたら、心と体が踊る。
あれが踊りの本質でもあり、感動の正体だと気づいた。
今となってはイヤホンをして駅のホームで体を揺らしていると他人から変な目で見られるだろう。そういう人間を見たら自身もそう思うだろう。

ただ、誰しもが通ってきた子供時代は、感動を体現していたはずだ。

今、全世界の人が感動を体で表現したらどうだろう。
なんてハッピーな世界だろうか。きっと自分が体現していれば他人が体現していても嫌ではないはず。むしろ相互作用を起こして新しい体現に変化したりするだろう。

これが会話や思考の源泉になっていればどうだろう。
他人や社会を卑下する時間なんて勿体ない。それより他人の感動を覗きたいし自分の感動を人に伝えたい。となるはずだ。

感動の交換をすることで、二者間もしくは共同体の中にある種の信頼感のようなザラザラしたものが生まれてくる。そうなると面白い。
一度そうなってしまえば、全く別の文脈から話題や出来事が飛んできても面白い方向に向かうし、いいアイデアも浮かんでくる。

会話と思考に質感が生まれ、グルーヴ感が醸成される。

物事を感動的に捉える受け皿、それを発信するために体現しようとする心性、それは「ガキ心」である。そう思ったのだ。

吸い込まれてったガキ心の沸騰

さてと、あとは吸い込まれてったガキ心を沸騰させるために受け皿(器)をどう作るかだ。

感動はかなり身体性を伴う情感だから、手触り感、複雑性、音楽性、全体論的思考、その辺りがカギだと思っている。

それをひっくるめると数字的概念から逸脱するのが一番近道ではあるので、そう考えると身体的活動による知とか、音楽的感性を膨らました先に見えてくる器があるはずだ。

複雑なものを複雑なままに捉えるために自然を触るとか、部分と全体の特性が異なることを理解するために詩的なものを詠むとか。音楽を耳で聴かずに皮膚で聴くとか。
この類いの感覚は訓練が必要になってくるが、逆に言えば訓練さえすれば手は届くということだ。

重要なのはガキ心は失われたのではなく、吸い込まれてった、というところ。
だから訓練、つまり日常的イテレーションによって醸成されていく独自の器に世界を乗せて、火を付けてしばらく待てば、ガキ心は奥の方から沸騰してくるはずだ。

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