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NYでのコロナウイルスによる影響日記25

改めて書き留めるほどのことも無かったので日記を中断していたけど、目に見えて変化が起きていたので記しておくことにした。

5/2(土)

●春と、活気を取り戻した街
春の訪れを感じて久しいニューヨークだけど、近ごろは雨と強風の日々が続いてなかなかスッキリしなかった。今日ついに快晴に恵まれたため、好機とばかりにアパートを出て洗濯屋に向かった。

街の状況は、明らかに1週間前とは違っていた。春麗らかな陽気に当てられたかのように、にわかに賑わいを見せている。

家の隣のフレッシュジュース屋は3月に営業を一時中断するも少し前から営業再開していて、今日は爆音でポップスを流していた。

反対側の隣にあるジャークチキン屋も同じく一時休業した後の営業再開で、爆音にてレゲエをかけながら長く伸びた行列客に粛々とチキンを提供している。

そして目的の洗濯屋。

以前は鍵をかけて入場者制限をしており、洗濯が終わるまで店から出してもらえなかった。長時間、密室にいることを強いられるのでストレスがハンパじゃなかったのだが、今回は洗濯機にぶちこんだ後は外に出ることができたので洗濯屋に行く恐怖が激減した。

そしてここでも爆音で、チープなシンセのファンクっぽいポップスが流れていた。こんな大音量で音楽を流しているのを見たのは、今回が初めてだった。

洗濯の間、公園へ向かった。視界に広がった燃えるような新緑の大海は、空の青との鮮やかなコントラストで、現実の悲惨さを忘れさせてくれるほどに美しかった。

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軽くジョギングしながら周辺の店を見ると、ロックダウン後に完全に休業していた肉屋やパイプ屋が営業再開しているのに気づいた。

いいかげん営業しないともたないという深刻な事情があるのはもちろんだが、それだけではない。

全米で散発している経済再開へのデモなどの影響からか、「そろそろ緩めてもいいやろ」みたいなムードが静かに拡がっているのを感じる。現実に対して残酷なまでに気持ちの良いこの陽気とも、たぶん無関係ではないと思う。

出歩いている人の数も明らかに増えている(ただマスク着用率も高くなっていて、およそ9割の人が着けていた)。

公園の前の車道は封鎖され、歩行者天国と化していた。外出者のために道路を開放するというニュースを見たけれど、これのことか。つまり、外に出る人が増えることを行政も理解しているんだろう。

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歩行者天国となった通りでは、マスクの無料配布が行われており、長蛇の列ができていた。

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路上ではいつものお香売りのほかにもアミーゴ達がアイスっぽいものを売っていたり、スーツケースをもった黒人のオッサンがどこで仕入れたか分からん型のバラバラなマスクを販売していたり、とにかく今まで見なかった人たちが出現し、露骨に活気づいていた。

●「アフターコロナ」というやつ
もちろん、こうした活気は第2の感染ピークを招きかねない。…とは分かっていても、暗澹たる気分で1ヶ月以上を過ごしていると、この人々の活気が砂漠のオアシスのような潤いを感じさせてくれたのは正直なところだった。

とりあえずまだSTAY HOMEを続けるべきなのは言うまでもないが、いつかコロナが沈静化したあと、今は蜃気楼のようなものでしかない「普段どおりの生活」への人々の渇望は、どれほどのパワーを生み出すだろうか。

なんだか最近よく「アフターコロナの世界はこう変わる」みたいな未来予想をよく目にするようになったけど、実際そんなに変わんないで元に戻るんだろうな、という気がせんでもない。

日本でも結局、通勤は実は気分転換になっていたとか、家で家族と過ごす時間が長すぎて耐えられないとか、リモートはリモートでデメリットあるとか、あらゆる面からコロナ以前の社会(しかもそれを不満に思っていたにも関わらず!)を再評価するような声が聞こえてくる。

そういうわけなので、3.11の原発事故ですら変われなかったんだから、今回もまた変わらないんじゃね、みたいな気分はある。もちろん、だからといって完全に諦観してるわけじゃないし、変わろうぜ〜と言いながら生きるけれど。いずれにしても、今の政府にどれだけナメたことされたのかも喉元過ぎちゃったのですっかり忘れてしまいましたァ〜ン! みたいなのは絶対に避けたい。今まさに悪夢の自民党時代を生きているわけですから、さっさと目を覚まさないと。マトリックスですよホント。

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