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眠りの季節

久しぶりにしこたま昼寝をした。

少し前まで睡眠をコントロールできず非常に不便な思いをしていた。
去年の夏頃、睡眠導入剤の処方と行動療法が効いたのか、ようやくまともに昼間起きていられるようになった。
以前は朝昼の食後は強力な睡魔に襲われるので食事をとること自体を避けていたが、今は朝も昼も普通に食べる。睡魔もやってこない。
あれはなんだったんだろう。今とあの頃の自分にそれほどの違いがあると思えないので、どう違うのかが興味深いところだ。
朝目覚めて日中活動していると、一日が不思議なほど長く感じる。
長く、豊かな感じ。
昼間は色んな店も病院もやっているし、誰かに連絡もとりやすい。
ある種の人間の気配(笑いさざめく声とか、急ぎ足で歩く足音とか、カップとソーサーがぶつかる小さな音とか)が好きなので、そういうものが充実しているのもいい。
夜でも街は動いているし、起きているひとも当然いるが、昼間と夜では気配が全然違う。当たり前だがまず明るさが違うし、いろんなものが眠っているひとの邪魔をしないことを前提に活動している。
そういう静かな活発さとでもいうような夜の雰囲気が、以前はとても親しいものだった。
いまや夜におもてを出歩くこと自体が減った。
わたしは長年自分のことを夜行性の生き物だと思っていたけど、やや睡眠リズムがずれているだけの昼行性の生き物だったのかもしれない。

それはそれとして今日はめちゃくちゃ昼寝をした。
午後の2時間ほどだ。
就労活動のための調べ物をしていて疲れたので、ふと「よし、昼寝でもするか」と思い立った。
思い立ったら楽しくなり、部屋着からわざわざパジャマに着替えて、せっかくだったので歯磨きもした。
ベッドに入ってしばらくはスマホを眺めていたが、そのうちすうっと寝入っていた。
そのまま2時間ぐっすりだった。

昼寝から目覚めた時、夕暮れに向かって傾いた日差しを目にして混乱したが、自分の体温が移ったシーツがあまりに心地よくて、そのまま思考を放棄して二度寝しそうになってしまった。

昼寝って、めちゃくちゃ気持ちいいな…

こんなの、心や体が弱ってる時に抗えるわけがないなあ。
そんなことを考えながら、しばらくベッドの中を堪能し、起き上がって活動を再開したのだった。

睡眠時間は短いと著しく体に悪いというのはすでに知られている。
逆に、眠りすぎも体に悪いそうだ。
眠りすぎはある種の病気にかかりやすいという記事を読んで冷や汗をかいたこともある。
とはいえ、眠ってでもいなければやりすごせないという時期が、人生の中にあるのだ。疾病や体質とはまた別に。
そう考えると、今のわたしは冬眠期を抜けたということなのかもしれない。
冬眠を終えたのであれば、なにかしら活動的であったほうがいいだろう。
せっかく春なのだから。
そしてたまには、春の陽気にまかせて午睡を堪能したいとも思う。
ただただ快楽としての昼寝を。


では、また。

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