見出し画像

惰性、あるいは冒険心

ヘッダーの画像は、感謝と自慢のために貼りました(直球)。
東京はまたまた天気が崩れそうなので、皆様もカバンの底に傘を忍ばせてお出かけください。


用事があったので池袋まで行ってきた。
昔は池袋という街が得意ではなかったが、なにかと縁があって出かけるようになってからは、かなりマシになった。

池袋は広い。
新宿も広大だが、新宿は大きな通り沿いに歩けばたいてい目的地にたどり着けるし、駅にも帰り着ける。
池袋は広いうえに小道が入り組んでいる。
しかも碁盤の目ではなく、枝分かれしてやんわりとカーブしていたりする。
常時ひとが多い街なので、空いた道を行こうと脇に逸れたが最後、あっという間にルートを見失う。
目的地に向かっているつもりが、なぜか徐々に遠ざかっていたりするのだ。
駅前のマツモトキヨシとドン・キホーテは東西出口いずれにもあるし、マクドナルドにいたっては3つくらいある。
いかにも目印になりそうな店が鏡映しのようにあるものだから、以前は本当に難儀した。

ここだけの話、わたしはいまだに、池袋駅至近にあるパルコ(セリアが入ってるやつ)にたどり着けないでいる。
現地に行くたびチョロチョロ探してはいるのだが、毎度ひとの多さに怯み、入り組んだ通りに尻込みし、今日はもういいや…とあきらめること早1年半。
もう一生たどり着けないのかもしれない。

それはそうとして、用事があったので池袋まで行ったのだ。
午前中に到着して用事をすませ、唯一地図ナシでもたどり着けるサンシャイン通りのブックオフで古本を漁った。
ワゴンセールの文庫本をためつすがめつしていたら昼になっていたので、南池袋にあるというたい焼き屋を求めて歩くことにした。

店は駅を出て明治通りをまっすぐ行けばあるらしい。
ジュンク堂を越えたちょっと先だ。
さすがに迷わずたどり着けるだろうと思ったのだが、予想に反して(というか、案の定というか)、たどり着けなかった。
多分、対岸を歩いているうちに通り過ぎたのだ。

気がつくとやたら目立つ看板のベローチェの前にいて、ベローチェの看板って昔っぽい大きなやつが多いよなあ…などと考えていた。

来た道を戻ろうかとも思ったが、なんとなくシャクで、このまま目白駅まで歩いてみることにした。

こういうことはよくある。
時間や目的を曖昧にしたまま歩き出して、そのままどんどん遠くまで行ってしまうのだ。
立ち止まるのが苦手なのだろう。
自分の身体を正しくコントロールして、適切なタイミングで立ち止まるというのは、案外パワーを使うものだ。
それに、歩いている間は歩く以外の行動がほとんどできない。
歩きながらでもできることというのは、考え事くらいになる。
強引に翻せば、歩いている間はいくらでも考え事に集中していられるということになる。
歩き続けるという惰性的で制限的な行為に身を委ねて、ああでもないこうでもないと考え事をしているのが好きなのだ。

結局、10分ほど歩いて目白通りに突き当たり、今度は無事に目白駅までたどり着けた。
たい焼きは買いそびれたが、目白駅前のパン屋でサクサクの美味しいメロンパンを買うことができた。
惰性で無心に歩くことも魅力的だが、空腹時に見かけるパン屋の灯りには敵わない。

次に池袋に行く時は目白駅から歩いてみようか。
一度歩いたらもうそこは自分の知っている場所になるので、すぐに気持ちが大きくなる。
まともに地図を見ないのだからやめておけばいいのだが、多分近いうちに歩きに行くだろう。
今度こそは、あのたい焼き屋を見つけるのだ。


では、また。

この記事が参加している募集

#散歩日記

10,185件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?