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【#えぞ財団】連載企画「#この人、エーゾ」⑬ 認定NPO法人カタリバ・芳岡さん ~札幌/モザンビーク共和国/東北へ「どこにいても自分自身が楽しく明るく子どもたちと接すること」~

組織のなかで、マチのなかで、もがきながらも新たなチャレンジをしているひとを紹介する「この人、エーゾ」。今回ご紹介するのは、芳岡孝将さん。
北海道札幌市出身で、教員免許を取得し、青年海外協力隊としてモザンビーク共和国で活動後、東北の被災地へ向かい、子どもたちにたくさんの経験を共有してきました。現在は、宮城県女川町で認定NPO法人カタリバが運営する女川向学館の拠点長を務め、子どもたちと”人生の楽しさ”を共有し合いながら、毎日をエネルギー全開で駆け抜けます。

この人エーゾ

芳岡孝将(よしおか たかのぶ):1984年北海道札幌市生まれ。認定NPO法人カタリバ女川向学館拠点長。大学生時代に影響を受けた人物は、バングラデシュのグラミン銀行の創設者で2006年にノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏。

何事も考え方次第。自然と取り組んでいた”長距離ゴミ拾い”

札幌出身の芳岡さんは、中学生の時自宅からは距離がある区民体育館に友達と室内サッカーをしに行くことが度々ありました。「普通に歩くのつまらないから、ゴミ拾いしながら歩こうよ~」ある時、体育館に向かうまでの道にタバコや空き缶などのゴミが大量に落ちていたことが気になった芳岡さんは、ふと思い付いたといいます。その後、ゴミ拾いしながら体育館へ行くことが当たり前になり、体育館に着いたときにゴミ袋にたまった大量のゴミをみて、「すごー!」とみんなで談笑することがルーティンになったそうです。「誰かに褒められたいという想いはなく、単純に時間を有効に使いたかった。ただ、どうせ時間を有効に使うなら世間的に『良い』とされていることをしたかった。」と当時を振り返ります。そして、この考え方の延長線上に、今の芳岡さんがあるといいます。

比較されることでより価値がつく、自分の選択

双子の兄弟がいる芳岡さんは、小さい頃から顔や背丈はもちろん、どちらが勉強できるかやどちらが女の子にモテるかまで、どんな時も比較されることが多かったといい、「比較されることが素直にすごく嫌だった」と当時の心境を語ってくれました。そのため、中学3年で進路を決める際、比較されることから遠ざかるために、別々の道を選択することを決めた芳岡さん。両親は塾の経営をしていたこともあり、進路に対して学力的な部分からの助言もあったといいますが、芳岡さんは「自分は将来、困っている人や苦しんでいる人の役に立てるような生き方ができればいいと思っている。有名な企業で働くとかお金持ちになるとかは望んでない」とはっきり伝えたそうです。そして、その後進学先が決まり、初めて”ひとりの個人”として認識してもらえる環境になったことで、兄弟の大切さに気付かされることがたくさんあったといいます。「距離を置いたことで、相手の存在の大きさに気づき、今では喫茶店で何時間も語り合うほど仲が良くなりました」と嬉しそうに話してくれました。

強い想いを貫くときは、必ず応援してくれる人がいる

高校3年の三者面談で進学先を聞かれた芳岡さんは「北海道大学以外は考えてないです」とひと言。しかし、担任の先生からは「今の成績だとむずかしい。」とはっきり言われてしまったといいます。そして、その会話を聞いていたお母さんが「うちの子が北海道大学に行きたいと言ったら、私はそれを応援したいです。この子が何歳になっても、それでも行きたいって言うのなら、それでいいんですよね」と真剣な表情で伝えたそうです。そのお母さんの姿をみて「母ちゃん、めっちゃカッコいいな。」と思い、それがきっかけで「年齢なんて関係ないんだ。自分の想いをちゃんと持って進むことが一番大事だな。」と悟ったそうです。

子どもたちの”心の機微”を感じ取れる教員になるため、夜の街すすきので働くことを決意

浪人生活が始まり、ある時、金城一紀さんの”ザ・ゾンビーズ・シリーズ”という小説に出会った芳岡さん。「ある教師が『君たち、世界を変えてみたくはないか?』と言い出し、世界を変えるために行動する男子高校生たちの革命的おバカストーリーで、この小説を読んでいると必死になにかと戦う感覚や友情とか、学生時代のものすごい楽しい感覚が呼び起されて、こんな感覚を子どもたちに与えられるような人になりたいなって思ったんですよね。」と語ってくれました。芳岡さんは、その小説を読むまでは将来の漠然とした方向性しか決まっていなかったそうですが、これがきっかけで教師を目指すことを決意したといいます。その後、教員免許を取るため、北海道教育大学へ進学することを決めた芳岡さんは、入学と同時にバイトを探すことになりましたが、”お金を稼ぐ”という以外の理由を自然と考えていたといいます「教師になるんだったら、繊細な子どもたちの気持ちを感じ取れるようになりたい。夜回り先生みたいに、様々な問題に直面している子どもたちを実際に自分の目で確かめる必要がある。」考え抜いた結果、札幌で繁華街といわれているすすきので働くことを決め、すすきのをどっぷり知る生活を始めたそうです。

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