【EZO SUMMIT トークセッション①】 2030年北海道の未来に向けて
2020年6月に発足した「えぞ財団」は北海道を盛り上げるべく様々な活動を開始しました。
その中で、2020年11月28日(土)EZOHUB SAPPOROにてえぞ財団の想いを載せた最大級のイベント、「EZO SUMMIT」(えぞサミット)を開催しました!今回はその中で行われた1つめのトークセッション「2030年 北海道の未来に向けて」をご紹介します。
◆EZO SUMMITの概要はこちら
◆富山 浩樹(発起人):サツドラホールディングス 株式会社 代表取締役社長兼CEO◆
1976年札幌生まれ。札幌の大学を卒業後、日用品卸商社に入社。2007年株式会社サッポロドラッグストアーに入社。営業本部長の傍ら2013年に株式会社リージョナルマーケティングを設立し、北海道共通ポイントカード「EZOCA」の事業をスタートする。2015年5月に代表取締役社長に就任。2016年8月にサツドラホールディングス株式会社を設立し代表取締役社長に就任。
◆木下 斉(発起人) : 一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス代表理事◆
1982年生まれ。一橋大学大学院商学研究科修士課程修了。 商店街つながりでお酒も飲めない高校時代に、狸小路商店街の青年部忘年会に参加したのをきっかけにして、札幌大通まちづくり会社の設立に関わり、近年は道内の公共資産活用、エリアマネジメントに関わりながら、今年には余市町に現地仲間と共に新たなワインツーリズムを睨んだネゴシアン会社を設立予定。母親が北海道紋別郡旧丸瀬布町(現遠軽町)出身。著書『地元がヤバいと思ったら読む凡人のための地域再生入門』『地方創生大全』『稼ぐまちが地方を変える』等
◆齊藤 啓輔:北海道余市町長◆
1981年北海道紋別市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、外務省入省。欧州局ロシア課や在ロシア日本国大使館での勤務を経て、2014年に内閣総理大臣官邸へ。2016年に地方創生人材支援制度で、自ら希望して北海道天塩町副町長に就任。2018年に天塩町副町長を任期満了後、余市町長選挙に出馬し、当選。同年9月から現職。
◆田中 邦裕:さくらインターネット株式会社 代表取締役社長◆
1996年に国立舞鶴工業高等専門学校在学中に18歳で学生起業し、2005年に東証マザーズ上場、2015年に東証一部上場。一ヶ月の休暇を取ったり、那覇に居を構えてリモートワークをしたり、社外取締役等のパラレルキャリアを拡大するなど、自らも新しい働き方を実践している。起業経験やエンジニアというバックグラウンドを生かし、スタートアップ企業のメンターや、IPA未踏PMとして学生エンジニアの指導等にもあたる。2011年、北海道石狩市に「石狩データセンター」を開設。
北海道の未来には何が必要か?〜北海道経済の抱える課題「どう稼ぐのか」〜
人口減少の理由と北海道の可能性
富山:今日は資料を踏まえて、議論のなかで1個でも2個でも、「これをやっていく」というえぞ財団らしく肝みたいなテーマが出てくるといいなと思うのですけれども、いかがですか?
木下:北海道においては教育とか仕事の問題が一番の背景にあって、問題は人が出て行くことですよね。魅力的な仕事があって、生活環境もよくて、教育機会にも恵まれていれば、出ていく必要はないわけです。しかし出て行かざるを得ない原因が色々あるので、最終的に人口減になる。先ほどの富山さんのプレゼンにあったように、1947年とか、戦後の10年間の間に決定的にその問題が出ているわけです。
就農者が山ほど全国から集まったのにほぼ離農してしまったというのは、輸出産業としての全く儲からない食糧生産をやっているわけですね。北海道から山ほど食糧が出ているけれども、全体だと儲かる人が少なすぎるので、担う人がどんどん減っていく。正直、こういう状態を70年くらい放置して今に至っていたりする。
教育問題も、北海道は広い面積なので廃校という問題もあるんですけれども、スタンドアローンですよね。校長先生がいて、校舎があって、先生がいて。ネットワークに繋がっているわけではないので、「その場所に行ってそこにあるものを受けるという仕掛けでは無理だ」って単純計算でわかっている話が解決していないということで、課題は結構シンプルだと思うんですよね。
可能性もすごくあると思うのは、まず農林水産業は徹底的に儲けなきゃいけない。というのも、北海道はこれだけ山もあるのに、建築材料や木材加工に関しては、すごく弱くなってしまっている。資源があってもこれを高く出していけていないんです。今、日本では木造の構造建築許可をするようになっています。ここから10年後の2030年に向けて、建材や高層建築・鉄筋コンクリートが高くなりすぎているので、RC(鉄筋コンクリート造)から木造関連高層建築とかに移行していったときも建材とか集成材の加工とか、伸びゆく産業がまだ見えています。ヨーロッパは既に伸びていて、ドイツでは集成材ベンチャーとかたくさんできていて、狙って林業系が強い地域が伸びているんですね。
北海道が持っているリソースで、言葉を選ばずに言うと『カネ儲け』をちゃんとすることが重要です。カネがまわれば教育にも投資できるし、カネがあれば「北海道に留まってもっと再投資しようって」流れも出てくるので。食糧の分野では、余市で齊藤町長が色々な取り組みをしていると先ほどのお話にもありましたね。
富山:そうですよね。どう稼ぐかというのは、北海道やえぞ財団における経済のテーマでもあります。まさに余市で齊藤町長が色々な取り組みをしていますが、どう感じて具体的にどんな取り組みをしているのでしょうか。
ヨーロッパと余市町にみる戦略的マーケットイン
齊藤:ありがとうございます。北海道の抱えている課題は、非効率性に起因するもの、また広域性に起因するものに集約されてくるんですよね。
要は北海道の課題というのは、この広大な大地に対しスカスカな人口であることです。食糧生産に関してもそうで、これまでの日本は世界の中では非常に多い人口を抱えている国ですから、ある程度国内消費でまわっています。他方で世界のグローバルな視点で北海道の食糧生産を見てみますと、例えば日本の農業技術の分野では「5Gを使って頑張る」というプレゼンなども行われていますが、日本の農業技術は進んでいないのが現状です。
1番進んでいるのはヨーロッパで、例えばオランダを取り上げてみると、日本の九州くらいの国土面積しかないのに、農産物の世界への輸出額はアメリカに次ぐ第2位なんです。
アメリカとオランダの国土の差は300倍近くあるんですけど。そのような中で「いかに狭い国土の中で効率的に農業場の生産を上げるか」ということをやっているわけです。
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