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【ニュージーランドの学校のこと】 まず最初に概要的なもの

2019年に私がインターンをし、息子も学んだ学校は、ニュージーランドの中でも一風変わった学校です。

100年以上前からある古く地域に根差したプロテスタントの教会が運営しているクリスチャンスクールで、幼小中高生が同じ校舎で学んでいます。そして、アメリカ南部のキリスト教教育団体が提供(フランチャイズ)しているユニークな教育システムを採用しています(このシステムについてはまた別記事にするつもりです)。公立校とは全く違うカリキュラムなのですが、政府が定める学校要件を満たしていれば良く、そのことを証明する資料の提出が義務付けられているようです。

このシステムに基づいて完全に各々のペースでの学び方をしているのですが(ちょっと公文っぽいので個人ペース)、近隣の他の公立より圧倒的に成績が良いそうです。なので、公立よりも勉強の進度を上げたいと思っていたり、逆に学習の遅れがあったりと、公立の一斉授業では物足りないと感じてこの学校に移ってくる子もいます。

ニュージーランドは全人口は495万人、ちょっと前の1991年の人口は350万人にも満たなったくらい人口がもともと少ない国です。そんなニュージーランドの中でも、この学校のある市は人口700人という特に人口が少ないところ。つまり、ド田舎です。全校生徒はたったの40人弱、ファミリーのようにアットホーム。中にはちょっぴり意地悪な子もいましたが(それが理由で親がこの学校に転校させたそう)、基本的にびっくりするくらい素直でのびのび、人に対してやさしく思いやりがある子が多かったです。クリスチャンの子が多いということに加えて、農場に住んでる子も多く、そんな広い土地と自然とのふれあいのおかげなのかもしれません。

人種的バックグラウンドは私たちがイメージするニュージーランド人、つまりヨーロッパ系が一番多く、次いでマオリです。今の政権がマオリをかなり尊重しているおかげもあってなのか、学校内は人種、民族的バックグラウンドに関係なくほのぼの。田舎街を歩いていても、「アメリカのような」人種間の壁はないように見えました。私がインターンしていた時にはたまたまアジアからの留学生(移住準備中の中国人家庭の子ども)もいて、彼らは日本から来た私たちに同じ漢字文化圏の故郷を見ているようでした。

ところで、このような小規模校ですが、かつての廃校になった学校の校舎を譲り受けて使っており、なかなか広くて快適で、天井が高くて大きな部屋に、全員が学んでいます。スペースの使い分けとして、5歳から10歳がジュニア、11歳から大学入学前までをシニアという大きく2つのグループに分けてあります。このように大部屋で異年齢が学べるのは、先述したアメリカのキリスト教団体が作っている教育システムのおかげでもあります。

先生をはじめとするスタッフは、ジーンズ姿の垢ぬけた牧師(北カリフォルニアに住んでいたから垢抜けしていると思われる)、次に校長先生(シニアの担任)、もう一人の先生(校長先生の奥様で、ジュニアとESLの担当)、3人のアシスタント先生(シニアに2人、ジュニアに1人で私もこの仕事をさせてもらいました)がいて、アシスタント先生が採点や進度の遅い子のフォローアップをしています。また事務スタッフは専任者がおらず、全員で手分けして行うスタイルです。

その他、この学校になくてはならないのが読書ボランティアで、子どもの音読を一人一人の席まで来てくれて、聞いて回ってくれます。この読書ボランティアは1日の学習が予定より早く終わったシニア(中高生)が率先して行うこともあります。

そして、1日のスケジュールですが、午前中が授業→途中10時半にモーニングティータイム(おやつ時間)→12時半から1時間ランチタイム→午後は3時まで何かしらのアクティビティ。と、なっています。カフェテリアや給食はないので、モーニングティータイムのスナックもランチも家から持ってきたものを食べます。高校生は学校のスタッフルーム兼キッチンにあるディープフライヤーでフライドポテトを揚げたり、持ってきた卵を焼いたりして食べていることもあります。(自由です)

ちなみに、毎日の掃除の時間はなく、ボランティアが土曜日午前中にごみ捨て、洗濯、掃除機がけをしてくれます。

正規の先生は2人だけで、周辺校よりも良い成績であるという成果を出しています。書いてきた通り、そのためのボランティアの力がとても大きいです。これだけボランティアが集まるのは、教会運営のクリスチャンスクールという要素もあるでしょうし、国の文化でもあるのかもしれません。

ちなみにPTAは昔あったようですが、最近は参加したいしたい人がいなくて、かえってトラブルの元になることから、解散。PTAがいるおかげで開催できていたイベントは減ったけれども、そのあたりは学校としては全く問題なく運営できています。

つらつらと書いてきましたが、文字にすることで体験してきたことを鮮明に映像で思い出して、本当にのびのびしていたなあ、と改めて思いました。日本は窮屈です、やっぱり。また、思いついた順になると思いますが、体験してきたことを書き留めていこうと思います。

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