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ZINEと出会ってから今までの話。

書き終えてからこの文章を冒頭に差し込んでおりますが5000文字弱という、とても長い文章になってしまったので、お時間ある際に覗いて頂ければと思います。

最近の活動。

ZINE FARM TOKYOは元々自転車屋さん。

最近僕は吉祥寺の「ZINE FARM TOKYO」に入り浸り、ZINEの創作活動に勤しんでいる。「ZINE FARM TOKYO」は吉祥寺にて無人古本屋の「BOOK ROAD」やシェア型書店の「ブックマンション」というユニークな書店を運営しているBOOK CULTURE CLUBの中西さんが始めたシェア型ZINEの専門店だ。僕はメンバーとしてお店づくりのお手伝いをしながら自分の作品を作ってはそこで販売している。

ZINEとは。

コツコツ集めてるZINE。

ZINE(ジン)はいわゆる自主出版の一つのカタチで、自分の描いたイラストや撮った写真、綴った詩など、自分の好きなものを自分の手で一冊の本に詰め込んだものだ。本といっても形態は様々で、コンテンツをA4用紙に両面コピーしてホチキスで冊子型にしたものもあれば、本格的に印刷所などに頼んでこだわった冊子を作っている方もいる。つまりめちゃめちゃ自由なメディアなのだ。

ZINEとの出会い。

愛機のNikon Z fc。

僕がZINEと出会ったのは2022年の3月19日。今からだいたい半年くらい前。たまたま吉祥寺をぶらぶらしていた時、吉祥寺PARCOの前で「第3回吉祥寺ZINEフェスティバル」なる看板が目に飛び込んできた。何なのかよくわからなかったが3回も続いているのだから人気のイベントではあるのだろうと思い、見てみることにした。会場は屋上だったのでエレベーターに乗り込み、Rボタンを押した。屋上というだけでほんの少しだけテンションが高まった気がした。

キチジン。

第三回キチジンの様子。

入場してから初めてわかったのだが、これはZINEという冊子を作っている人が集まって各々販売する通称「キチジン」というイベントらしい。僕はここで初めてZINEというモノを知った。什器やレジャーシートを持ち込んでフリーマーケットのようにZINEを並べている人がたくさんいた。屋上ということもあり風が吹き込むたびにZINEたちが飛んでいきそうになり大変そうだったが、コロナ対策という意味ではこれほど力強い味方はいないな、などと思いながらいろんなブースを回ってみた。

人との出会い。

キチジンで購入した作品たち。

フィルムカメラで東京の街を撮り、文章とともにZINEにまとめている人。コラージュをZINEやポスターに表現している人。自分のコレクターとしての収集物をまとめてZINEで発信している人。小説を書いて自主出版している人。色んな人と出会って話を聞かせてもらった。なぜZINEを作り始めたのか。どうやってZINEを編集したり印刷したりしているのか。三者三様の答えだったが、皆一様にして自分の好きを極めている人達だと感じた。

ZINEを作る。

ZINEのデータ編集中。

何名かの方からZINEを実際に購入した。帰宅し、購入したZINEを眺めていると、こんなZINEを自分も作りたいと思い始めた。そこからは早かった。自分の写真をまとめたZINEを作ろうと決め込み、1週間くらいで印刷用のデータを作り上げた。オンラインで入稿できる印刷会社を探し、印刷方法や用紙、綴じ方を選択。とりあえず50部発注した。今思えば販売ルートの目処も立っていないのに50部はやりすぎた感があるが、多分当時はまだ開催されるかもわからない「第4回吉祥寺zineフェスティバル」に出展するぞと勝手に意気込んでいたのだろう。

ZINE FARM TOKYOができる。

第一作品、The Photography Book。

自分のオンラインストアをBASEで立ち上げ、完全に持て余しているZINE50部を細々と売っていたある日、キチジン以来TwitterでフォローしていたBOOK CULTURE CLUBのツイートが目に飛び込んできた。「日本各地のZINEが集まるシェア型ZINE専門店を吉祥寺に作りたい」というクラウドファンディングのお知らせだった。メンバーになると、各々がお店番をしながら自分のZINEを販売できる場所になるという。すぐ支援を決め、メンバーになるとTwitterのDMで中西さんに連絡をとった。

お店作り。

ZINE FARM TOKYOの店内。

クラウドファンディングが終了するよりも3週間ほど前、僕は吉祥寺の中道通りを抜け、中西さんのもとを訪れた。ZINE FARM TOKYOのお店づくりのお手伝いをするためだ。お店が入る予定のテナントにはまだ何もない。そのため、お店に置く什器や機械を運び込む必要があった。幸い僕は185cmのガタイのため、力仕事にはうってつけとなり、定期的に訪れてはお店づくりのお手伝いをした。そして無事、クラウドファンディングの目標金額であった120万円も達成することができた。プロジェクトを立ち上げて走らせていく、そんな貴重な瞬間に立ち会わせてもらうことが出来た。

メンバーの方々。

リソグラフ印刷をみんなで見守り中。

お店がようやく形になり始めると、他のメンバーの方々もZINEの納品を兼ねて少しずつお店に顔を出すようになってきた。年齢も性別もバラバラだが、イラストレーター・写真家・編集者・デザイナーなど、クリエイティブを生業とされている方がやはり多いように感じた。僕がデザインやら写真やらの創作活動を始めたのはここ1年くらいのものであり、大学生をやりながらの趣味の延長なのでこのメンバーの中では一番ぺーぺーであるといって差し支えない。でも、そんな人達とZINEを通じて対等に色々なお話をできるのは自分にとって刺激的なことだったし、とても勉強になった。

リソグラフとの出会い。

印刷方法を業者の方からレクチャー。

走り始めたZINE FARM TOKYOにはZINEを売る場所という側面の他に、リソグラフ印刷機に触れられる場所という側面を持たせることとなった。中西さんが所有しているリソグラフ印刷機とインクドラム十数本を店内に運び込み、半分をリソグラフを活用しながらZINEを作ることができる工房、もう半分をZINEの販売スペースとしてスタートさせることにしたのだ。リソグラフ印刷機は理想科学工業という会社が制作した孔版印刷を応用した印刷機で、レトロで独特の風合いから最近ではアーティスティックな印刷方法として海外のクリエイターを中心に流行っているらしい。Instagramで「#Risograph」と検索すると色々な作品が出てくる。しかし、元々は学校などで大量かつスピーディーに印刷物を刷るときに使うものとして制作されているためリースが大半、個人でこんなに所有している人は初めて見た。と操作の説明に来てくださった理想科学工業の営業の方が苦笑いで言っていた。

リソグラフを活用。

リソグラフでポスター印刷。

僕は持て余した50部のZINEを売りつつ、色々な人と交流できれば楽しそうだなという想いでメンバーになったので、リソグラフ印刷は全くの「知らないモノ」だった。ただ、他のメンバーの方々はお仕事柄知っている方が多く、むしろリソグラフ印刷機目当てでメンバーになりましたという人もいて、かなり面白い発見であると同時に、少しずつ興味が出てきた僕は自分の撮った写真を試しに印刷してみることにした。A3のわら半紙を印刷機にセットし、PCからデータを転送して、スタートボタンを押した。グワングワンという工事現場のような、あるいは脳検査に使うMRIのような大きな音が店内に響いた。版を作り、ドラムを回転させて印刷するため、このような大きな音が出るらしい。そんな音の隙間からシュパッシュパッとインクが乗ったA3のわら半紙がリズミカルに排出されていく。出来は上出来。写真をそのままリソグラフで印刷しただけでアートポスターのようにかっこよくなった。帰り道、これに合う黒縁の額を買って帰ることにした。

ZINEは自由。

ZINEのデータを突貫工事中。

リソグラフ印刷の面白みを知ってしまった僕は、リソグラフ印刷を活用したZINEを作ってみたいなと思い始めた。でも数十ページあるZINEを作るのにはかなり時間もかかりそうだなと思いながら中西さんとお話をしていると、もう少しハードルを下げて簡単なZINEを作ってみるのも良いよね。それを月1くらいで出してくのも面白そう。という事で盛り上がった。そう、ZINEは自由なのだ。どんなカタチでも良い。いわゆる冊子にしなくたって良い。むしろ簡単なものでも継続して出していくことでどんどん新しい発見があるかもしれない。「ちょっとそれ今作っちゃいます。」僕はそう宣言すると、床においていたバックパックからMacbookを取り出した。

継続は力なり。

リソグラフの仕上がり。

ZINE FARM TOKYOには「織り機」なるモノがある。紙をセットし6種類の折り方から指定すると自動でどんどん紙を折ってくれる。A4を両面印刷し三つ折りしたパンフレットのようなZINEなら、表と裏の2つのデータで済むからすぐ作れる。MacbookのFiderを開き、撮り貯めた写真フォルダから東京の都市を写した写真を数枚引っ張り出しPhotoshopの画面に貼り付け、「DYNAMICS of the METROPOLIS -TOKYO- Pocket Edition」という題をつけた。簡単なZINEということで”Pocket Edition”と付けてみた。そこから文章を打ち込みデータを作り上げた。実はここ1年くらい「1日1デザイン」と称して毎日PhotoshopやIllustratorをいじることを習慣にしていたので、操作に慣れていたのでかなり早く完成した。たぶん15分くらいでデータは完成したと思う。そのデータをリソグラフ印刷機に出力して印刷。両面印刷は自動では出来なかったので、片面を印刷し、少しインクを乾かしてからまたセット。向きが反対にならないように何度も上下左右をシミュレーションした。

フリーペーパー完成。

ZINE FARM TOKYOに並べたフリーペーパー。

「DYNAMICS of the METROPOLIS -TOKYO- Pocket Edition」は50部印刷した。多分用紙代とか全部コミコミで1000円くらい。どうやら都内でもリソグラフを使える施設は少しずつ増えているようだが、ZINE FARM TOKYOは基本メンバー限定なので、使用料はめちゃめちゃ安い。印刷が終わった50部のA4用紙を今度は織り機にセット。中三つ折を指定して折込スタート。これまた小気味よくリズミカルにどんどん紙が三つ折りにされていく。「ちょっとそれ今作っちゃいます。」と宣言してから約30分、50部のZINEが完成した。この50部はフリーペーパーとして、ZINE FARM TOKYOに来てくれたお客さんが自由に持って帰れるように店頭に置くことにした。作りながら都市に注目したZINEは面白いなと思ったので、この”Pocket Edition”を継続して作り貯めていき、ゆくゆくは完全版を作って販売しよう。などと思った。

ZINEと今後。

リソグラフ印刷した作品を乾燥中。

そして2022年11月12日「第4回吉祥寺ZINEフェスティバル」が吉祥PARCOにて開催されることが決定し、僕も出展することになった。第3回キチジンをたまたま訪れ、その直後の勢いでZINEを作って第4回のキチジンに出展するぞと勝手に意気込んでから約半年後、その勝手な意気込みは早くも実現することになった。ここ半年くらい怒涛のようにのめり込んできた世界の、一つの成果をお見せできるのでは?と胸を膨らませ、今日も写真を撮り、文章を書き、編集している。

あとがき。

興味を持って頂けた方、ZINE FARM TOKYOでお待ちしております。
11月12日の第4回キチジンでもお待ちしております。
吉祥寺の街でお待ちしております。

ここまで長々と読んで頂いた我慢強い皆様ありがとうございます。
今後ともお楽しみに。

【更新】キチジンありがとうございました。

【更新】次回のキチジンのお知らせ

ゴトウ リョウスケ | GOTO Ryosuke
建築写真、都市写真を中心に撮影するフォトグラファー。
本業は現在22歳の大学生。
卒業後は建設業界に就職予定。
Nikon Z fcをよく使います。
吉祥寺にあるZINE FARM TOKYOを拠点にZINEの発信もしています。
Instagramはこちら【https://www.instagram.com/ezlo_00


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