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四万るい
2019年4月22日 21:19
・前編はこちら 結局、俺の家に突然上がり込んだ(はずの)神様を自称するおかしな二人は、俺がいろいろと考え込んでいる間に姿をくらましてしまっていた。 まるでおかしな夢を見たようで両親に話をする気にもならず、俺は大学時代の友人にラインの返事だけして早めに休んだ。 もしかしたら暑気にやられたのかもしれない。うん、きっとそうだ。 いつものまどろみの中に僅かな違和感を覚えて、俺は意識を取り戻し
2019年4月22日 21:16
神様には二種類いる。一つは治める世界を自ら所有している神様だ。詳しく説明するとこの神様もまた幾つかに分けられるのだけれど――この説明は後回し。 もう一つは、治める世界を自ら所有していない神様。つまり彼らは、雇われの神様だ。 派遣、と言っても差支えない(実際、そう呼ばれているし)。 自分では治める世界を持っていないために、彼らは神様がいない無人の世界へ派遣されることになる。 そこに神様
2016年1月3日 23:37
——それじゃあ十年の後にまた来るわ。それならいいでしょ——十歳になるまで待とう。だから、きっかり九年後の正月だ——十年後、我ら御身の若君の元へ参ります——その時こそ、若君に我らの元へおいでいただく——必ずよ。だってあたし、約束したんですもの——そうだ。約束は守らなくちゃ——約束したからには必ずお守りなさいな——そうだそうだ。上杉のご当主なら約束を違えるなんてことは決して
2015年10月20日 22:20
「——お前は箱舟の話を知っているか?」「箱舟ですか?」 不意に言葉をかけられて、僕も逆に訊ね返した。雨がざあざあと降って少しも弱くなる気配がない。足元はぬかるみ、ひどく歩きにくい。 まあ、自分はふわふわと浮いているような地に足がついているようでいないようなそんなアレだから、別に大した労力ではないんだけれど。「以前、うちを訪れた南蛮人の宣教師どもが話していた。宣教師曰くーー連中の神と