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わたしを離さないで

去年の終わりか、今年の始め頃に勤めていた職場の上司に教えてもらってみた作品。
あれから原作の翻訳を読み、映画を見直したので。

前に見たときは英語で、今回は日本語吹き替えで見たのですが、わたしは英語で見ることをお勧めします。
この作品は、主人公のキャシーが語り手なのですが、映画でもそれは同じです。語り手、が存在します。吹き替え版だとそれがあまりにもクリアすぎて、ナレーターっぽすぎました。

ただ、キャシーの表情がすごく細やかなので、字幕を追うとかなり集中力を消耗しますし、なかなか必死でした。

物語自体は、非常に淡々と語られます。内容にどんなことがあっても、物語自体が超然とそこに構えているような印象です。これが非常によくて、心にのこる作品になりました。ストーリーの中に大きな盛り上がりがあると確かに面白いですが、波は必ずひくもので、中には見終わってすぐに干潮のようにサーッと面白さがなくなってしまう映画って多々あります。映画だけではないかもしれませんが…。
わたしを離さないでという映画の扱う題材、それは命や道徳でしょうが、見終わって残るのは良いとか悪いとかどうするべきかではなく、人間という生き物に対する漠然としたむなしさ、です。それって慢性的なもので、本人に自覚がなくても、ふとした瞬間に感じるものだと思います。完全に拭い去ることのできない感傷というか。
思い出して、見直したくなる作品です。

ちなみに、原作を読んでみると、映画では不可解だった場面がわりと解決されます。
映画と小説のもつ性格が違うことがわかる作品でもありました。

ぜひ一度、見て欲しい作品です。

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