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株式投資の指標/ 押さえておきたい基本的な数値について



株価指標とは、株価を比較・評価するために用いる尺度のことです。

企業の財務情報をもとに収益性・安全性などを算出し、「株価が割安なのか」「健全な経営をしているか」などを判断します。

株価指標を使うことで、規模や売上、サービス形態などが異なる企業同士の株価を比較できるようになります。ものさしのイメージに近いです。

今回は、株価指標の中でも押さえておきたい基本的な数値について、とりあげて、解説したいと思います。



〈目次〉


1.日経平均株価とTOPIX  
 →高いほど株式市場が上昇傾向
2.PER
 →低いほど割安株の傾向
3.PBR   
 →低いほど割安株の傾向
4.ROE
  →高いほど優良株の傾向
5.ROA
 →高いほど優良株の傾向
6.配当性向
 →高いほど配当金の割合が高い傾向
7.配当利回り  
 →高いほど割安株の傾向



1.日経平均株価とTOPIX(トピックス)

日経平均株価とは、東京証券取引所(以下、東証)のプライム市場(2022年3月31日以前は東証一部)に上場している約1,800銘柄のうち、

市場流動性に優れた代表的な「225銘柄」をもとに算出する指数のことです。

業種(セクター)間のバランスを考えつつ、日本経済新聞社が銘柄を選出しています。

選出した225銘柄について独自計算(株価換算係数などによる調整)を当てはめ、225銘柄の平均値を算出します。


一方で2022年時点でのTOPIX(トピックス)とは、東証のプライム市場に上場する銘柄すべてをもとに算出する指数です。

対象の銘柄の時価総額を基準に算出します。

TOPIXは東証の市場区分見直しに伴い、一定未満の時価総額の銘柄については、2022~2025年の間で段階的に構成比率が低減されます。


日経平均株価とTOPIXは、どちらも株式市場全体の動きを反映する指標です。

おおまかに言えば、指標が上昇すると景気上向き傾向、下落すると下向き傾向となります。

とはいえ、あくまで株式市場の中だけでの話であり、実生活の景気を100%反映しているわけではありません。

日経平均株価は株価の高い銘柄、TOPIXは時価総額の大きい銘柄からの影響を受けやすくなっています。


なお、日経平均株価とTOPIXは、株式投資においては「インデックスファンドのETF・投資信託」の運用指標になります。 



2.PER(株価収益率)

PER(株価収益率)とは、株価に対して発行株式の1株あたりの当期純利益(株主全体にもたらされた利益)が何倍なのかを表す指標です。

1株あたりの当期純利益は、EPSと呼びます。
 


一般的には、PERが高いほど株価が割高、低いほど割安と判断されます。


例えばA社のEPSが500円・株価が4,000円と仮定すると、PERは8倍です。

「4,000円で買った株が、1年で500円の利益を出す」というイメージになります。

このケースだと、株主は8年間保有すると投資分を回収できると予想可能です。

仮にPERが2倍だと、2年で元が取れることになります。

ただし成長期待が高い株式は、現状の利益に対してPERが割高になる可能性があります。

成長株は投資家からの人気が高く、株価が上昇する傾向があるためです。

また、PERは業種によっても水準が変わるため、同業種または類似企業の比較に用いられます。

そして、PERは、あくまで「今年の利益」をもとにした指標でありことを理解しておく必要があります。



3.PBR(株価純資産倍率)

PBR(株価純資産倍率)とは、発行株式の1株当たりの純資産(企業の資産のうち株主全体で保有する資産)が何倍になっているかを表す指標です。

純資産は、企業が解散した際に株主に分配される金額を表す「解散価値」とも呼ばれています。 

単純に資産価値と覚えておいても問題ありません。1株当たりの純資産をBPSと呼びます。


一般的には、PBRが高いほど株価が割高、低いほど割安と判断されます。


まずBPSが意味するのは「企業が解散したときに、1株当たりいくら還ってくるのか」です。

つまり、企業が倒産等したときの安全性を表しています。

BPSが高い=PBRが低いほど、当該株式は安全に保有できるとの判断が可能です。

例えばA社のBPSが1,000円・株価が2,000円と仮定すると、「2,000円で買った株だけど、純資産で考えると1,000円の価値しかない」というイメージになります。



4.ROE(自己資本利益率)

ROE(自己資本利益率)とは、企業が自己資本に対してどれだけの当期純利益を上げているのかを表す指標です。


一般的には、ROEが高いほど効率よく稼げる収益性・成長性がある企業と判断されます。


ROEが意味するのは、「企業は投資家が出資したお金を使って、効率的に利益を出せているのか」という経営の効率性です。


例えば、利益1億円で自己資本10億円のA社と、利益2億円で自己資本40億円のB社を比較します。

一見すると利益が多いのはB社です。しかしROEを計算するとB社5%・A社は10%と、A社のほうが2倍も効率がよいことになります。 


ただし、ROEは減資や自社株買いなどによって数値を増やせます。

ROEの数値が大きくても、自己資本金額が低すぎる場合は財政状態が盤石とはいえません。

比率だけでなく、財政状態の実態も確認する必要があるでしょう。


5.ROA(純資産利益率)


ROA(純資産利益率)とは、純資産に対してどれだけの当期純利益を上げているのかの指標です。

ROEと比べると、自己資本に加えて金融機関からの融資(借入金)や債券で調達した資金などの負債が考慮されています。


一般的にはROAはROEと同じく、割合が高いほど収益性・成長性がある企業と判断されます。


企業活動は自己資本以外にも、外部から調達したお金も効率よく使わなければなりません。

ROEがよくても、資金調達した分を溶かした結果、ROAが低くなるケースも考えられます。

6.配当性向

配当性向(はいとうせいこう)とは、当期純利益に対してどれだけ配当金を株主に支払っているのかを表す指標です。利益還元率とも呼びます。


「配当性向が悪いと、経営状態が悪い企業なのか?」と言われるとそうではありません。


例えば、立ち上げや事業拡大フェーズにある若いベンチャー企業は、配当よりも設備投資に利益を回している可能性があります。

積極的な設備投資によって、「将来的に株価が上昇する企業だ」とも判断が可能です。



一方で配当性向が高い企業は、「成長より維持に努める成熟企業」「株主に還元するフェーズに入っている企業」などが該当する傾向があります。

配当金をできる限り受け取りたい人は、配当性向がよい銘柄を選ぶのも選択肢として考えられます。


7.配当利回り

配当利回りとは、購入した株式の株価に対して年間どれくらいの配当金が受け取れるかを表す指標です。


配当利回りが高いと、購入価格に対して効率よく配当金が受け取れる銘柄と判断が可能です。


例えば、債券の利率よりも配当利回りのほうが高いと、債券を購入するより利益を増やせる可能性があります。


ただし配当利回りは、株価と配当金という予想通りの値動きをしない数値が絡んできます。

現時点での数値だけでなく、将来を見越した配当利回りを参考にする必要があります。

参照元: 「わたしのIFA」webページ

以上

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