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MFA(芸術修士)とは



MFAは「Master of Fine Arts」の略称で、日本では「芸術修士」や「美術学修士」と呼ばれています。

「New MBA」とも言われ、MBA(経営学修士)のようなグローバルスタンダードな学位として、
世界的に注目が集まっています。

今回は、このMFAについて解説いたします。


〈目次〉
1. 海外では、アーティストやキュレーターだけでなく第一線のビジネスパーソンも取得を目指すMFA

2.MFA is New MBA

3.サイエンスだけでは問題に対処できないVUCAの世界

4.美意識の水準が、個人や企業の成果を左右する

5.みんなで「生活」をつくるように社会をつくる



1.海外では、アーティストやキュレーターだけでなく第一線のビジネスパーソンも取得を目指すMFA

海外に目を向けると、MFAは、アートやデザインに関わる人たちのグローバルスタンダードな最終学歴(あるいは“最新”学歴)になろうとしています。

さらに、大手家電メーカーや自動車、金融、製薬など、数々のグローバル企業が、幹部の育成・トレーニングに向けたプログラムとして芸術修士課程(MFA)を採り入れたり、ニューヨークの美術館やアトリエでは朝からギャラリートークに参加する知的専門職の姿が見られるようになったりと、第一線で活躍するビジネスパーソンが、アートやデザインを学び始めています。

サイエンスからアートに近づく
現代ビジネス


2.MFA is New MBA

アート・デザイン領域の学びがさらに必要とされる時代へ

2008年、ニューヨークタイムズ誌に掲載されたアメリカの著名作家ダニエル・ピンク氏の記事に「MFA is New MBA」という言葉が登場しました。

古くからの伝統を重んじる企業も、想像力や創造的な思考をますます評価するようになっていると論じ、世界的な注目を集めました。

この考え方は、ハーバード・ビジネス・レビューでも取り上げられ、「The MFA Is the New MBA」というタイトルの記事が発表されました。記事を執筆したキャサリン・ベル氏自身も、MFAを取得した一人であり、大学院での体験をこう書き綴っています。


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「数年前、私はウェブ会社の経営を辞め、大学院でフィクションライティングを学びました。現実の仕事から完全に離れるつもりだったのです。
しかし、本業に戻ったとき、芸術修士課程はかなり良い管理職養成コースであったことに気づきました。財務のことは何も学べませんでしたが、イノベーションに必要な想像力を、2年間にわたって実践的に鍛錬することができたのです。」

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ダニエル・ピンク氏によって書かれた『ハイ・コンセプト〜「新しいこと」を考え出す人の時代〜』というアメリカのベストセラー書籍の中でも、MFAが担うアート・デザイン領域の学びがますます重要になっていくことが示唆されています。

ダニエル・ピンク氏


この書籍では、機能だけでなく「デザイン」、議論より「物語」、論理だけでなく「共感」、個別よりも「全体の調和」、まじめだけでなく「遊び心」、モノよりも「生きがい」というように、これからのビジネスや生き方を切り拓くための“6つのセンス”が紹介されています。

日本でも今まさに、必要とされている能力ではないでしょうか。ではなぜ今、このような力が必要とされているのでしょうか?

3.サイエンスだけでは問題に対処できないVUCAの世界

「Volatility=不安定」「Uncertainty=不確実」「Complexity=複雑」「Ambiguity=曖昧」という4つの単語の頭文字を合わせた「VUCA」が、今日の世の中を表す言葉だと言われています。

VUCA


不安定で不確実、複雑で曖昧です。そんな社会にあって、サイエンスや理性、論理だけを拠り所にした判断では、かえって状況を停滞させてしまったり、判断を麻痺させてしまうリスクがあると警告されています。

もちろんVUCAな世の中だからサイエンスが必要ないというわけではなく、サイエンスとアートのバランスが、これからより多くの場面で求められていくと考えられます。


4.美意識の水準が、個人や企業の成果を左右する

私たちの身の周りにあらゆるモノがあふれ、さまざまな技術やプロダクト・サービスが飽和状態にあり、どの企業も同じような正解に辿り着いてしまう今、優位性を出すにはアートやデザインの視点が欠かせないものになっています。

だからこそ、世界のリーダーやエリートたちは、単なる“教養”としてではなく、自らのビジネスやキャリアに役立てようという、とても“功利的”で“実践的”な目的から、アートやデザインを学んでいます。

自分たちの企業やプロジェクトの判断基準に「アート・デザインを学ぶことによって磨かれる感性」を加えることで、より良い方向へ推進させるための糧としているのです。


5.みんなで「生活」をつくるように社会をつくる

自分の所属するプロジェクトチームや会社、家庭、地域、あるいは社会全体をひとつの作品として捉えてみると、私たち一人ひとりがその制作に関わるアーティストだと言えます。

その作品をより良いものにするためには、「自分はその作品をどのようにしたいのか?」というビジョンやコンセプトを描くことが大切です。

そして、ビジョンやコンセプトを描く力は、MFAを取得する課程を通して実践的に養うことができると言われています。


参照元: 「京都芸術大学 大学院 通信教育」Webサイト

以上

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