【点睛開眼/プレリュード】二次元美少女の瞳
新しいカテゴリのnoteを始めたいと思います。題して【点睛開眼】。「画竜点睛」と同じ語源、意味を持つ言葉のようです。
このカテゴリでは、眼の造形表現ーー特に「二次元美少女の眼の立体化」について扱いたいと思います。
これは、アニメ美少女フィギュア造形家でもある僕の、長年の最重要テーマでもあります。
二次元美少女の異常性
日本の漫画、アニメの、二次元美少女の顔面には、リアルな人間とは明らかに異なる法則や矛盾がお約束として存在していることは、それらに一度でも触れたことがある皆さんは、お気づきかと思います。
それは、きちんと描かれない鼻筋や唇の表現だったり、とんでもない髪型であったり。
その立体化不可能な矛盾を、「こんなの無理!」で切り捨てず、四苦八苦し、誤魔化しつつも、なんとか解決してきたのが、美少女フィギュア造形の歴史と言って過言ではないでしょう。
巨大な眼を持つ少女たち
その中でも最も先達の頭を悩ませ、大きな矛盾を抱えていたのが「眼」の表現です。二次元美少女の眼は、ほぼ例外なく巨大です。我々は、あまりにも見慣れてしまって、もはやピンとこなくなっていますが、客観視するために典型的な美少女の顔の頭蓋骨がどうなっているのか・・・を実際に形にしてみたのが、以前もご紹介したオリジナルキャラ「富井アンナ」でした。下の写真は、別々に作ったものではなく、実際に頭蓋骨にパーツをはめ込んで、順に顔を組み立てていく過程です。
こうして形にすると、二次元美少女たちの「異常性」があからさまになると思います。眼の巨大さが際立っていることに気づかれるでしょう。それに比べ、顎は異常に小さくなります。眼球が大きくなるのは、瞳(虹彩+瞳孔)が巨大なためです(眼球が球にならず縦にひしゃげざるを得ないぐらいに)。この異常に巨大すぎる眼が、立体化の際に様々な矛盾を生み、造形家の頭を悩ませます。
2つのテーマ
美少女フィギュアの眼はあまりにも課題が多いのですが、【点睛開眼】では二つのテーマを詳説しようと思います。
1)瞳孔を正しい位置に置く「凹型虹彩メソッド」のススメ
2)斜めから顔を見たとき、向こう側の眼の形状(圧縮)について
1)については、Twitterなどで反響を得た、虹彩を凹型で造形する理由と方法についてです。上記の富井アンナもこのメソッドで作られています。
これについては多くの人に「なんか奇抜な主張で目立とうとしている」ぐらいにしか思われていない気がするので、そうではなく、立体で眼球を作るなら「これが理にかなってる」というプレゼンです。
2)については、言葉だけでは判りにくいと思いますので、お話する際に図解とともに解説します。おそらくアニメ美少女造形に取り組んだ人なら、一度はひっかかり、悩んだ部分だと思います。ここが解決できずに、結局美少女造形をやめてしまった人を知っています。
というわけで・・・
次回からは、【点睛開眼/凹型虹彩】を掲載予定。これは何度かに分けてお送りします。まずは「かのミケランジェロのダビデ像が斜視な理由」から。予習のために、以下の記事(『Newsweek日本版』の記事)をお読みいただくと、助かります。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/culture/2019/03/500-3.php