いつもそこにあるビターエンド

今日は、これまでに見たテレビドラマでわたしにとって大切な作品の一つ、『不機嫌なジーン』について書いてみようと思う。

20代前半の頃、大好きだったドラマ。
竹内結子さん主演の『不機嫌なジーン』
共演は、内野聖陽さん、小林聡美さん、オダギリジョーさん。
竹内結子さん演じる、大学院で昆虫の研究に没頭する一途で風変わりな女子学生と、内野聖陽さん演じるナルシストで自信家な凄腕学者のビターな恋の物語であると同時に、ヒロインが悩みぬいて本当にやりたいことを選び取っていく、”人生”についての物語。

このドラマは月9枠にも関わらず、ヒロインが、生きていく上でマイノリティであってもポジティブに進むこと、大事なものを守るために権力に抗ったり、自分の信念に従った結果、既定路線から逸脱していく姿を見せてくれるのだ。
ラストでは、ヒロインは仕事で成功を収めるが、恋を失う。
タクシーの中で、カーラジオから恋人である教授との思い出の曲、サラ・ヴォーンの「ラヴァーズ・コンチェルト」が流れてきて、涙するヒロインを見ていて感じたカタルシス。堪え切れずに流れてくる涙と、ラヴァーズ・コンチェルトの長調だけれども弦楽器の切ない音色が相まって、絶妙なビターエンドを見せてくれる名シーンだ。

振り返った時に、手にいれたものも失ったものもあっていい。
人生にはそういう側面がある。そういうものだよ。それでいいんだ。
このドラマがこれほど印象に残っているのは、そういう感覚を持つことができたからだと思う。

事実、自分の人生においても手放しでハッピー!なんてことはそうそうない。きっと誰にとってもそんなもんだと思うけど。
傷付きながら同時に救われるようなこともあるし、ものすごく嬉しくて天にも昇る気持ちでいたら、急にズドンと突き落とされてしまうようなこともある。
悲しいことの合間には、ちゃんと嬉しいことが挟まっていて、その逆も然り。
そんな訳で、フィクションの世界でもビターエンドが心地良く感じるのです。腑に落ちるというか。

それにしても、このドラマの竹内結子さんは本当に素敵でした。ジン子は憧れです。


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