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成長要因を定める~「これだけは、ゆずれない」ものは何か~

事業を始めるとき、その事業が成功するために「必要不可欠な要因」は何であるかを決定することが重要になります。

これを成功要因(KFS:Key Factor for Success)などと言ったりしていますが、成功という言葉が好きではない人は、成立(establishment)とか、成長(growth)、あるいは継続(continuation)要因と言ってもいいと思います。

KFE,KFG,KFC(フライドチキンみたいですね)など、なんでもいいのですが、事業が成長する、継続的に競争環境の中で成り立つために「必要不可欠な条件」は何であるか、これを仮説条件立てするということになります。


それでは、どういうアプローチで事業のKFSを定めたらよいのでしょうか。
成長要因(ここから成長要因と言います)探索3ステップ思考法です。
(1)まずは、同業界・同業種の中で、モデルとなる具体的企業をピックアップします。そして、その企業を観察調査し「その企業を成長足らしめた要因は何であるか」を10個以上書き出します。
視点は
「顧客がその企業が提供する商品やサービスに対して圧倒的な価値を感じているのか」
「その企業の顧客が愛してやまないそこでしか感じられない、得ることができない価値は何か」
「その価値を支えている、企業の取組みや仕組みづくり(管理、生産、販売、財務)における工夫は何か」
「どのような成長戦略を掲げているか」などを調べます。


いわば、その企業の社長の頭の中を覗き、その業界のプロになった気持ちになって、
「既存の企業のこの業界における成長要因はこれだ、これを外してしまうと事業は成り立たなかった」と仮説を立てます。

(2)次に、その業界と対極にある業界について研究する。例えばモノを作る製造業であれば、モノを作らない、情報産業やサービス業。ハレの時を彩るお菓子屋さんであれば、ケの産業である葬儀屋さん。など、「異質な事業の成長要因を分析する」ということです。(これも、10個位仮説を立ててみましょう)

このプロセスがなぜ必要かというと、「固定観念を排除する」「同業他社にはない自分なりの要因を定める足掛かりをつける」ということになります。

(3)(1)(2)両者に共通する成功要因をピックアップし、自分の事業の「成長要因」を定めるフェーズになります。


このようにして
(1)モデルとなる同業者の成長の要因探求
(2)異質な事業者の成長の要因探索
(3)独自の成長の要因設定
のステップを踏みます。


たとえば・・・
行列のできる地域一番のラーメン屋さんの事業を始めたとします。
その起業者は「広域チェーン店化したいか」「地元密着で県内オンリーで行きたいか」にもよりますが、前者であれば、その業界内で、一番のチェーンをモデルにします。
(1)そこの成長プロセス、過去の店舗展開、ブランド、商品づくり、サービス、価格、メニュー、味、顧客層など分析します。
同じ土俵で戦っても勝ち目はないので、「違う市場(顧客設定)」をします。いわゆるペルソナ化ですね。
そこで、例えば、ファミリー層の低価格帯で飽きの来ない味、定番が強いが季節ごとのメニュー展開を頻繁に行い、キャンペーン、TVCMで誘客などと見て行きます。

そこで、「ははん、この業界で、勝ち残って来た要因は、①強い定番メニュー②元気な接客③す早いサービス時間・・・⑩それらを支える教育の仕組みだな」と仮説立てします。

まあ、もっとも飲食店でテッパンの成功要因は「味」「サービス」「クリンネス」「立地」ということになりますが・・・。

(2)次に、異質なビジネス、例えば、パチンコ店を設定します。そこで、「ははん、パチンコ店で業界内で勝ってきた理由は、①大勝ちした記憶、雰囲気を醸す②明るい店内③飽きさせない新台入替のタイミング・・・・・⑩お客様とのコミュニケーションなのだな」と仮説立てします。

(3)最後に、それらを綜合し、自社のラーメン店の成長要因は「味」「サービス」「クリンネス」「お客様とのコミュニケーション」と最低5つ以内、しかも優先順位の番号をつけて設定します。

これで、成長要因の設定は完了です。


これは、あくまで、仮説の域を出ていませんが、「決める事」が大切です。
そうしないと、限られた経営資源を集中できないからです。

成長要因をこのように定めたら、次のステージ。

「成長要因を確保するための施策」を練るステージになります。


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