幼馴染はキュートな吸血鬼 35話 修行
「父さん、旭川に行ってくるね」
「ああ、頑張っておいで」
父さんは手を振って見送ってくれた。
旭川について栄四郎さんを訪ねる。
「こんにちは、天羽七香です」
「やあ、七香ちゃんか、お父さんから話は聞いているよ」
にこやかに答えてくれた。
民族楽器が沢山置いてある広い家だ。
「栄四郎さんはヴァンパイアなんですか?」
「ああ、大したパワーは持ってないけどね」
「私はどんな事を学んだら良いんですか?」
「それはこれから徐々にやって行こう、直ぐにわかることじゃあ無いからね」
「そうなんですか……………」
「そこの奥の部屋を使ったらいい、明日から練習を始めよう」
「はい」
私は奥の部屋に荷物を置いた。
早く終わらせて旭のところへ帰りたいと思っている。
「旭〜………今どうしてるの?…………」
思わず独り言が漏れてしまう。
夜になると色んな料理が出てきた。
「七香ちゃん、あまり美味しくはないがこれを食べてくれ。これは力を発揮するための食事だからね」
「はい、わかりました」
「うっ!」一口食べると私は口を抑えた。
「それは熊の胃だ、体を浄化させる効果がある」
私は必死に飲み込んだ。
その後もかなりキツい食事だったが、何とか食べた。
特製ハチミツだけが美味しいと言えるものだった。
翌日から練習が始まる。
「七香ちゃん、気をあつめてここに集中してごらん」
「私は言われたまま目を閉じて集中した」
「違う違う、そこじゃあない、ここだよ」
栄四郎さんは何度も場所を変えて気の集中する感覚を鍛えてくれる。
「そうだ!!!今この紙が動いただろう?」
「はい、なんか自分の気を集中させた場所が何となくわかってきました」
「いいぞ、今度はこのストローを動かしてごらん?」
「はい!」私は心の中でストローの場所を探りそこに気を集中させる。
ストローはポロリと床に落ちた。
「良いねえ、七香ちゃんは特別に強いパワーを持っている」納得している。
「そうなんですか?」
「ああ、もっと慣れてきたらすごい事ができるようになるよ」
「はい、頑張ります」
私はひたすら練習……いや修行に励んだ。