幼馴染はキュートな吸血鬼 30話 危険な賭け
数日して美也子女史から連絡が来る。
私は彼女の家を訪ねた。
「こんにちは、何か分かった?」
「分かったわよ、とんでも無いことが!」
私は彼女の部屋で促され開いてあるノートパソコンを見た。
「何これ!!!」
「そうよ、あの旭って男の子はVX1のマイナスを持ってるわ」
「うそ!だってVX1のマイナスはスーパーヴァンパイアだけが持ってる血でしょう?」
「でもあの子はスーパーヴァンパイアじゃないわ、普通の人間よ」
美也子が不思議そうに言った。
「なんでVX1のマイナスを持ってるのかしら?」
私も不思議になった。
「ラムの七香って女の子はそれを知ってたのかしら?」
「わからないわ、でも月に一度血を吸ってたみたい」
「だから覚醒前でもあんなにパワーが強かったのね」
美也子は何度も頷く。
「もし七香って子が旭と子供を作ったら、とんでも無いパワーの子が生まれたかもしれないね」
私は身震いする。
「そうね、そうなったら『ラミア』は最大のピンチを迎える事になったかもね」
美也子はガックリと椅子に腰を下ろした。
「そうだ、コーヒー入れるね」
美也子は立ち上がってキッチンへ向かう。
「ありがとう」
私もリビングの椅子に腰を下ろした。
コーヒーを飲みながら最近の『ラム』情報を美也子に聞いた。
「ラムに何か大きな変化がありそうだって噂があったのはこの事かもね」
「そうね、ラムにスーパーヴァンパイアが生まれたら大変だったかもね」
私はふとある考えが浮かんだ。
「ねえ、私と旭の子供でもスーパーヴァンパイアが生まれるかしら?」
「確率は同じだと思うけど……危険だわね………」美也子は眉を寄せる。
「もし私がスーパーヴァンパイアを産んだらきっとラミアの勝利は間違い無いわよね」
「やめなさい!本当に生まれるかは解らないし、もしパワーの強い子が出来たらあなたはパワーを吸い取られてしまうわ、出産したらお婆ちゃんみたいになっちゃうわよ」
「私はお婆ちゃんになっても『ラミア』の歴史に残るわ!」
「やめなさい馬鹿なことは」美也子は冷めた笑いで見ている。
私は旭の部屋へ戻ってきた。
「おかえり〜」旭は優しい笑顔で迎えてくれる。
「ただいま〜」私は旭に抱きつく。
心の中である決心をした。