星降る夜のセレナーデ 第20話 クリスマスイブ
山里のログハウスではクリスマスパーティの準備が進められている。私は嬉しそうにシャンパンを用意した。
「こんばんわ」真人くんが袋を下げてやってきた。
「いらっしゃいモヒくん」志音は嬉しそうに迎えている。
4人はテーブルに向かい合って座った。テーブルにはたくさんのご馳走が所狭しと並んでいる。真人くんは不思議そうにそれを見渡し、音が出るほど瞬きした。
「それでは乾杯!」私はシャンパンを開ける。
志音と美夜子はクラッカーをポン・ポンと鳴らした。リビングの窓際にはクリスマスツリーが飾られLEDの明かりがチカチカしている。
3人はシャンパンを飲んだ、志音はジュースを飲んでいる。
オードブルやローストビーフなどを食べながらパーティは楽しく進んだ。
しばらくすると志音が紙袋を持ってきた。
「これ、モヒくんにプレゼント」志音が差し出す。
「えっ!俺にプレゼント?」真人くんは驚いた。
「志音が真人くんにマフラーをプレゼントするって、この前熊谷で買ったのよ、もし真人くんに恋人がいたら悪いわよって言ったんだけど…………」
「鹿の時や金魚の時とかたくさん助けてもらったからね」嬉しそうに言った。
「俺、恋人とかいないし何も問題ないです、志音ちゃんありがとう、似合うかな」真人くんは袋からマフラーを出して首に巻くと微笑んだ。
「うん、とってもよく似合うよ」志音は嬉しそうに頷いた。
「真人くん、これは私からのプレゼントだよ」そう言って大きめの箱を差し出す。
「えっ!!!まだあるんですか?」真人くんは驚いた。
「この前からコードの勉強を始めただろう?だからこれがあると良いかなあと思ってね、開けてごらんよ」
「はい…………」箱を開けると鍵盤が見える。
「これは…………」真人くんは何度も瞬きした。
「こらはなかなか優秀なキーボードでね、色んな音が入ってるんだ」私はにこやかに説明した。
「ありがとうございます、俺、家でももっと勉強します」唇を噛んでいる。
「そんなに必死にならなくても大丈夫だよ」私は笑った。
「私は何もないけど、これはいかが?」美夜子はオーブンから焼き上がった大きなチキンを持ってきた。良い香りがリビング中に広がる。
「今夜のメインディッシュよ」そう言って切り分けそれぞれのお皿に乗せた。
「うを〜!パチパチ!」志音と真人くん、私も拍手して喜んだ。
パーティが終わる頃になって真人くんは恥ずかしそうに袋を出した。
「志音ちゃん、ごめんね、俺こんな物しか思いつかなくて」志音に差し出す。
「えっ、私にプレゼント?」志音は嬉しそうに受け取った。
ゆっくりと袋から出すと色鉛筆やサインペンなどが入ったお絵かきセットだった。
「やった〜!!」志音は嬉しそうに開けて中を見た。
「モヒくんありがとう、大事にするね」満面の笑みで真人くんを見ている。
「よかったね志音」美夜子も微笑んでいる。
里山のクリスマスは和やかに終わりを迎えた。
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