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事故は慢心が引き起こす

クルマの怖さは事故ってみないと分からないし、人の怖さも同様。

大学入学前の春休みに普通車の免許を取って、最初は原付に乗った。親のスーパーカブ。親父がバイクに乗っていたから何の抵抗もなく、やがてCB50Sを買ってもらえた。
その後、自動二輪中型免許を取り、バイトで貯めた8万円で中古のRD250を購入。

ツーリングも好きだったが、走ることが好きで六甲山によく行っていた。
その頃は奥摩耶ドライブウェイもバイクで走れたので、多くの走り屋が訪れていた。ローリング族という言葉もなかった頃。
見せ場のコーナーの外側には「ギャラリー」がたくさんいて、人の走りを見て楽しんだり勉強したりしていた。そこを走ることが一つの快感でもあった。

六甲山では他人の事故をしばしば見かけた。
単独はあるあるとしても、ハイカーなどを巻き込んだ事故は痛ましかった。

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社会人になって自分は関西を離れて関東へ。
1年目の冬に初めて買ったクルマは中古の三菱コルディア1600GSRターボ。自分のお金と親から借りたお金で購入。(自立してから買えよという感じ)

やはり走ることが好きだったのと、関東での寂しさを紛らすことが相まって、夜も休日もクルマで出かけていた。

そんなある日、会社の仲間と行楽で郊外に出かけ、つるんで走ったことがあった。まだ雪が少し路肩に残っているような寒い時期。

そこは以前にも自分ひとりで走りに来ていた場所。
そのときも走りたくて・・(危ないと思ったから)横に乗っていた子に他のクルマに乗ってもらい、自分が先頭になって峠を走った。

とある下り坂のカーブに差し掛かったときに、速度が出過ぎていると感じた。本来なら十分速度を落としてから入るべきコーナー。
曲がりはじめにアクセルを戻した瞬間に、後ろが滑った。FFだからタックインのような状態になったわけだが、初めての経験にうろたえる。
瞬時にステアリングを逆に切ろうとしたり、なんらかのアクションをしていたのだが、そのときちょうど対向車があってひるんだ。(どうしていいか分からない)
レーシングテクニック的にはそこでアクセルをオンにするのだろう。しかしそれはできなかった。できるはずもない。どこに飛んでいくか分からない。

クルマは不安定に右に左に蛇行しつつ、景色はコマ送りで目まぐるしく変わり、カーブの外側に飛び出して何かにぶつかった。その時間はとても長く感じたが、なすすべがなかった。

ぶつかったのは石と柵だったらしい。もろともその先にある池に落ちた。
クルマは前から沈み、足元に水が入ってきた。
運よくすべて沈まず、ボンネットだけが水の中にあった。

すぐにシートベルトを外して窓から外に出たつもりだったが、かなり時間が経っていたらしい。しばらく気を失っていたのかもしれない。どうやって池の外に出たのかもよく覚えていないが、外に出ると人だかりができていて「生きてるぞー!」という声が聞こえた。

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寒い日とはいえ、休日の観光地。多くのハイカーが訪れていた。
後ろを走っていた友達の話によると、自分のクルマが反対車線を越えたときに、歩道を歩いていたカップルがいたらしく、そのどちらか、または近くにいた人が彼らを引っ張って逃げたということだった。
もし逃げなかったらどうなっていたか・・

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事故にもさまざまなケースがあると思う。

多くの事故はちょっとした気の緩みや注意散漫によって引き起こされると思うし、起こした本人の日常は善良な市民であることも多い。
結果がどのようなものになるかによって、それが大事故になったり、ニュースを賑わすことになったりする。
ほぼ自損だけで終わることもあれば、他人を巻き込んで彼らの人生を一生見て行かなくてはいけなくなることもある。

だから事故は怖い。運もある。
しかし事故は防げる。おそらく基本的なことさえ守っていれば、大きな事故にはならないだろう。

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その後、物損の後始末がややこしかったのだが、割愛する。あまり思い出したくないし、公に言うようなことでもないだろう。

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