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カメラを持つのはファッションですね。お気に入りのカメラを持とう。

もう随分昔の話ですが、沖縄に行きました。
ただ一度の沖縄ゆき。
レンタカーに乗って那覇から58号を北上し、残波岬で降り立ちます。

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自然に晒されたような素朴な場所で、海岸線に続く個性的な断崖の上を、海に向かって歩いていくような場所。
途中にシンプルな灯台があり、その手前に風化した小さなバスのようなものが放置されているけれど、そこは何かのお店。きょうは休みのようです。

訪れている人はまばらで、風が耳をかすめていく音と、波音だけが聴こえています。

僕の前に、カップルが海に向かって歩いていて、
男性は、ローライのような手巻きのカメラを持ってうつむき、指にタバコを挟んだまま、前の風景を撮影しています。
女性は、長い髪を風になびかせ、長いスカートも同じ方向になびいて・・

黒っぽい服を身にまとった二人が、残波岬をゆっくりと歩いて、青い海と空と白い灯台との間に浮かび上がっているようです。

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その二人の佇まいにしばし見惚れてしまい、僕は灯台を撮りに来たことを忘れそうな感じでした。
しかし僕は二人をカメラに収めることもなく、灯台や海の風景を撮って帰路につきましたが、記憶のなかにはずっと、そのときの二人の光景が焼き付いてしまいました。

カメラを持つ理由

近頃、スマホがあるのになぜカメラで撮るのか?という議論をSNSでよく見かけます。
そして僕も、もうカメラで撮らなくてもいいのでは?という記事を書いたこともありました。

しかし、カメラを持つのは、きっと撮るという目的だけじゃない、何かがあると思います。
単に持っているのが嬉しいとか、ハイになるとか、逆に落ち着くとか。
このカメラで撮れば、なぜか上手く撮れるんだとか。

そういうことって、例えばお気に入りのメガネや、帽子や、バッグを身に着けることと似ているような気がするのですね。

それは身に付けている本人にとって素敵なことであり、かつ、周りに見せるビジュアルにも影響することなんじゃないかなと思います。
パーティーでドレスコードが設定されるように、特定のシーンにあると嬉しいアイテムなのではないかと、思うこともあります。

つまりカメラを持つ理由は、写真を撮る目的以外にも「自分たちを楽しくさせる」という、豊かな時間を過ごすための行為なのではないかと思えます。

なんでも二次元に収束されていく今の時代に、個性的なアイテムを身に着けることには、新鮮な喜びと楽しさがあるのではないでしょうか。
カメラだって、いろいろな楽しみ方がありますよね。

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