見出し画像

「会社を救うため」平成の終わりにあなたがするべきこと

平成の始まりは良い時代だった。ちょっと前の週刊ダイヤモンドの記事から始まり、その「ヤバさ」はSNS上でバズッた。

なんと、世界の時価総額上位50社のうち、32社が日本企業だったのだ。
「何という成功体験!!」

平成は強烈な成功体験の中に始まった。世界の大企業になった日本企業は、追うべき相手を失い、その地位を保つべく、財務を回すことが重要になった。このころ、ビジネスに求められる力は明らかにシフトした

EVAとか資本コストとか言い出し、数字を見る力が一般教養に加わったのだ。経営に腕力が利かなくなり、数字に強い経営者が現れるようになった。

次に、企業も、国内だけを見ていても行けないことに気づいた。だからこそグローバル化が叫ばれ、海外帰りの経営者がトップに就くようになった。ビジネスにはグローバルなセンスが求められ、一般教養に加わったのだ。

しかし、世界のスピードはもっと速かった。

それから30年、世界の時価総額トップ50には日本企業がトヨタ1社しか入ってない。そのトヨタも、やっとのことで35位。アップルやアマゾンだけではない。サムスンも、アリババですらも、その背中すら見えない。
「何という没落・・・」

平成は完全に戦略を間違った30年だったのだ。過去の大きすぎる成功体験にしがみついて変わることができなかった。世界の中で、テクノ・グローバリズム、テクノ・ナショナリズムが一般常識になっていることすら気づけなかった。

グローバル志向の経営者達は一見優秀に見えたが、テクノ・グローバライゼーションの本質を間違えていた。結果、日本のテクノロジーは海外に貪り食われた。

後進民族となり下がった日本人は、少子高齢化を言い訳とし、デジタル化の価値を見誤って、会社組織も社会の体制も変わることができなかった。結果、デジタル化は遅れ、荒廃の道をたどっている。

我々に必要なのは、この30年にわたる民族荒廃からの復興だ。復興すべきは震災の被災地だけではない。我々のマインドだ。

偉大な為政者は100年続く体制を作ると宣言し、偉大な経営者は1000年続く企業を作るとうそぶく。そんなことをいうのがおかしいのかもしれない。
「無理に決まってるのだ」

実は、生きるということは変わり続けることである。

人体にある60兆の細胞は毎日1兆が入れ替わっている。新しく生まれて、古いものは捨てられている。新陳代謝が速い胃や肝臓などの臓器では約1カ月でほぼすべての細胞が入れ替わっている。生きているということはそういうことだ。

これは人体の中で細胞が入れ替わるというレベルだけの話ではない。実はそれぞれの細胞の中でも分子レベルで入れ替わっているのだ。日本が誇るノーベル賞受賞した研究でもある。人は細胞の分子レベルで入れ替わっているからこそ生きているのだ

老化するということは、実はこの入れ替わりの活動が鈍化し、サイクルが長くなるということでもある。そして最後には死に至る。

翻って、この細胞分子レベルの入れ替わりの仕組みを解明することは、人類が永遠に生きる肉体を得るためのカギだともいえる。すでにその入れ替わりを阻害しているたんぱく質もわかっている。

これは人体だけではない。あらゆる「組織」に言えることでもある。

伊勢神宮は天武天皇以来、1300年の時間を経て「生き続けている」文化である。伊勢神宮の内宮外宮等はエジプトのピラミッドのような遺跡ではない。生きている構造物だ。

なぜ、伊勢神宮が生きているかといえば、それは「入れ替わっているから」だ。細胞が分子レベルで入れ替わるような式年遷宮という「仕組み」をもって、自らを壊し再生し続けている。

世界中の文化や文明が滅び、遺跡となる中で、世界でも稀有な例として1000年以上も伊勢神宮が生き永らえているのは、この20年という入れ替わりのタイミングが永遠の若さ「常若(とこわか)」を保つのに絶妙だったのだ。

最後に企業という組織を見てみよう。

世の中のビジネスマン達が所属する会社のことを考え、真剣にどうにかしようと考えていることはよくわかる。日本企業の殆どは未だに封建制であるから、藩に忠誠を誓うのもわかる。脱藩は死罪だ。

しかし、あなたがもし、20年以上同じ組織にいるのであれば、あなたは組織という細胞内の老廃物である事も間違いないのだ。どのような立場であろうと関係ない。20年は伊勢神宮の式年遷宮より長いのだ。

どんなに貴重なスキルを持った存在であっても、どんなに会社のことを考えていても、そんなことは関係ない。昨今のスキルは数年も持たない。あなたがそこにいる以上、その組織は崩壊するパルテノン神殿にしかならない。

なぜ、日本企業が世界のテクノ・グローバリズムの動きについていけなかったのか。それはあなたがそこに長く居すぎであることと無関係ではない。

あなたがそこにいることは、企業が生き延びるためにあってはならないことなのだ。活性化している企業組織は5年から10年ですべてが入れ替わっている状態が健全なのだ。そのスパンが長ければ長いほど企業は老化し、確実に死に向かっている。

我々はこの失われた30年からの復興を成し遂げなければいけない。

もう残された時間は多くない。

この平成の終わりにあなたがしなければいけないこと。本当に会社のことを思っているのであればこそできること。天皇陛下が決断されたこと。

それは「今の組織を出ること」だ。

別の組織ではあなたは常に新しい存在だ。老廃物ではない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?