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夏のおいしいワークショップ(1)〜 くいしんぼうラボ 活動レポート(vol.14)

「くいしんぼう ラボ」は、2022年に東京学芸大学と辻調理師専門学校との間で締結された「食と農と環境に関する教育研究連携」に基づき、くいしんぼうの視点で、食・農・環境を考える・畑で食べる・薪でピザ、梅干し作り、ハーブで遊ぶ・畑でコーヒー焙煎、コーヒーの抽出カスで肥料作りなどなど、美味しいものを中心にして、みんなで食べること、農作物を育てること、そして環境に優しく持続可能な社会のことを楽しみながら学ぶというExplaygroundのラボです。
8月7日(月)、8月24日(木)の2回にわたり、エコール 辻 東京と東京学芸大学のラボメンバーに加えて、2024年度開校予定の「辻調理師専門学校 東京」への入学希望者など、ラボメンバー以外の方でも参加できる特別な「夏のおいしいワークショップ」を開催しました。農園を管理されているリーダーの平田さん(東京学芸大学)によるご指導のもと、総勢15名での活動の様子をお伝えします。

2023年8月7日(月)。天候が心配ではありましたが、みんなの思いが伝わったのか、活動を開始する頃には、青空も見え始め予定通りスタートすることができました。
今回と次回(8月24日)は、エコール辻東京と東京学芸大学のラボメンバーのみならず、2024年度開校予定の辻調理師専門学校東京への入学希望者など、ラボメンバー以外の方も参加できる特別な回となります。いつものように農園を管理されているリーダーの平田さんご指導のもと、今回は総勢 15 名の皆さんとの活動です。
まずはトマト、ナス、バジル、きゅうりの収穫、次いで落花生、イネの観察、さらにスイカも収穫させていただき、その鮮度抜群の夏野菜を使っての調理、試食へと続きます。
今回の活動のタイトル通り、まさに「夏のおいしいワークショップ」となりました。

皆さん、身支度を調えて農園の奥へとずんずん進みます。最初の活動は太陽をいっぱい浴びて育った真っ赤なトマト、そして 張りのあるみずみずしいナスの収穫です。

背丈を越すほど立派に成長したトマトの蔓(つる)を掻き分け、収穫できそうなトマトを探します。
ツヤツヤで張りのある、立派なナスが収穫できました。おいしそう!

トマトもナスも、形や色は様々でしたが、新鮮さは一目瞭然。初めての農業体験に緊張の面持ちのメンバーもいましたが、皆さんとても丁寧に野菜を収穫しました。 次にバジル畑へと移動です。そこには、ピザにトッピングされたり、スーパーで少量売られたりしているものとは全く異なる姿、すなわち、たくさんの陽を浴びて、めいっぱい茎や葉を伸ばし、すくすくと成長したバジルがありました。 平田さんに収穫の方法を教わり、数枚の葉がついた茎の先をハサミで切って収穫していきます。すると、ハサミを入れたとたんにバジルの香りが立ち上り、やがて辺り一面にそのさわやかな香りが立ち込めました。「ここにずっといたいです!」とコメントしてくれた学生もいたほどの素敵な香りでした。これも実際に収穫したからこその体験です。

摘み立てのバジル。本当にさわやかでいい香りです。 「このバジルをピザにトッピングしたり、ジェノベーゼにしたりすると美味しいだろうなぁ」
「バジルが生育しているところを見るのも、収穫するのも初めてです」という学生も。香りと共にこの体験が記憶に残ってくれるでしょう。
赤もあればオレンジもあり、丸もあれば俵型もあるフレッシュトマト。色艶からもみずみずしさのわかるバジルたち。 写真からもその新鮮な香りが立ち上ってくるようです。

その後はきゅうり、さらにスイカも収穫させて頂きました。 スイカは収穫の目安として、「叩いてみてポンポンといい音で響くもの」とよく聞きますが、「スイカ特有の縞模様に若干凹凸が見ら れるようになった頃(黒っぽい部分が締まり、白っぽい部分が盛り上がる)も収穫の目安と言われています」と平田さん。 「凹凸?」と、そぉ~っと手で触ってみながら、「これかな、あれかな」と迷いながらも 1 玉選びました。食べ切れる量として今回は 1 玉でしたが、夏を彩る存在感バツグンのスイカが収穫できました。

収穫したトマト、キュウリ、ナス、スイカ、バジル。学校へ戻っておいしく調理しましょう!

ここで平田さんのご提案により、すくすくと成長している落花生とイネを観察させていただくことに。東京学芸大学の農園には、広い農地と食材となる多くの植物が生育していることを改めて実感する機会となりました。

落花生はちょうど花をつけた時でした。花びらが落ちるとめしべの部分が地面にもぐり、豆に成長していくそうです。落花生はこんな風に育つのです。

落花生とイネの観察を終えた後、収穫物と共にみんなで記念写真をパチリ。そろそろお腹もすいてきました。さぁ次はいよいよ、 辻調理師専門学校 東京の校舎へ移動し、お待ちかねの料理の時間です!

収穫物と一緒に記念撮影です。みなさん、暑い中、おつかれさまでした!

白衣に着替えて手洗いを済ませれば、早速調理開始。本日のメニューはこちらです!

~ 夏のおいしいワークショップ(1)本日のメニュー ~
ヴィシソワーズ(じゃがいもの冷製スープ)
パンサラダ
夏野菜のパスタ トマトソース
梅ゼリー

個人実習室で収穫したての夏野菜をカットします。
採り立ての肉厚ナスはオリーブオイルでソテーします。
鮮やかな色合いのトマトがおいしそうにパスタを彩ります。
農園管理の平田さんもパスタに挑戦。エプロン姿も似合っています!
自分が収穫した食材で自分が作ります。

さっきまで農園で育てられていた夏野菜たちが、地産の旬のメイン食材として料理を構成します。時間の都合上、ヴィシソワーズ (じゃがいもの冷製スープ)と梅ゼリーは事前に調理しておいたものでしたが、梅ゼリーの主材料である梅は農園で収穫されたもの。梅ゼリーは、春に収穫した農園の青梅で作っておいたシロップ煮とジャムを用いて、エコール 辻 東京 辻製菓技術マネジメントカレッジ 2 年の在校生が考案してくれました。生鮮食材はすぐには食べきれない場合も多いため、昔から伝わるこのような保存技術も知っておくことが大切ですし、保存食材も取り入れることで、農園の恵みを余すところなく参加者全員で享受することがで きました。

青のシロップ煮とジャムをゼリーにトッピングします。
参加者の皆さんへ、収穫した青梅で作ったゼリーを紹介します。

本日のメニューが完成しました。各自でテーブルへと配膳して、さあパスタがあたたかいうちにいただきましょう!

農園産のじゃがいもで作った冷製スープ、ヴィシソワーズ!
こちらはパンサラダ。パンは辻調で焼いたバゲット
農園の夏野菜を使ったパスタ!
デザートとして、同じく農園産の梅を使ったさわやかなゼリー
自分たちで収穫し、自分たちで作った料理。お味はいかがですか?
ラボメンバーである外園先生と、鮮度の良い食材を使った調理についてのディスカッション。

今回は、猛暑の中、太陽の光をめいっぱい浴びて生育する野菜の力強さ、農作業の大変さ、また様々な野菜の育成状況の観察からは、気候や天候などの自然環境の影響をまともに受ける農業のむずかしさや、これを克服する人間の工夫の奥深さも垣間見ることができました。そして、食・農・環境をテーマにするくいしんぼうラボの活動の意義を改めて実感する一日となりました。
今日参加してくれた皆さんには、今日体験することで得られた知識や思いを、五感で感じ取ったおいしさと共に、記憶に刻んでほしいと思います。そしてラボのテーマのように、広い視野をもって、将来の料理人、パティシエを目指してほしい。そうすれば、きっと料理やお菓子を通じて、生産者にも消費者にも豊かさを届けることができるようになると思います。
次回、おいしいワークショップ(2)は、 8月24日に開催予定です。どうか晴れますように!
本日は皆さん、本当におつかれさまでした!

※第二回はこちら

辻調理師専門学校 迫井千晶

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