夏のおいしいワークショップ(2)〜 くいしんぼうラボ 活動レポート(vol.15)
8月も終盤になりましたが、まだまだ猛暑が続く毎日です。そんな暑さにも負けじと、2023年8月24日(木)、夏のおいしいワークショップ(2)が開催されました。
前回同様、エコール 辻 東京、東京学芸大学のラボメンバーとともに、2024年度開校予定の辻調理師専門学校 東京への入学希望者など、ラボメンバー以外の方も参加して、総勢15名での活動です。そして、今回も、前半は旬の野菜の収穫、後半は採りたての野菜を使っての調理、試食となります。まずは東京学芸大学環境教育研究センター多目的室にて、自己紹介からのスタート。それぞれ自分の所属や名前、普段取り組んでいることや、このラボに参加しようと思ったきっかけなどを話します。はじめて参加された方は緊張気味でしたが、ラボのメインメンバーの学生たちの和やかな雰囲気のおかげで自然と笑顔がうまれ、お互いを知ることで緊張もほぐれていきました。
全員の自己紹介を終え、いよいよ身支度して農園へと繰り出します!
前回の8月7日から2週間しか経っていないにも関わらず、照り付ける太陽の日差しの下、農園の緑が一段と色濃く生い茂っていることが分かります。植物の生命力を五感で感じながら、農園の奥へと進んでいきます。
農園の広場から圃場(農作物を栽培する畑や田んぼ)に向かう途中に、見上げるほどの背丈の木があります。何やら実がなっているように見えます。目を下に向けると足元の草の茂みにその実のようなものが…拾って中を割ってみると、梅干しの種を一回り大きくしたような茶色い種とピンクがかった果肉が現れました。「アーモンドの実ですね」と平田さん。「これがアーモンド!?」と皆さん興味津々です。割った果肉部分からはほんのり甘い香りもします。熟した合図なのかもしれません。この種の中の仁(じん)がアーモンドになるそうです。「アーモンドを使ったお菓子にはどんなものがあったかなぁ」。想像が翼を広げます。
アーモンドの他にも、みかん、キウイフルーツが実り始めていました。この農園は、本当に食材の宝庫です!
アーモンドや果物の様子を観察しながら、農園の奥へと進みます。次は、夏野菜の代表、なすの収穫です。前回も収穫したなすですが、さらに葉が生い茂り、腰の高さほどに成長していました。葉を掻き分け、実ったなすを探しながらの収穫となりました。
続いては、こちらも前回も収穫したバジルです。2週間前と比べ、葉はさらに成長し、花を咲かせていました。摘んでみると、変わらずバジルの爽やかな香りが、辺り一面広がります。収穫する者だけに許されたバジルの豊な香りを嗅ぎながら、おいしい料理に思いをはせると、まだお昼前なのにおなかがすいてきました。
そして、バジルの横には、似たような葉の植物があります。「平田さん、これはバジルではないですか?」「それは藍(あい)の葉です」と平田さん。「あい?」すぐにはピンとこない人もいます。「はい。藍染めに用いる、藍の葉です。たんぱく質によく染まる性質があり、木綿よりも絹の方がよく染まると言われています。そのため、葉をよく揉み、酸素に触れさせると、人間の手指も青く染まります。たんぱく質によく染まることの証です(笑)!」これを聞くとすぐに葉を摘んで指先で揉みはじめる者がおり、確かに青く染まってきました。しかも、時間が経つほどにその青さが濃くなります。藍染職人が減り、藍の栽培も減ったということですが、この農園ではずっと栽培され続けています。
なす、バジルと共に、ピーマン、ひもとうがらし(細長い、ししとうのようなとうがらし)も収穫しました。また、前回はたくさん採れたトマトですが、収穫期を過ぎている今回はほとんど採れませんでした。定期的な収穫作業は、農園の季節ごとの植物の生育状況を知るための貴重な観察機会でもあります。
収穫した夏野菜たちは、前回同様、農園に隣接する辻調理師専門学校 東京へ運び、おいしく調理します。その前に、やはり前回に続き、イネを観察することになりました。こちらも2週間前から明らかに成長していることがわかりました。
農園を後にする前に、今回も収穫物と共にみんなで記念写真を今回もパチリ。さぁ、次は、辻調理師専門学校 東京の校舎へ移動し、白衣に着替えて調理です!
白衣に着替え、手洗いを済ませ、早速調理開始です。本日のメニューはこちら!
参加者からの試食について多かったコメントは、もちろんまずは「おいしかった」ですが、その理由として「食材の味」についてのコメントが数多くありました。これは前回も同様でした。私も同じことを感じています。前回、今回と、調理、試食して、改めて感じたのは食材の力です。その背景には、種や苗の段階から育て、生育環境を知り、収穫し、そして調理し、味わうという、この一連の流れが体験できるくいしんぼうラボの活動があります。食・農・環境の関係性に対する認識を深め、その価値を共有し、高めるための土台となるものだと思います。2年目を迎えたラボの活動、これからもとても楽しみです!次回のレポートもどうぞお楽しみに。本日は皆さん、本当におつかれさまでした!
辻調理師専門学校 迫井千晶
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