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食べきれないのにどんどこ納豆を作り続けるおばさんの話

みてください、この糸!この粘り!24時間の発酵でこの素晴らしさ〜〜〜スプーンですくうときにちょっと力が必要なぐらいの粘りなのです。素晴らし〜〜〜。

アフリカで納豆をつくらせたら私の右に出る人は(そんなには)いないと自負している。だって私みたいに10年以上前から納豆手作りを始めている人が多いとも思えず、まず第一アフリカにそんなに大量の日本人がいるわけでもなく、そしてみんなが納豆をつくってるわけでもないから。(この母集団はたいしたことないというのは有利だ。)

最初の国ではたぶん700食以上つくった。温度だの時間だのパラメターをかえて試行錯誤した記録のエクセルファイルがいまでもどこかにのこっているはず。当時一番難しかったのは納豆菌に似た糸を引かない菌の制御だった。これが入ると納豆のような匂いはするのだが糸を引かなくなってしまう。一度混入してしまい、これは菌を退治せねばと、半泣きの息子を動員して台所中をアルコール消毒したのも(母ちゃんには)いい思い出。

とにかく大量につくって、納豆保存用の冷凍庫すら買ったのだった。こんなに作ってどうするのと言われたがとにかく作り続けて、近所の日本人がもらいにきたりしたので、もうウハウハと得意げにタダで差し上げていたが、流石にもらう方は気が引けたらしく、いろいろもってきてくれた。その国では入手しにくいシーフードとか。一度は日本国大使夫人にもさしあげたのだが、そのときはトンカツをもらった。息子がそのトンカツをたべて「さすが大使、いいもの食べてるな」と感想をもらしてた。その国を去るときに納豆作り器具一式を「納豆の作り方」もつけて全部知人に譲ったのだが、あまりにマニアックな作り方すぎてだれもつくらなかったらしい。

次の国はヨーロッパだったので納豆は手にはいったが、高価だったのでまた作り始めてみた。市販納豆をタネにすると納豆は以前よりも簡単にできたし、菌の制御も雑菌に気をつけるだけでよかった。購入したドイツ製のヨーグルトメーカーにはNattoモードがあっておどろいたが、どんなモードか知ってる人がいたんかいな。ただ、発酵させるとなぜか固めの納豆になってしまい、結局解決方法をみつけられなかった。日本人の友人にさしあげたら、発酵しすぎたものは苦いということを知ったのもこの時だった。

そして今の国。友人からもらったタネ納豆を出発点として、日本から(変圧器が必要だし、第一ここで入手できるから持ってくる必要のなかったのに)持ってきたヨーグルトメーカーをつかって今までで最高のよく粘る固くない納豆ができる。蜂蜜をいれるとさらにやわらくいい納豆ができる。いまは一人なのでさらに食べきれないけど、またつくっている。トフに食べさせるかな。

あああ、すばらし〜〜〜 写真だけでも臭ってきそうだわ。