目標設定の質...マネジメント力の差は?
私たち経営者が心すべき言葉として
「マネジメント力の差は目標設定の良否により決まる」
という言葉があります。
目標設定の質が組織のモチベーションや風土から実質的な経営の結果まですべての部分に影響するということを指しています。
創業から上場を果たしたある企業の幹部から「ベンチャー企業と中小企業とはまったく性格が異なります。その性格を理解してそれぞれに合った指導をしないと成果は出ないと思います」とアドバイスを受けたことがあります。
その違いとは一言で言うと
「ベンチャーは逆算、中小は積上げ」ということでした。
〇 逆算と積上げ
その意味は
現状から積上げ計算して目標(ビジョン)設定するのが中小企業
目的(ミッション)から逆算して目標設定するのがベンチャー
ということです。
つまり中小企業は...
「今年の年商が1億だから来期は〇〇を見直して1.2億、再来期は××をして1.5億円...5年後は年商2億円が目標だ」
という具合に積上げ計算をして5年後のビジョンを作ります。
これに対してベンチャーは...
「今期の年商は1億だがこの事業領域で世界的な企業になるという経営目的(ミッション)から逆算すると5年後には年商50億でまずは株式上場を目指さなければならない、だとすると資金調達や人材採用や育成、組織構築の計画を立てて達成して行こう」
というようにミッションからの逆算でビジョンの設定をするのです。
〇 計画と計算
これを別の切り口から考えると
中小企業は...
現状持っている駒(要素)の活用や積上げにより5年後の事業規模を「計算」します。
これに対してベンチャーは...
現状とはまったく切り離してミッションからの逆算で設定された5年後のあるべき姿(目標・ビジョン)と現状の大きなギャップを埋めて目標達成するための綿密な「計画」を立てて達成に向けて経営サイクル(PDCA)を回していく必要があるのです。
その現状と目標の大きなギャップにこそが課題であると同時に創り出すべき価値なのです。
その視点が経営者の視野を広げ革新や効果的な戦略に繋がるのです。
中小企業に必要なのは「計算」ベンチャーに必要なのは「計画」なのです。
ですから、中期計画立案セミナーにいらしたお客様には
「今日は現状を忘れて夢(ミッション)から逆算した5年後のありたい姿(ビジョン)」を描いてみてください。夢に日付を入れたものがビジョンなのです。そうするとそのビジョンと現状のとてつもなく大きなギャップに驚くかもしれませんが、そのギャップを埋めるためにどうするのかを脳ミソから血が出るほど考えるのが今日のセミナーの目的です」
とお話します。
〇 価値ある目標とは
つまり「価値ある目的(ミッション)が価値ある目標(ビジョン)を創る」
ということに他なりません。
自社のミッションである「経営目的は何か?何をもって社会に貢献するのか?社会における存在意義は何か?」が明確であり社会的な価値があるからこそ、そこから逆算されて設定されるビジョン(目標、あるべき姿)に価値が生まれます。社会的に価値がある目的と目標があるからこそ社員のモチベーションが高まり、達成意欲が上がり、共創意識が向上し、挑戦する社風が出来上がっていくのです。
マネジメントが不得手な社長の特徴は「どうやってやるのか?」という戦術や手法ばかりに目が向き
組織の基盤となる「何のために存在するのか?」という目的意識の希薄さにあるように感じます。
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