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頑張ることは無意味...イノベーションの本質

コロナ禍に翻弄され未来が見えなくなっている今だからこそ...
以前講演をお聴きした一橋大学の楠木建先生の「ストーリーとしての競争戦略」について書きたいと思います。
長年自分の中にあった迷いや疑問が一瞬で吹き飛ばされた最高の講義でした。感謝です。

◯ 戦略とはストーリーである

『 戦略の本質は「違いを創り」それを「繋げる」こと...つまり、戦略は組み合わせではなく因果関係の時間展開であり「静止画」ではなく「ストーリー」なのである 』

優れた戦略はその瞬間や部分の合理性ではなく、時間軸の流れの中でストーリー性を持って統合されたときに、初めて圧倒的な合理性を持つということです。

例えてみれば...「風が吹くと桶屋が儲かる」のように、静止画として時点・時点で見ると不合理で間違っているようにしか見えないのに、因果関係の展開によりその連続する不合理が次第に合理性を持ち、最後には他の追随を許さない合理的結果を生み出すのだと思います。

戦略とは、優れていればいるほど「部分非合理・全体合理」なのです。
部分の分析(アナリシス)ではなく統合(シンセシス)によってのみ戦略が生み出されるのです。

これはとても大切でとても難しいけれど...経営者として、経営者を支えるブーンとして、とても心に刺さる言葉だと思います。
一つ一つの戦略の良否を考えたり評価するのは無意味であって、一連のストーリーの中で生み出される結果にこそ戦略の目的があるということだと思います。

世の中には沢山のスキルやハウツーの情報が溢れ誰もがお手軽に手に入れることができますが、それで成功することはありません。

何故なら、それはストーリーの一場面(静止画)であり戦略の本質ではないからです。

大切なのは「何のために(ミッション)」「何を目指すのか(ビジョン)」であり、それを実現するために因果関係の流れで組み立てられたストーリーこそが戦略なんだと思います。

もう一度、原点に戻って、自分が何のために、どこに行こうとしているのかを問い直して深く思考する時間を持たなければならないと教えられました。

◯ イノベーションとは非連続性を言う!

『 イノベーションとは進歩(同次元の前進)ではなく、非連続性(次元の変化)をいう...だから、頑張ってはならない。頑張ることは「無意味な進歩」を生む 』

講演の中で「SWOT分析は無意味」とのお話がありました。

もちろん、分析が無意味なのではなく、意味ある分析とは非常に難しいという意味だと思います。
私もずっと同じ疑問を持っていたのでSWOT分析を使った経営分析には非常に消極的(慎重)な見方をしてきました。

なぜかと言えば...
静止画的な視点とストーリー的な視点では、その会社の「強み」「弱み」も「機会」や「脅威」も多くの場合相違するものであるからです。
時には真反対ですらあります。社長や私たちサポーターがした安易な静止画的分析は、いわゆる同次元の中での進歩は生み出せても、次元の違うイノベーションを生み出すことはできないのです。
それは、会社の長期戦略に悪影響を与えます。

深い思考なしに、単に「頑張る」ことは同次元の上で無理やり前に進もうとすることに過ぎません。
私たちは頑張る前に深く思考(「何のために(ミッション)」「何を目指すのか(ビジョン)、そのためにどうするのか(戦略)」)し、「自分の次元を変える」こと、つまりイノベーションに挑戦しなければなりません。

そのために必要なのは「スキル」ではなく「センス」である』...
確かに、経営に必要な資質は知識の中ではなく、磨かれたセンスの中にあるのかもしれません。センスを磨かなくてはと思います!

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