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Octupus's Garden

ビートルズが録音した曲の中から、公式発売されたものをアルファベット順に紹介するコーナー。

基本データ
録音:1969年4月26、29、7月17、18日
作曲:リチャード・スターキー
プロデュース:ジョージ・マーティン
収録アルバム:
"Abbey Road""1967-1970""Anthology 3"

演奏
ジョン:エレキギター
ポール:ベース、ピアノ、コーラス
ジョージ:エレキギター、コーラス
リンゴ:ボーカル、ドラムス

リンゴがリード・ボーカルをとる2曲目の「水中ソング」。イントロやソロでギターがフューチャーされるのは、ポップ/ロックによくある構成だが、意外にビートルズでは珍しく、ジョージのギターとアルペジオで弾くジョンのバッキング・ギターが際立っている曲だ。ジョージのギターソロのフィーリングはこの曲を経て、その後'Let It Be'のアルバム・バージョンへと繋がっていくように思われる。

"Abbey Road"50周年記念エディションに、この曲のテイク9が収録されているが、この演奏に入る直前、ポールがロックンロールの基本フレーズを弾いているのが一瞬聴こえる。ロックンロールのフィーリングをこの曲に入れようと思ったのだろう。ベースはバスドラムに合わせたベーシックなプレイに、ポールらしく静と動を組み合わせたもので、要所でのピアノもスパイスとなっている。そして、自分でカウントを出しながら間違えるジョージに大笑いするリンゴ、その雰囲気がいい。

コーラスは裏声のふわっとした感じがジョンを思わせるが、アビイ・ロード・スタジオの記述によると、ポールとジョージだけらしい。"Abbey Road"収録曲に通づる清涼感のあるハーモニーだ。リンゴのボーカルは時にはダブルトラック、時にはポールとジョージが加わりと、洒落た変化が加えられている。

1968年、ホワイト・アルバム制作中にバンドを一時脱退したリンゴが、逃難旅行に行ったサルジニアでタコの話を聞いて思いついた曲である。海の中で地上の喧騒に揺さぶられることなく静かに暮らしたいというテーマが、'Yellow Submarine'のみんなで潜水艦の中で仲良く暮らすというテーマにどこかリンクしている。

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