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Good Times Coming

2016年に発売されたポール・マッカートニーのベスト盤「Pure McCartney」から毎回1曲ずつ紹介する連載。

基本データ

作曲:ポール・マッカートニー
プロデュース:ポール、ヒュー・パジャム
エンジニア:ヒュー・パジャム
発売:1986年9月1日
録音:1985年3〜5月
収録アルバム:「Press To Play」

演奏
ポール: ボーカル、ベース、エレキ・ギター
エリック・スチュワート: エレキ・ギター
ジェリー・マロッタ: ドラムス
カルロス・アロマー: エレキ・ギター
エディ・レイナー: キーボード
ケイト・ロビンス: コーラス
ルビー・ジェイムス: コーラス

3つの夏

ポール「過ぎ去った夏にはノスタルジックな空気が漂っている。この曲は3つの夏を表現している。
1番は、半ズボンでバトリンズ(リゾート施設)に行った子供の頃で、長ズボンにしたかったのに恥ずかしい思いをした。あれはいい夏だった。
2番はもう少し大人っぽくて、ビートルズの歌詞を連想した。『理由はいらない、ただ休めばいいんだ』っていうのは、このアルバムの中で一番好きなセリフだ。この曲でビートルズを思い出したのは、デゾ・ホフマン(ビートルズの専属カメラマン)が撮影した写真があったからだ。僕らが古風なビクトリア朝の水着を着て、ジョンがチャールストンをしている素晴らしい写真だった。
そして3番は、戦争前の素晴らしい夏の話で、戦争がそのグッドタイムな雰囲気を消している。1936年と37だったか、本当に素晴らしい夏が2階あったと聞いた覚えがあるんだけど、ヒトラーはすぐそこまで来ていた。僕は人々が白衣を着てクリケットのゲームをしている姿を想像してた。それが、この曲の最後のどんでん返しなんだ」

凝った人選

ポールとジョンは、1960年にポールのいとこのベット・ロビンスとその夫が経営する「フォックス&ハウンズ」の開店に駆けつけ、ジョンとナーク・ツインズというデュオを結成し、店でお祝いのライブを行った。この曲では、コメディアンとして成功したベットの娘ケイト・ロビンスがコーラスで参加している。
ギターソロを弾いているカルロス・アロマーはデヴィッド・ボウイの盟友であり、ジョンとボウイと「Fame」を共作している。

何が言いたいかというと、ポールの言う「ノスタルジックな夏の思い出」の中に、さりげなくジョンとの思い出が入っているような気がするということだ(こじつけかもしれないけど)。
曲調やサウンドは80年代のゲートリバーブ全開のドンシャリ風で、当時ノスタルジックとはかけ離れていたが、いつもポールの原点は少年時代であり、ジョンとの思い出なのだろう。

ベースプレイ

チョッパーを思わせるようなアタックの強いサウンドと、ミュートしてモゴモゴしたサウンドで打楽器のような効果を得るなど、ポールのベースプレイも未だ進化している。ギターでは、10ccのエリック・スチュワートも活躍している。

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