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映像表現と、その背景を語ること

映画監督 / 映像ディレクターの田村です。はじめまして。今回がnoteの第1回目となります。
この肩書を2つ並べるところから既に、何らか迷いがあるなと、自分事ながら感じました(笑)
このnoteでは、「映像体験を通じた価値」を、みなさんに届け続けていくために、僕が普段考えていることや、やっていることの一端を、自分の言葉でお伝えしていこうと思っています。
お付き合いのほどよろしくお願いします。


プロフィール

田村祥宏(Yasuhiro Tamura)
株式会社イグジットフィルム 代表取締役/NPO法人ブラックスターレーベル代表理事

フィルムディレクター、プロデューサーとして、映画的な演出と、個人としての作家性を大切にしたハイレベルなヴィジュアルストーリーテリングを得意とする。企画/台本/撮影/編集、映像制作の全ての工程に精通し、映画制作・ブランディングや広告・コンテンツマーケティングを中心に、幅広い演出の作品を手掛けている。2023年より特定非営利活動法人 ブラックスターレーベルを主催。ロジックでは解けない解決困難な社会課題に対しオルタナティブな選択を提示すると共に、対話の場作りや課題解決に向けたワークショップ、教育プログラムの開発・提供などを行っている。国内外のアワードを多数受賞。

「言葉を通じて伝える」

第1回目のテーマは「言葉を通じて伝える」です。
 
自分の言葉を通じて自分の考えを表現する。伝える。
——これまで何度も試みてきましたが、いつもやりきれないでいました。
noteもその一つ。
映画の脚本や映像作品のシナリオなら、いくらでもいつまででも書いていられるのに、自分の考えを、ストレートに自分の言葉で伝えるための文章を書くとなると…。
映像のプロフェッショナル、脚本家、を目指してきた自分にとって、言葉だけで考えや想いを綴ることへの違和感。いやそれは言い訳かもしれなくて、僕は映像表現、ノンバーバルの曖昧さに甘えている部分がある。(もちろん映像を作る上ではそれは何ら問題無いのですが)
 
でも、そんな自分が、もっと発信しなければ。いや、発信をしたいと思うようになりました。
制作の手を止めて時間を削ってでも発信力をもっと高めなければ、結局はやりたことができないのだと強く理解しました。

「発信したい」 きっかけとなったのは

きっかけはNHKのドキュメンタリー番組に宮崎駿と庵野秀明という誰しもが知るアニメーション界の巨匠たちが相次いで出演していたことでした。
彼らはすすんで番組に出たがるような人間じゃない。
それを「プロモーションのためですよ」とテレビ番組の取材を受け、自分の言葉や行動を発信していました。
 
これを観て、僕は色んな意味で「いいな」と感じました。
実はこういった日本のドキュメンタリーというのを僕は好きではないのですが、自分の生業と近い方々を観て、面白いなと、それは番組そのものがというより、彼らの日常や考えを知ることで自分の中で彼らの作品が変節していくのが面白いなと感じたのです。
巨匠たちでさえ、従来の考えで言えば作品には関わりが無いはずの、制作の裏側や作り手の人間性を(それが完璧なものである必要は無いし、彼らのドキュメンタリーにもそことは程遠いダメな大人たちが描かれていましたが)伝えることが、今の時代の作品のために必要なことだと感じて行動している。
「時代と共にある」ことがそれほどにまで重要になったということだと突きつけられました。
作品だけで勝負する「硬派な感じ」に憧れていたけど、今はその自分のためのカッコ良さよりも僕が何を思い何を感じて、こういう作品をこういう表現を作っているのか——を伝えることで拡充する作品の価値に注目したい、と感じたのです。
 
前述の2人の巨匠たちの作品も、年齢も関係してか、よりパーソナルなものが増えてきていて、ただの娯楽よりももっと深いところで観るような作品を作られているような気がします。それらを受け止めるためには、現実においての彼らの背景や状況や気分に思いを馳せる、そうすることで、これまた映画の中ではない「現実」に生きている僕ら自身にとっての大きな示唆になる…
「僕の発信を求めている人がいて、それが意味をもたらす——より伝わりやすくなったり、認識や受け取り方にポジティブな違いが出てくる——のであれば、それはいいことじゃないか」と思えるようになったのです。
やってみることにしました。

今後「note」を通して伝えたいこと

そんなわけで、noteを始めてみました。
大したことは書けないかもしれません、大した人間ではないので。。。
でもどうか、何かの学びや気づきになったり、ああ同じようなことで悩んでいるんだと思ってもらったり、その情報と共に観る作品の視聴体験がより深いものに変わったり、などすれば大変に嬉しいです。
頑張るぞ。


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(聞き手:八木橋 パチ)
(構成編集・文:田村 祥宏)