見出し画像

UAEの火星探査ミッション「HOPE」が世界を驚かす!!!!

天候不良により打ち上げ時間が変更になりましたのでお知らせします。
 次の打ち上げ予定は、7月20日午前6時58分です。



(以下、公開時の情報です。)

7月17日午前5時43分 アラブ首長国連邦(UAE)の火星探査機「HOPE」(アル・アマル)が日本のロケット「H-ⅡA」ロケットで打ち上げられます。日本では、あまり馴染みがありません。しかし、科学技術や宇宙開発、国際関係の観点からみると、非常に興味深いミッションです。少しでも多くの方に知っていただきたいです。今回の記事では、ミッションのポイントを3つ紹介します。

画像3

今回のミッションは、UAEのドバイ政府宇宙機関が開発を行いました。ミッション名はアラビア語で「希望」を表す「アル・アマル」とも呼ばれます。日本では「HOPE」という名称で呼ばれることが多いです。打ち上げられた探査機は、UAE建国50周年である2021年2月頃に火星へ到着予定です。

1.火星探査

HOPEミッションは、UAE初の火星ミッションです。しかし、火星への道のりは決して簡単なものではありません。もし、成功すれば、アメリカ、ロシア、ヨーロッパ、インドに続く5番目の火星探査ミッションとなります。また、火星着陸に成功した国に至っては、アメリカだけです。

画像2

概略の説明を少しすると、アメリカのマリナー9号、ロシアのマーズ(マルス)3号が初めての火星軌道投入成功。バイキング1号は世界初の火星着陸成功で、ソジャーナは初の火星ローバー(上図左下)になります。なお、ここに挙げた以外にも非常に多くの探査ミッションがあります。

UAEが火星の軌道投入に成功したら、また一つ歴史を作ったことになります。

火星についてさらに知りたい方↓


2.火星大気を調査

今回UAEの火星探査機「HOPE」が主に調査するのは火星の大気についてです。

画像3

HOPEは世界で初めて火星の大気の全体像を把握します。1年間を通してその様子を観測し、どのように変化していくのかを研究。また火星に存在する大気でより地表にある下層大気と上部にある上層大気の関係も調べます。これは火星から酸素や水素がなくなった原因を解明することにもつながると言われています。

HOPEには3つのタイプの観測機器が搭載されます。他の火星探査機に比べると、機器の数は非常に少ないです。かつて、NASAの火星探査ミッション「MAVEN」(2013年打ち上げ)でも同じように火星の大気を詳細に観測しました。ただしMAVENでは上層大気を調べることしかできませんでした。そこで、HOPEではMAVENができなかった部分を調べることになりました。これにより、NASAとのデータを合わせて、新たな発見を得ることが期待されています。つまり、初めて上層大気と下層大気のデータが分かり、火星における大気の全体像の解明が期待されます

画像4

(MAVEN credit:NASA)

3.H-ⅡA

日本誇る主力ロケットH-ⅡA。これまで41回打ち上げを行なってきましたが、実は火星へ探査機を送るのは初めてです。そして、海外から打ち上げを委託され行なった4回目の打ち上げです。日本のロケットは、地球を周回する人工衛星を多く打ち上げています。地球を周回しない衛星・探査機はわずかしかありません。

・月周回衛星「かぐや」(13号機)
・金星探査機「あかつき」(17号機)
・小惑星探査機「はやぶさ 2」(26号機)

しかし、非常に高い成功率により国際的な信頼も得ています。今後は、さらに重要なミッションを海外から受ける日も近いのではないでしょうか。

ちなみに、日本とUAEは宇宙分野において協定を結んでいます。今後も日本の地からUAEの人工衛星を打ち上げる日が来ると思います。

(2016年に契約を結んでいる)

4.火星基地

驚くなかれ。UAEは2117年までに60万人規模の火星基地を作ることを目標にしています!!!!!今回のHOPEで得られた観測結果も利用されるようです。なかなか驚き。。。ちなみにUAEの宇宙予算は日本の3倍です。



今年はますます火星が面白くなっていきます。UAEのみならず、アメリカと中国も火星探査機を打ち上げの予定です。

ぜひ、少し早起きをして打ち上げを応援しましょう!!

<参考サイト・写真>

https://www.emiratesmarsmission.ae

<追記 2020 7 20>

HOPEは無事に種子島宇宙センターから打ち上がりました。詳細な情報については、以下の記事も分かりやすいと思います。

https://news.mynavi.jp/article/20200720-1164264/









この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?