あなたは1ヶ月に何冊の本を読みますか?
文化庁が平成30年度に全国16歳以上の男女に調査データによると、
1ヶ月間に全く本を読まない人は約半分、2冊までしか読まない人を足すと80%以上という結果になりました。
予想はしていたものの、本好きの僕にとっては本当ですか?と言いたくなるデータです。
これは大半の人が、そもそも本を読む習慣も無ければ、本屋さんへ足を運ぶことすら無いということでしょう。
別に僕は読書の冊数を誇ることが良しとはしません。
何を読むかにもよるし、それが自分にどう影響を与えたかにもよります。
たった一つの文章が何かのきっかけになることもあります。
マンガも大好きな僕ですが、ここでは活字が主体の本に限定して話を進めたいと思います。
ちなみに僕の平均読書量は週で1・2冊。1ヶ月で10冊以内というところでしょうか。読書好きな方から見れば、決して多い方ではありません。
ただ、これは正確な数字ではありません。
というのも、僕はいろんな本にしょっちゅう浮気しますし、空いた時間に読みたいものを読むので、一冊の本を最後まで読み切ることを既読とするならば、月に数冊という時もあります。
しかし、本を読まないという日はありません。
今の時代、日常生活の中で文字や情報に触れない人はいないでしょう。ネットや友人とのLINE、使い慣れたSNSなど、現代人は昔の人よりもとんでもない量の文字を目にしています。
現代人が目にしている文字の量は、義務教育を受けていない時代や通信網が発達していない時代の人と比べると、人ひとりの一生分どころか何万人分にも匹敵することでしょう。
それでも、僕は本の中で文字に触れます。
なぜなら、ネットで触れる文字には無い魅力が本にはあるからです。もちろん、ネットの中にも有益な情報や素敵な文字は飛び交っています。
ただ、本にはより美しい言葉や深みのある言葉がたくさん含まれていると実感しています。
本を出すには、たくさんの人のチェックが入ります。最近では電子書籍で個人が簡単に出版できるようになりましたが、作家経験のある方ならともかく、素人が出す本と違って、プロが書いた本には校閲があります。
人は「言葉」で思考します。芸術作品に触れて言葉にできないものを感じるということはあるでしょうが、誰かに何かを「言葉」で伝えようとする時は、「言葉」で考えざるを得ません。
試しにこれを見て下さい。
人によって浮かび上がる言葉は違うでしょうが、意味のないひらがなの羅列に意味を与えてしまうのが人間です。
文章には論理構成も大切ですが、そこで使われる言葉があまりにも稚拙であると説得力も生まれません。
いたずらに難しい言葉や回りくどい文章を僕はあまり好みません。読み手に思考させるためにあえてそうしている場合もあるでしょうが、読みやすい文章が僕は好きです。
しかし、使われている言葉には書き手の品性や思考が表れます。
自分の中の辞書を書き換えるのに一番有効なのは読書であると僕は思います。知っている言葉が多ければ多いほど、表現力も豊かになります。
また、素敵な言葉に触れると自分の中の言葉も置き換わり、ひいては考え方も変わります。
僕は大きく二つに分けて読書をしています。
読書を二種類に分ける
一つは、箸休めとなる読書。
これは、毎日ちょっとだけ読む本です。たとえば、誰かの名言集や禅語、古典、エッセイなど、いつ読んでもいいし、すぐにやめられる本です。
美しい言葉、明るい言葉、励ましてくれる言葉、癒してくれる言葉、自分にはない発送。
そういう本を好んですぐに手に取れるように、たくさん机に積んだり、スマホに入れています。
どれも短い文章なので、例えばホームで電車を待っている時、お昼ご飯を食べながら時間も場所も選ばず読めます。
ところで、発送じゃなくて発想でしょ?と心がそわそわしている人は、読書に向いていると思います。
特に心がざわつかなかった人はきっとネットで氾濫している多くの誤字も気にならないでしょう。意外を以外と書いてあると、もうそれだけで、僕はげんなりとしてしまいます。
ああ、この人は言葉に対して特に考えたりはしないんだな。
もしかしたら読書習慣が無いのかな?と思ってしまいます。
言葉に敏感でないということは、語彙量が少ないし、思考も狭いと考えてしまいます。使われている言葉が平易でも感性が素敵な文章は確かにあります。でも、そういう才能あふれた文章はネットではあまり見かけません。
ちなみに僕の文章も平易な言葉ばかりですが、これはあえてですよ(笑)
僕が本屋さんを選ぶ理由
さて、もう一つの読書は?と言えば、
それは今読みたい本を読むということです。
先ほどの読書はあくまで息抜き。運動で言えば準備体操みたいなものです。
文字に親しむには多くの文章に触れることが一番です。そのために少しでも自分に役に立ちそうな言葉に触れるのが軽めの読書。
一方で、こちらの読書は重い読書です。実用書や小説などジャンルも様々。
普段本屋さんへ通い、できるだけ多くの本棚を歩き回って、ベストセラーや面白そうなタイトルの本を次々に手に取っていきます。
これはネットで電子書籍を買う行為では代用できません。
いずれVRの眼鏡でもかけて、AR技術であたかも本物の本を本棚から取り出せるような時代が来ると思いますが、いろんな本に出会うには今のところ本棚巡りが一番だと思っています。
電子書籍は購入する物が決まっている場合には便利です。検索すればすぐに該当書籍が出て来ますし、わざわざ本屋さんに行かなくても簡単に24時間いつでもダウンロードして読み始めることができます。
しかし、検索結果には基本的に関連本しか表示されません。全くかけ離れた本や売れていない本はまず現れません。
この点において本屋さんは間違いなくいろんな本が目に飛び込んできます。
では、古本屋さんはどうでしょう?
確かに多くの本に触れるという点ではネットで本を探すよりも利点があります。何より安いですよね。
しかし、本屋巡りの一つとして通うのならともかく、メインの本屋さんとして使うのはお勧めしません。というのも、そこに並んでいるのは、誰かが買った本であり、多くはベストセラーと呼ばれる本です。
もしも読んだ人にとって本当にいい本なら売らないと思います。もちろん、たまたま合わなかったという場合はあるでしょう。でもいい本なら本棚に置いておきたいはずです。
また、僕のように本にいろんな書き込みをしている場合は、買い取ってもらうことはできません。
そもそも売る前提で本を読むということは、汚さずにページをめくろうとして、内容から何かを得ようという意識が薄くなるのではないでしょうか?
それではただの流行本を読み流すだけの作業に過ぎません。
高価な買取本の多くはベストセラーであり、古本屋さんには似たようなタイトルの本が何冊も並んでいるのが普通です。必然的に出会う本は限定されます。
だから僕はあまり古本屋さんには行きません。
では、図書館はどうでしょう?たくさんの本が並んでいますし、読みたい本をリクエストすることもできます。
元々、僕は学生時代は図書館が大好きでした。もちろん今でも好きではあります。僕の大学は私立だったので、とても大きな図書館があり、教室よりも図書館にいる方が多かったほどです(いいのかそれ)
しかし、社会人になってからは利用することがなくなってしまいました。
一番の問題は、時間です。
図書館を利用するとなると、ゆっくりしたいこともあって休日に利用することになりますが、休日は家で読書したい僕にとっては向いていません。
次に、読みたい本がすぐには読めません。たまたま読みたい本がある時もありますが、人気の高い本はリクエストしても順番待ちということもよくあります。
そして何より一番大きな問題が、返さなければいけないということです。
借りてるのだから当たり前だろ!って話ですが、返すということは、期限に縛られて読まなければいけないという義務感が発生します。
さらに公共の本には書き込みができません。
自分の本なら気兼ねなく書き込むことができるし、誰かに見られることもありません。
読書好きな方なら分かって頂けると思うのですが、本は本を呼びます。
大抵の本には参考文献や引用された文章があります。
多くの本を読んでいると、あれ?これって他の本に書いていたな?とか、全く関係ない本の一節がふと頭に浮かんだりするものです。
学生時代は、本は神聖なものと思っていたので書き込みをするのには抵抗がありましたが、一度書き込みを始めるとキレイなままで読んでいる本は読んだ気がしなくなりました。
電子書籍でもメモ機能やマーカーを引く機能がありますが、紙の本に書き込むとまるで自分専用のノートになったような気がして愛着がわきます。
以前は大事なところに線を引く程度でしたが、今はその時思いついたことや、その文章のキーワードとなるようなことを余白に書き込んでいます。
これは、僕がnoteや音声配信などで本を紹介するアウトプットを前提として読書をするようになってから習慣となりました。
本を読み終えて、この本はいいなと思ったら誰かに紹介したいという気持ちになります。
その時は、もう一度読み返して、どの部分をどういう風に紹介するかを考えることになります。
一冊の本を紹介する時は、大抵最後まで読み切ることになりますが、全体を振り返ると、冒頭で書かれていたことが、後で伏線となっていたり、より分かりやすく言い換えられていたりすることがあります。
あるいは、重複として省いてもいいなという部分もあります。その中から抜粋し、自分の言葉で表現すると、本の内容が一読した時よりも鮮明に記憶に残ります。
書き込みがある部分は、自分にとって印象深い箇所ですから重点的に読むと内容も理解しやすくなり、その積み重ねが読書をより楽しいものに変えてくれるのです。
あなたはなぜ読書が続かないのか?
読書が苦痛だと思う人は、おそらく面白い本に出会った経験が極めて少ないのではないでしょうか?
面白くない本に何冊も出会うと本はつまらないものというイメージがつきます。
つまらなければ、別の本を読めばいいだけなのですが、では何の本を読めばいいか?となると読書経験が少ないは、他の人の意見を参考にするしかありません。
冒頭のデータが示しているように読書をしている人は極めて少ないので周りにはいないでしょう。また、月に2冊くらいしか読まない人が選んでいる本はベストセラーに限られるはずです。
そして、多くの人が勧める本もまたベストセラーになりやすいです。
もちろん、多くの人が選ぶ名作や古典となる本は読む価値の高い本であることは否定しません。
本屋さんに行けば、目立つ場所に平積みされているのもこういった本です。
しかし、読書が好きな人は自分が読みたい本をーより正確に言えば、自分に合いそうな本を選んで読みます。
好きな作家の本や興味のある本を手に取り、値段ではなく、少し立ち読みして、自分に合いそうかを判断してレジに持って行きます。
みなさんも自分が詳しい物だったら、誰かの意見は参考程度にして経験則で選ぶのではないでしょうか?
その結果として、自分に合ったものに出会う確率が上がります。
ところで僕は、本に出会う時は「出合う」とは表現しません。
なぜなら、本とは著者との対話だと思っているからです。
本には書いた人がいます。当たり前ですね。
本はその人の思考が言葉で表現されたものです。読書をしている時の僕は心の中で会話をしています。
へー、そういう風に考えるんですか。
えっ?そんな事実があるの?
うわっ、その経験はしたことがないな。
なんだろ?その考え方やめてもらってもいいですか?
とにかく一方的に自分の感想や意見を本にぶつけます。
あ〜この人、合わないなと思ったら、そこで本を閉じます(それはあなたの感想ですよね?)
でも、そういう本がある時に突然頭の中で響く時もあるから読書は面白い。
その時の自分には分からなかったけど、今なら分かるなという時もあります。
そうやって、あらゆる本が自分の中で循環し、この本最高!と思ったら本棚の目立つところに並びます。
これは絶対また読みたくなるな、とか。
もしこのテーマで悩んだ時は、参考になりそうだからとりあえず持っておこう、とか。
そんな感じで本がどんどん増えていきます。
だから、僕には読みたい本が無いということはありません。僕の部屋にはいつか読むかもしれないという本がそこらじゅうにあり、それが読まれないまま何年もあったりします。
なぜそんなことができるのか?と言えば、自分のお金で買った本だからです。これは図書館の本では無理な話です。また自分の本だからこそ、いつか読まなければもったいないという気持ちもわきます。
特に高価な本は何か学ばなければ損した気になります。一概には言えませんが、高い本で、しかも自分が選んだ本からは、ほぼ間違いなく何らかの気づきを得ることができます。
本棚の目につく場所にある本は、いわゆる一軍です。それはそのまま自分が関心のあるものになります。
興味はどんどん変わっていくので、定期的に本棚の整理をしていると、そう言えばこの本買ってたんだ〜という本に出会うことがあります。
ミニマリストに憧れる僕ですが、そういう意味で本棚のミニマリストになるには時代が僕に追いついていません(言い方)
電子書籍と紙の本
電子書籍ももちろん持っているのですが、僕は同じ本を紙の本として持っていることもわりとあります。
電子書籍は場所を選びません。
これには二つの意味があります。
読む場所と保管する場所です。
電子書籍で気になる本がある時は、とりあえずサンプルをダウンロードしておきます。無料ですし、データも軽いのでストレージも気になりません。そもそも文字のデータは動画に比べて圧倒的に少ないので、スマホやタブレットにすぐに入れておけます。
保存したタイトルは電子書籍を読む時に目にするので、読みたくなったらサンプルを読んでみて、これは良さそうだなと思ったら購入します。
本屋さんに行くこともしばしば。本には質感があります。装丁や文字サイズ、紙質など五感に訴えてくるものも購入動機につながります。
価格はもちろん気になりますが、それよりも第一印象が大事です。
そして、気に入った紙の本を買います。僕は基本的には紙の本を選ぶ方です。書き込みがしやすいというのもありますが、本棚に並ぶというのが一番の理由です。
カードゲームが好きな人なら分かると思うのですが、自分が構築したデッキはコレクション要素もさることながら、手札として愛着がわき、触れているだけで心地いいものです。本棚の本はまさにそれ。
電子書籍でも同じことはできるのですが、データになっていると読まない本はどんどんリストの下の方に行って、目に入る機会が減ります。設定しだいかもしれませんが、手触りも含めて紙の本の方が僕には魅力的です。
ただ、分厚い本は持ち運びに不便です。特に通勤中の電車の中ではなかなか広げにくいものです。つり革につかまりながら読むには重いというのもあります。
その点、電子書籍なら簡単に文字サイズも変えられます。明るさや字体も好みのものに変えられます。
しかし、電子書籍を買った上で、同じタイトルの紙の本を買う場合もあります。持っておきたいというのが一番の理由ですが、別の理由としては書かれた人に利益を還元したいからです。古本屋さんや図書館はこの点で劣ります。
こんな素敵な本を書いてくれてありがとう、という感謝の気持ちです。
実際、感銘を受けた本には定価の何倍も払ってもいいとさえ思いますし、そういう本が古本屋さんに並んでいるのを見ると悲しい気持ちになります。
残念ながら電子書籍は同一アカウントで一冊しか買えませんが、だからと言って紙の本を何冊も持つには保管場所に限界があります。
そこで両方買うという選択肢を取ることが僕にはあります。
自分にとっていい本は、また読みたくなる率が高いですし、電子書籍ならすぐに取り出せて、マーカーをつけておくと読み返すポイントが分かりやすいです。
一方、紙の本には自分の書き込みが残っているので、世界に一冊だけの本としての価値があります。
読書の価値とは?
気がつけば6000文字を超えました。
軽い気持ちで始めたのに、こんなに書くことがあるのかと自分でも驚いています。
ここまでお付き合い頂きありがとうございました。あなたはきっと文章を読むのが好きな方だと思います。
最後に、自分にとって読書の価値とは何かということを書いて終わりにしたいと思います。
読書の価値とは冊数では決してありません。
僕は読書量を誇る人よりも、どんな本を紹介してくれるのかに興味があります。
たとえ誰もが知っている本であっても、その人がどの部分に興味を持ったのかで紹介されている本を読みたくなります。
大きな本屋さんに足を運んだ時、僕はめまいに似た感覚をおぼえます。
ああ、僕はここにある本を一生読み終えることはないんだなぁ、と。
星の数ほどある本の中で僕が目にする本はたかだか知れています。
あらゆる人の思考が閉じ込められているのが本です。ひとたびページをめくれば、無限とも思える世界が広がります。
文字を紡ぎ出す人間にしか楽しめないのが読書です。
読書をしてもハラペコは満たされませんが、心の糧になった本は人生をも変える大きな力を持っています。
胸を貫くような言葉に出会うために本を手に取るのかもしれません。
あなたの辞書にはどんな言葉がありますか?
スキはログインしていなくても押せます!ワンちゃんでも押せるほど簡単です。励みになりますので、ここまで読んでくれた記念に押して下さい。いくつになっても勉強は楽しいものですね。サポート頂いたお金は本に使いますが、読んでもらっただけでも十分です。ありがとうございました。