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音楽との距離が広がる時代 ロスジェネ氷河期世代が見つめ直す「新しいものへの興味」


若い頃、私たちロスジェネ氷河期世代にとって音楽は欠かせない存在だった。通勤・通学時には、ウォークマンやCDウォークマン、MD、そしてMP3プレイヤーといったデバイスを駆使して、常に耳に音楽を流しながら過ごしていた。しかし、ここ10年ほど、ふと気づくと、ほとんど音楽を聴かなくなってしまった。新しいアーティストや曲にも疎くなり、「今どきの曲ってどうなんだ?」とさえ思うようになってしまった。これは単に生活環境が変わったからだろうか?それとも、加齢によるものなのだろうか?

音楽と生活の変化

まず、この10年間、私たちの生活は大きく変わった。技術の進化とともに、スマホ一つで音楽はもちろん、映像やニュース、SNSといった様々なメディアが楽しめるようになった。音楽だけを聴くためのデバイスを持ち歩く必要がなくなり、自然と音楽そのものとの付き合い方も変わった。通勤中にはポッドキャストやYouTubeを見たり、ニュースをチェックしたり、あらゆるコンテンツにアクセスできる。結果的に、音楽に割く時間が減ったのかもしれない。

しかし、それだけでは説明がつかない部分がある。確かにライフスタイルは変わったが、それに伴い音楽への興味そのものも減ってしまったことが問題だ。新しい曲やアーティストに対して、かつて感じていたワクワク感がなくなり、次々と登場するヒット曲にもほとんど触れることがなくなった。

「新しいものへの興味」を失うことの恐怖

ここで立ち止まって考えたいのは、「新しいものへの興味」を失うことへの恐怖だ。音楽に限らず、年齢を重ねるごとに、新しい体験や未知の領域に対して消極的になることがある。それは自然な現象かもしれない。若い頃は何もかもが新鮮で、音楽に限らずあらゆるものに飛びついていた。新しいデバイスや技術、文化が出現するたびに、それを試してみたいという好奇心が強かった。しかし、年を重ねるにつれて、そういった好奇心が薄れ、昔馴染みのものに安定を感じるようになる。

「若い頃に聴いていた音楽が一番だ」と感じるのは、多くの人に共通する感覚だろう。懐かしさや感動、思い出が結びついているからだ。しかし、その感覚にとどまってしまうと、新しいものを受け入れる力が徐々に衰えてしまうのではないかという懸念がある。加齢による変化に抵抗せず、受け入れるのも一つの道だが、「新しいものに対して興味を持ち続けること」は、人生を豊かにするために必要なことではないだろうか。

「聴かない」理由を見つめ直す

実際のところ、私たちが音楽を聴かなくなったのは、単に「興味を失ったから」だけではないかもしれない。生活の中での音楽の役割が変わり、音楽そのものが一種の「背景音」となりつつある。特にストリーミングサービスの普及により、音楽は手軽に聴けるものとなったが、その結果として「音楽をじっくりと聴く時間」が減ってしまったとも言える。かつてはアルバム全体を通して聴き、その世界観に浸ることが一つの楽しみだったが、今ではプレイリストやシングルヒットの断片的な音楽体験が主流になっている。

また、環境の変化や日常の忙しさも、音楽を聴かない理由の一つかもしれない。生活リズムや仕事のプレッシャーが、リラックスして音楽を楽しむ余裕を奪っているのかもしれない。

新しい音楽との再会 新しい体験を探求する

それでも、私たちロスジェネ氷河期世代は、新しいものに対する興味を失わないことが重要だ。音楽は、その一つの象徴だろう。新しい曲やアーティストに対して興味を持ち続けることは、単に音楽を楽しむだけでなく、自分自身の感性を磨き、新しい視点を持つきっかけにもなる。

たとえば、ストリーミングサービスのアルゴリズムを利用して、今まで聴いたことのないジャンルやアーティストを探すのも一つの方法だ。意外な発見や、自分の知らなかった音楽的な嗜好に気づくこともあるだろう。さらに、若い世代との交流を通じて、彼らが楽しんでいる音楽に触れることで、新しい感覚を取り戻すこともできるかもしれない。

音楽との新しい付き合い方

音楽を聴かなくなった背景には、私たち自身の加齢による変化だけでなく、時代や生活環境の変化もある。しかし、だからこそ、音楽という「新しいもの」への興味を失わないことが、私たちの感性や人生を豊かにするために重要だと感じる。新しいものに対して心を開き続けることは、人生のどのステージでも私たちを前進させてくれるはずだ。

音楽との距離が広がっていることに気づいた今、それを単なる「過去のもの」として片付けるのではなく、今一度新しい音楽との再会を試みてみよう。そうすることで、私たちの生活にはまた新たな彩りが加わるかもしれない。

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