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中小企業の経理は、社長にわかりやすく丁寧に資金繰りの説明をしなければならない

中小企業の経理の責任者としてオレが最も大事だと思っていることは、会社の金をなくさないことだ。

当たり前だが、金がなくなれば、会社は倒産する。
それを避けるのが、経理責任者としての最重要事項である。

そのためにどうするか?
わかりやすい資金繰り表を作り、社長に丁寧に説明しなければならない。

社長が金の流れを知っていなければならない

社長に説明しなければならないのは、社長が最も会社の金をコントロールできるからだ。

中小企業で銀行から金を借りようと思ったら、まず間違いなく社長の決済が必要になる。
そのためにまず、社長に金を借りる必要性を理解してもらわなければならない。

また、ムダな経費を使っていることも、社長に知ってもらわなければならない。

中小企業での社長の権力は絶大だ。
「そんなものは買うな!」「もっと安くしてもらえ!」と一言言ってもらえれば、一瞬でムダな経費を削ることができる。

ということで、まずは社長に資金繰り表を見せて、現状と今後の金の流れを知ってもらわなければならない。

詳細でわかりやすい資金繰り表を作るべし

説明するには、金の流れがわかる資料が必要だ。

おそらく、たいていの会計ソフトでは自動で「キャッシュフロー計算書」が出せるだろうけど、あれはダメだ。

なぜなら、わかりにくい。
専門家であるオレでも、よく見ないとわからないぐらいなので、経理に疎い社長ではもっとわからないだろう。

必要なのは「資金繰り表」だ。

資金繰り表に決まったフォーマットはない。
だから、経理の素人である社長が見てもわかりやすく、かつ詳しい資金繰り表を作るのだ。

具体的には、入金、出金すべてを入れる。
売上は得意先ごとに、人件費は給与、賞与、社会保険料といった具合にわけて入れる。

中小企業では、入金、出金すべて合わせたって、大した数はないだろう。
もう全部入れるぐらいでいい。

そして、この先の数字も入れておく。
過去一年ぐらいの資金繰り表を月ごとに作れば、ある程度予想できるだろう。

ちなみに、先の数字は厳しめに入れるのがポイントだ。
とにかく、金がなくなるとアウトなので、見通しは辛めにしておいたほうが無難だ。

社長にやってほしいことをまとめた上で説明する

資金繰り表ができたら、あとは社長に説明するのだが、その前にやることがある。
やってほしいことをまとめておくのだ。

丁寧に資金繰り表を作っていく中で、「あ、このタイミングで金がなくなる!」とか、「この経費はムダじゃないか?」というものが出てくるだろう。
それをメモか何かした上で、社長に説明するのだ。

そして、資金繰り表についてざっくり説明しながら、「この調子だと、〇月に資金が厳しくなるので、△月には銀行と交渉を始めたいですね」とか、「この経費ってムダじゃないですか?」とちょいちょい持論を挟んでいくのだ。

ここまでやれば、社長も割と狙い通りに動いてくれるはずだ。

…いやそれだけではないな。
オレの経験上、わかりやすい資金繰り表を作り、丁寧に説明すれば、その後は社長が自主的に考えて動いてくれるようになる。
「そろそろ金がなくなるんじゃないか?」とか、「あれはムダだな」と、いうなれば経理的に考えてくれるようになる。

そこまでできると、なんともうれしい。
経理の醍醐味的なやつだ。

とにかく、中小企業の経理にとって、わかりやすく詳細な資金繰り表を作り社長に説明するのは非常に重要な仕事なので、時間をかけてでも、たとえそういう習慣がなくても、行ってほしい。


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