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【活動報告書10】ACTUAL主催中間発表会:注文住宅窓からの風景をシミュレーション

ACTUAL主催で、指定企画「360度メディアを活用して、半年間で新しい仕事を生み出せるのか?」の中間発表会が、9月20日に開催されました。

筆者は、チームでのプロジェクトと個人でのプロジェクト2本を同時並行で進めています。
【活動報告書10】では、個人で進めているプロジェクトである「注文住宅窓からの風景をシミュレーション」について、中間発表会での発表内容を報告します。


1.中間発表会の趣旨

上記説明書には、
「9月:中間発表会(オンラインもしくはオフライン)
各チームで制作した成果を発表いただき、それに対するフィードバックを行います。
実際に制作に取り組んだ経験をもとに、気づきや新たなアイディア等を共有し合い、後半の取り組みに反映していきます。」
と記されています。

他の参加者のプロジェクト内容や進捗具合などを確認できる良い機会であると思い、早々に参加表明をしました。

なお、これまでの活動内容につきましては、【活動報告書09】をご覧ください。

2.発表内容:目的・効果・条件

中間発表会にて説明用に使用したスライドを下記にします。
画像をクリックしますと、次の画面に移行します。

Δ中間発表説明用スライド

2-1.プロジェクトの目的

注文住宅を依頼する建築主の要望は、多種多様です。

  • 外観、内観などの見栄え

  • 耐震性、耐火性、耐水性、気密性などの住宅性能

  • 生活動線などの居住性

  • 価格などの経済性

など、こだわる点は様々です。

最近では、窓からの風景を事前に確認したいという建築主も、一部ではありますが現れるようになりました。
そこで、360度カメラで撮影した静止画を背景にして窓からの風景を事前に確認できるか否かを検証することとなりました。

2-2.検証が上手くいったときの効果

検証が上手くいきますと、次に挙げる効果が期待できます。

  • 注文住宅などの建築主に対して、事前に窓からの風景をシミュレーション可能であると謡うことができる。

  • 工務店や設計事務所から、窓からの風景のシミュレーション依頼が入る。

  • 逆に風景を考慮した建築設計依頼が入る。

2-3.建築主の基本的な依頼内容

今回の建築主は、取引をしている工務店からの紹介です。
建築主の基本的な依頼内容をまとめますと、

  • 家族は、建築主夫婦、建築主の両親、子供2人の計6人

  • 玄関だけを共有し、LDKや寝室、水回りなどは別々に設ける「一部共有型二世帯住宅」を要望

  • 1階は両親夫婦の居住スペース、2階は建築主夫婦と子供の居住スペース

となります。

2-4.建築主両親の要望

特に建築主の両親の要望が、「1階LDK窓、1階寝室窓からの風景を事前に確認したい!」というものでした。
要は、隣家の玄関ドアや窓と、どの程度向き合うか否か?を非常に気にされていました。

そのような経緯があり、工務店から相談が入ったという次第です。

筆者は、建築の3DCG制作ソフトとして、メガソフト社製の「3D ARCHI DESIGNER」を使用しています。

3DCGの背景に360度カメラの静止画を貼ることができる機能があります。
どの程度対応できるものかを確認したいという思いもあり、工務店からの依頼を引き受けることにしました。

2-5.建築計画(1・2階間取)

1階配置図・間取図と2階間取図です。

Δ図1.1階配置図・間取図、2階間取図

2-6.計画地・注文住宅の3DCG

計画地、注文住宅の3DCGです。

Δ図2.計画地・注文住宅の3DCG

3.発表内容:WHERENESSにて表現

  • 360度カメラで撮影した写真

  • 作成した3DCG

などをWHERENESSに掲載し、建築主、建築主両親に閲覧してもらうことにしました。

なお、WHERENESSによるコンテンツは下記をご覧ください。

3-1.現地写真

計画地を360度カメラで撮影した静止画です。

Δ図3.計画地現況写真

3-2.3DCG

計画地、注文住宅の3DCGです。

Δ図4.計画地3DCG

使用しているアプリは、室内でのパノラマ作成を想定していますので、屋外のパノラマを作成しますと空が直方体になって表現されます。
ここが、このアプリの弱点ではあります。

3-3.1階LDK、寝室

建築主の両親が懸念されている1階LDK、寝室の窓から見える風景をシミュレーションしたものです。

Δ図5.窓から見える風景をシミュレーション

3-4.1階LDKの掃き出し窓、出窓

特に、建築主の両親が日常最も長く過ごすであろう1階LDKの窓からの風景を気にされていましたので、

  • 掃き出し窓(人が出入り可能な窓(サッシ))

  • 出窓

から見える風景をシミュレーションしました。

Δ図6.1階LDK窓からのシミュレーション

この絵を建築主の両親夫婦に見ていただきましたところ、「これならば問題なさそうだ!」と、安堵していただきました。

4.まとめ

この実験をやっていくうちに、様々な課題・問題点が見えてきました。

一番注意が必要なのは、360度カメラの設置位置です。
水平方向・垂直方向の両方ともに正確な位置の設置が求められます。
そうしなければ、窓からの見え方が全然違うものになってしまうことがわかりました。

詳細は時間の都合上、省きます。
以上で説明は終わりです。
ご清聴ありがとうございました。

5.質疑応答

2つほど質問が出ましたので、発表会でお答えしたものに付加しながら説明します。

5-1.作業時間はいかほどか?

現場での作業は約1日です。

先ず、シミュレーションしたい窓の正確な位置を、計画地に示す必要があります。
建築用語ですが、いわゆる「地縄張り」をして間取りを現地に示し、窓の正確な位置を地面に示す必要があります。

これで平面的な360度カメラの設置位置が決まります。
住宅規模にもよりますが、これだけの現場作業で半日を要します。

次に階数によっても異なります。
各階の窓から見える風景をシミュレーションしたい場合、住宅の階高によっても異なります。
360度カメラを

  • 1階の窓の場合:約2mの高さに設置

  • 2階の窓の場合:約5mの高さに設置

  • 3階の窓の場合:約8mの高さに設置

する必要があります。
2~3階の窓からの風景をシミュレーションしたい場合、5m~8mの高さの3脚が必要になります。
シミュレーションしたい窓の数にもよりますが、垂直の位置決め・撮影で約半日を要します。
1階のみであれば短時間で済みます。

したがって、現場における360度カメラの水平方向・垂直方向の位置決め・撮影だけで約1日を要します。

5-2.プロジェクトは今後、どのように進むか?

今後、窓からの風景をシミュレーションしたい新たな建築主が現れるかどうかは不明です。

しかし、上記で説明した建築主が、建築計画の変更を考えているとのことです。
その場合、間取り変更をした後に再度シミュレーションを行うことになります。

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7.筆者プロフィール

8.有限会社エクセイト研究所


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