医療界DXとか集約化とかの雑感
異業界の人と話すと、医療界もはやくDX進めてよとよく怒られます。
まだまだ電話でしか受診予約できなかったり、その上電話がつながらなかったりする施設もありますし、まあ気持ちはわかります。
江草はDXとかには素人なんですが、分不相応にも勝手に医療界でDXが進まない理由を考えてみますと、
利用者の多くが高齢のためデジタル派ではない
医療界上層部の多くが高齢のためデジタル派でない
人をまるごと対象にする業務であるがゆえにデジタルに落とし込むには複雑怪奇すぎる
長い歴史があるために施設のローカルルールや過去の記録が大量にある
社会も医療にお金をかけたがってないのでデジタルにする金銭的インセンティブも弱い
あたりでしょうか。
正直、厳しい。
とくに地味にきついなと思うのが「ローカルルール」のところです。
デジタルのシステムは共通のプラットフォームを多くの人が使うことで、コストパフォーマンスを上げるのがコツのはず。
しかし、ローカルルールに対応するために個々の施設でそれぞれ独自のシステムを作るとそれだけ個々で開発の労力や時間、お金が必要になり、割に合わなくなるんですよね。
だからといって、全国的なローカルルールの統一、標準化、共通規格化から始めようとすると、前途多難すぎて、DXが十分に達成できるのが来世紀ぐらいになりかねません。
そういう意味で言えば、働き方改革も控え、ホットなトピックである「病院の集約化」も、ハード面の集約化ばかりが注目されがちですけれど、それ以上にソフト面の集約化が極めて難しそうに思うのですよね。
病院を単純にガッチャンコして、両病院のスタッフを押し込めば集約化が済むわけでは当然なく、内部のローカルルールをどうまとめるのかという激ヤバ案件が発生するわけです。
同じフロアの隣の病棟ですら文化が違うレベルの世界でどうやってルールを統一できるのでしょうか。しかもそれぞれの長の名誉とプライドにかける想いも尋常じゃない中で。
うまく集約できて、せいぜい「みずほ銀行」ぐらいの過酷な歴史を歩むことになるんじゃないでしょうか。心配です。
少なくとも働き方改革の2024年問題に集約化が間に合うようには到底思えないのですが、どうなっちゃうんでしょうね。
江草個人的には、(政治的な問題から実現はしないでしょうけど)、もういっそ集約化とか諦めて、どんどん新しい病院を作って、(大学病院だろうとなんだろうと)どんどん古い病院をただ閉院させていく、新陳代謝形式の方が良かったんじゃないかとつい思っちゃう瞬間もあるのですけど、だいぶ過激派なのかもしれません。
とにもかくにも、そんなわけで今後も異業種の方々から「医療のDX早くして」と怒られる日々は続きそうです。
江草の発信を応援してくださる方、よろしければサポートをお願いします。なんなら江草以外の人に対してでもいいです。今後の社会は直接的な見返り抜きに個々の活動を支援するパトロン型投資が重要になる時代になると思っています。皆で活動をサポートし合う文化を築いていきましょう。