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テロとカルトの手口を楽しく学べるオススメ漫画『テロール教授の怪しい授業』

先日、『テロール教授の怪しい授業』が第4巻をもって完結してしまいました。

この漫画、テロとカルトの手口や心理が楽しく学べる漫画として秀逸でして、とても好きだったんですよね。


テロリストやカルト組織なんて自分たちに無縁で他人事。
「自分がなるはずがない」なんて思いがちです。

しかし、この漫画はそうした思い込みを一蹴し、自分たちと彼らの間を分かつものは紙一重でしかないことを教えてくれます。



といっても、固い話が続くわけではなく、ガイド役となるローレンツ教授の癖がツッヨツヨで、大変にコミカルに面白く読ませる作品となってます。


テロやカルトに限らず、いわゆる「エセ医療」問題も紹介されてますし、


その一方で、有名な「ゼンメルワイス医師の悲劇」を例に、権威側の集団思考にも釘を差すという丁寧な構成で、素晴らしいです。



ちらりと登場する我らがEBMの説明もバランスの取れたもので好感が持てます。

Evidence-based medicineにおいて、evidenceを無視するのは論外ですが、「経験の知見」や「患者の価値観」を軽視してEvidence-only medicineになりかけてる人もときおりいますので、ここは注意したいところですね。


このように、シリーズを通じて読者に訴えてるのは「立ち止まって考えること」、「疑うこと」の大切さ。

つまり「健全な批判的精神」です。


疑いすぎず。信じすぎず。

このバランスを適切に取ることは極めて難しく、人類が古今東西悩み続けてきた永遠のテーマですが、それでもなお私たちはこの難題に向き合うしかないのでしょう。



めちゃ好きだったので、完結してしまったことが少し寂しいのですが、作品のテーマ的にダラダラと長く続ける漫画でもないでしょうし、仕方がありませんね。


逆に言えば、全4巻と、興味を持ったらすぐに読み切れるボリュームの作品でもあり、テロやカルトについて軽く学びたいなと思った方にはすごくオススメです。



とくに今は教授のこの警告には耳が痛いですね。

気をつけましょう。





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