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学校側の出願ミスによる適切な損害賠償額は?

たまにニュースで流れますが、学校側が出願するのを忘れていたという事件があります。ヤフコメや某誹謗中傷用掲示板では「自分で出願すればいい」などという訳のわからない無職お爺さんたちの意見が書かれていますが、推薦入試や共通テスト(現役)などは高校を通じて出願するルールになっています。
次によくある意見は「推薦入試など邪道。その後の一般入試を受ければいいだけ。受からなかったら本人が悪いので自己責任」みたいなものですね。しかし、推薦入試という制度は文科省が主導して導入させた経緯があり、多様な入試を行えというのも文科省の指示であり、きちんと入試に多様性を持たせているかという大学認証評価までもが法令で義務付けられています。
つまり、国が制度を設け、大学側に規制を敷いているのですから、これに縛りをかけて使うなというのはおかしな話です。苦情は受験生当人や大学ではなく国に陳情するか、政治家にでもなりましょう。

さて、仮に推薦入試に書類を担任が出し忘れて、一般入試でなんと推薦で受けるはずだった大学に晴れて現役合格という素晴らしいストーリーが完結したとします。この場合の損害賠償はどのぐらいが適切かを考えてみます。裁判というよりは社会的な価値判断という観点です。
推薦入試を受けられる条件を整える行為、すなわち無欠席、定期テストを副教科まで完璧にする、生徒会などに入って活動する、ボランティアなどが当てはまります。当然表向きには教育的活動、生徒の人間形成のための活動なのですが、ネットの口コミにとどまらず、教育関係の意見交換会や議事録などにも制度の功罪として指摘されており、点数稼ぎ目的の行為であることの社会的立証は比較的容易です。裁判を起こしたら恐らく認められるのではないでしょうか。推薦入試を受けさせてもらえなかったということは、この点数稼ぎを目的とした行為の時間を無駄にしたわけです。
さらには、推薦入試を受けられなくなってから一般入試に切り替えて勉強した時間と、とてつもない焦燥感に駆られた時間の慰謝は必要であると考えます。

今回は浪人をしていない、同じ大学に入学できた、生涯賃金には影響しないという要素ですが、推薦入試で合格したと仮定して、そこから努力を強いられた分に対する賠償は必要と思われます。
ミニマムで考えるならば、東京都の最低賃金を100円単位で切り上げて1100円として10時間で1日の勉強代相当11000円、それを100日間続けたとして111万円。冬期講習代と五月雨受験代、交通費、諸経費で50万円、慰謝料39万円の200万円は最低の最低ラインだと考えます。教師による学校側の無償無制限勉強サポートは当然これとは別です。そもそも受験勉強の価値は時給4000円、5000円、いやいや4万円と主張する人もいるので実際にはもっと支払う方が妥当なのでしょうけど。
現実的なラインとして、学校法人または教育委員会としてこの200万円を経費として正式に支払い、やらかした当人と関係管理職で入学金と前期授業料を自腹で負担して手打ちぐらいがちょうどよいのかなとは思います。3ヶ月追い込まれて必死に勉強したら150万円お小遣いもらって大学に入学できたと思えば、並の家庭の子であれば決して悪い気はしないでしょう(中年の視点からすればたった150万円でこんな苦労できるか!と憤りますが)。

浪人してしまった、推薦入試よりも低いレベルの大学に入ってしまった、推薦入試と同レベルの大学には合格したが遠方になってしまったなどのケースはさらに賠償額が跳ね上がるのは当然です。

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